投稿情報: 18:56 カテゴリー: ミステリー/スリラー/サスペンス, 読みやすさ★★★★() | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
Stieg Larsson
英国版:602ページ(ハードカバー)米国版:480 ページ(ハードカバー)
英国版:MacLehose Press( 2009/10/1)
米国版:Knopf ( 2010/5/25)
スリラー/ミステリー(Millennium シリーズ)
The Girl Who Kicked the Hornets’ Nestは、本ブログをお読みになっている方ならご存知のようにスウェーデンのジャーナリストStieg LarssonのMillennium シリーズ、The Girl with the Dragon Tattooと The Girl Who Played with Fire の続編です。Larssonは作品完成後に死去しており、これが出版される最後のThe Girl..シリーズです。米国では来年の5月まで発売されないので、待ちきれない私はBook Depositoryから注文しました。
まだ前の2作をお読みになっていない方は下記のあらすじを飛ばしてください。
前作で父に頭を打たれて生き埋めにされたが自力ではい出して反撃したLisbeth Salanderは、Mikael Blomkvistに瀕死の状態で発見された。当直していた救急部門の医師に奇跡的に命を救われたSalanderだが、逮捕され病院で拘留されているので身動きが取れない。また、その近くの病室には彼女の命を狙う父も入院しており、警察にも彼女の敵が浸透している。Blomkvistはリソースを活用してSalanaerを助けようと奔走するが、スキャンダルが表に出ることを恐れる諜報機関Sapo(CIAのような組織)の極秘グループThe Sectionは、全力でSalanderとBlomkvistを抹殺しようと試みる。
The Sectionの影響力はSapoや警察の上部にも及ぶが、その機関内にも正義を貫こうとする人々が存在する。
Salanderには病室内に密かに持ち込まれたPDAを使ってハッキングで反撃することしかできない。
今回の作品ではフェミニストのLarssonらしく、伝説の女性軍団アマゾネスがテーマで強い女性が数多く登場し活躍する。もちろんBlomkvistの女性関係はいつものように、「来るものは拒まず」。たぶんジョージー・クルーニーみたいな奴なのだろう。
Salanderのアクションが少ないことやBlomkvistとSalanderの関係が深まらないことに不満を覚えるかもしれないが、今回の作品でSalanderに関する陰謀は解決するので安心していただきたい。Larssonはシリーズを続けるつもりだったらしく、死後に4作と5作めのプロットが発見されている。だから、2人の仲は将来もっと深まったのではないかと思う。それは読者が勝手に想像するしかないようだ。
●ここが魅力!
ミレニアムシリーズ中、個人的には第二作の The Girl Who Played with Fireが最高で、次がThe Girl with the Dragon Tattooです。The Girl Who Kicked the Hornests' Nest は、Lisbethが活躍する第二作に比べると彼女のアクションが少なく、しかも先が読めてしまいます。もっと不満なのはBlomkvistとSalanderの関係ですが、これは前述したようにLarssonは4作と5作のプロットを作っており、先の作品で盛り上げてゆくつもりだったのでしょう。ですから、われわれ読者が勝手にふたりのハッピーエンドを想像すれば良いわけです。
今回アクションが少ないゆえに気になったのは、文章。「3時間話した」とか「5時間話した」という表現の多さ。Larssonはジャーナリストですから仕方ないのですが、編集でなんとかして欲しかったです。
しかし、ジャーナリストらしいディテールは(DNAの研究論文に架空らしき日本人学者のものを使うなど)つまらないどころかかえって面白く、綿密な構成とともにLarsson独自の魅力とも言えます。
●読みやすさ ★★★☆☆
登場人物が多いのと、多くのサブプロットが同時進行するところが読みにくいかもしれませんが、文章としてはすっきり簡単で解釈の必要がなく、とても読みやすいと思います。
●アダルト度 ★★★☆☆
誘われたら誰とでも寝ちゃうBlomkvistですから、今回もそういう状況がありますが、彼の恋愛は前述の「3時間話した」程度の色気も何もないドライさです。バイオレンスも今回はマイルドです。過去のSalanderのレイプについての記述が最も露骨なので、それで★が3つです。
●本作品を読む前に読むべきMillennium シリーズ
The Girl with the Dragon Tattoo
●映画化
Millenniumシリーズは地元スウェーデンではすでに映画化され、フランスなどでも公開されていますが、ハリウッド版はまだです。
下はスウェーデン版トレイラーで、Lisbethは残念ながら出てきません。
投稿情報: 07:21 カテゴリー: ミステリー/スリラー/サスペンス, 読みやすさ★★★★() | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
Margaret Atwood
480ページ(ペーパーバック)
Random House (Anchor)
1996年
ミステリー/心理スリラー/文学小説
1996年ギラー賞受賞作、1996年ブッカー賞およびカナダ総督賞最終候補作
1848年にカナダで実際に起こったセンセーショナルな殺人事件の小説化。
アイルランドからの移民で当時16歳だったGrace Marksは、メイドとして働いていた先の主人Thomas KinnearとKinnearの家政婦で愛人のNancy Montgomeryを殺害した罪で終身刑を言い渡された。だが、Graceは殺人に関する3つの異なるバージョンを告白しており、事件の真相は未だに謎のままである。
服役中に精神病院に入院したこともあるGraceのことを19世紀の文筆家Susanna Moodieは策略家で狂人とみなしており、マーガレット・アトウッドもMoodieの見解で詩やテレビ番組の脚本を書いたりした。だが、後にアトウッドはGraceについて自分自身で調査を行い、事件の見方を変えたという。
小説化されたAlias Graceでは、架空の精神科医 Dr. Simon Jordanが登場し、実際に何が起こったのかを突き止めようと試みる。若い独身のJordan医師はGraceの精神状態を解明して世間から注目され、自分の施設を作ることを夢見ているのだが、無教養なGraceのほうがJordanよりも上手なところがあり、彼の求める答えを簡単に与えようとはしない。
死んだ友達が取り憑いたという主張はGraceの精神が病んでいる証しなのか、あるいは実際に記憶がないのか。 多くの者が信じているように、家政婦でありながら女主人のように威張るMontgomeryの立場に嫉妬したのが殺人の動機なのか...。読み進めるうちに読者もいつの間にかJordan医師のようにGraceの謎に翻弄されてしまうだろう。
●ここが魅力!
階級社会で抑圧された地位の女性が再びシステムの犠牲になるのはアトウッドらしいテーマですが、ミステリ小説のようにストーリー性が高く、謎ときに惹かれてつい読み急ぎたくなるところが他のアトウッドの作品とは異なります。
当時の人々の生活や丁寧に描かれ、実際にビクトリア時代に書かれた小説のような印象すら受けますが、単純なプロットや視点を与えないところがさすがにアトウッドです。語り手の信憑性を疑って読まねばならぬこの作品は、ミステリーではなく「アトウッドの作品」として読むべきでしょう。でないと、「なんだこのミステリーは!」と苛立つかもしれませんからご注意を。
最後まで読んでアトウッドに裏切られたと思うかどうか、それは読者によっておおいに異なるでしょう。
私はこの長引くモヤモヤ感こそがアトウッドの醍醐味だと思います。私が最も好きなアトウッドの作品です。
●読みやすさ ★★☆☆☆
アトウッドの作品にしてはストーリー性が高くて読みやすいと思いましたが、それでも普通の作家よりは集中力を要します。プロットがはっきりしているスピーディーな展開を求める方にはおすすめできません。
●アダルト度 ★★★☆☆
アトウッドらしくテーマには性と暴力が含まれていますが、露骨ではありません。テーマを理解できる高校生以上が対象です。
投稿情報: 15:52 カテゴリー: ミステリー/スリラー/サスペンス, 文芸小説(商業的作品を含む), 読みやすさ★★★★(英語ネイティブの普通レベル) | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
Carol O’Connell
432ページ(ペーパーバック)
Jove
1999/8/1
ミステリ/心理スリラー
舞台は米国ニューヨーク州の北部にある寂れた村。そこには金持ちの子弟と並外れた知能の子供を集めた私立学校St. Ursula's Academyがある。クリスマスを目前にしてSt. Urshula'sに通う10歳の少女Sadie Greenとその親友のGwen Hubbleが誘拐される。
Gwenの母が副知事であるために、捜査にはBCI (Bureau of Criminal Investigation)やFBIが関わり、マスコミも押し寄せる。捜査にボランティアとして加わったのはこの村の精神科医Mortimer Crayの姪である心理学者の Ali Crayだ。過去の類似の犯罪から、Aliは犯人が小児性愛の連続殺人者だとみている。彼女は、犯人が少女たちを必ずペアで狙い、そのうち一人は真のターゲットをおびき寄せるための二次的目標、つまりJudas Childに過ぎないという仮説を立てる。Judas Childは真のターゲットをおびきよせる目的を達成したら殺され、真のターゲットはクリスマスの朝に殺されるというのだ。
村の若い警官 Rouge Kendallの双子の妹Susanが誘拐されたのもSt. Urshulaに通っていた10歳のときだった。Susanもクリスマスの朝に殺されたが、それは単独殺人であり、当時Susanが慕ってた村の若い神父 Paul Marieがすでに犯人として服役していた。
しかし、AliにはPaul Marieの無罪を信じる理由があるようだ。頬に引き攣れた傷を持つAliは謎めいた過去を引きずっているようだが、誰にもそれを打ち明けない。Aliと恋人関係にあったFBIのやり手捜査官Arnie Pyleにも、誘拐捜査以外に別の動機があるようだ。この事件は、RougeとAliにとっては、自分たちの人生を変えた過去との対決でもあった。
捜査官たちの捜査がもたつく間、Gwenは知恵を働かせてサバイバルの孤独な戦いを続けていた。
●ここが魅力!
Judas Childは、ブログ読者で「大宮盆栽村クロニクル」というノンフィクションをお書きになった宮田一さんからご推薦いただいたミステリです。宮田さんと私には「The Forgotten Garden」という共通の好みがあります。「The Forgotten Gardenを好きな方が勧めるミステリならまず間違いないだろう」という期待をまったく裏切らない優れた作品でした。
まず登場人物ひとりひとりが、丁寧に作り上げられています。
双子の妹を失って以来凡庸な人生を歩んでいるRouge の複雑な人間性、Ali Crayの傷が作り上げた彼女の性格と人間関係、Aliと彼女の頬の傷の謎に執着しつづけるArnieの隠れた優しさ、人を驚かせる才能にあふれたいたずらっ子のSadie、彼女に憧れている病的に無口な少年David、「患者の秘密を厳守する」という医師の倫理を優先して犯人をかばいつづけるMortimer Cray、そしてFBIやBCIの捜査官たちも、すべて存在感があります。
また、じめじめした土や落ち葉の匂いがページから漂ってきそうな文章力も素晴らしく、わざとスピードを落として読んだミステリでした。
日米ともにエンディングが納得できない読者がいるようですが、私はこのエンディングで十分納得しています。というより、このエンディングは私がなんとなく予期していたものでしたから、驚きも感じませんでした。
読後も余韻が長引くミステリです。
●読みやすさ ★★★☆☆
米国でもゆっくりしたペースに苛立つ読者がいるようですが、スピーディな展開を求める類いのミステリではありません。じっくり状況や人物の描写を楽しむべき本です。それを心得ていたら、さほど読みにくく感じないでしょう。
状況がよくわからなければ、焦らずにもう一度読み直してみることです。
●アダルト度 ★★☆☆☆
小児性愛の殺人者をテーマにしていますが、そういう場面の描写はありません。
ただし、子供が誘拐殺人されるというミステリですから子供向けではありません。
●次に買ってみようと考えているO’ConnellのKathy Malloryシリーズ
投稿情報: 05:31 カテゴリー: ミステリー/スリラー/サスペンス, 読みやすさ★★★★() | 個別ページ
Terri Blackstock
336ページ(ペーパーバック)
Zondervan
2009年9月22日発売
クリスチャン・サスペンス/ミステリー
Barbaraは2年前に夫と死別し、インテリアデザイナーとして2人の子供を女手ひとつで育ててきた。息子のLanceは問題のない良い子だが、18歳の娘Emilyは父親の死後ドラッグ中毒になり、ハイになるために盗難までするようになっていた。Barbaraは最後の手段としてEmilyをドラッグリハビリセンターに送りこむことにする。センターのオーナーでInterventionist(カウンセラーのようなもの)のTrish MasseyがEmilyをセンターまで連れてゆくことになっていたが、空港の駐車場でTrishの死体が発見され、監視カメラには車から逃げるEmilyの姿が映っていた。
BarbaraはEmilyの弟Lanceとともに現地にかけつけるが、そこでEmilyが容疑者として手配されていることを知り、自分の手で解決しようとする。 Barbaraは警察の行動を信用せずに自分で危険な場所に乗り込んだりして警察の邪魔ばかりするが、担当刑事のKent Harlanは「強き母」であるBarbaraに同情して援助する。
●感想
「リハビリセンターに向かう途中でカウンセラーが殺害され、ドラッグ中毒のティーンエイジャーが行方不明になる」というサマリーと読者の評価の高さ(内容は読まなかったけれどそのときは全員★5だった)にてっきり本格派サスペンスだと期待して読み始めた私は、途中で「なんか変だ」と思い始めました。
★が5つのサスペンスにしては、すごく凡庸なんです。先が読めちゃうし、刑事の対応は「こんなの現実にはないよ〜」という感じ。「なぜ読者評価の平均が良かったのだろう?」とちゃんと読んでみてようやくInterventionが「クリスチャン・ミステリー」のジャンル本だということに気づきました。読む前に確かめないなんて、まったく間抜けな私です。
クリスチャン・ロマンスについては以前に書きましたが、実はまだ試したことがありません。せっかくですからこの機会に新しい分野を試してみることにしました。
通常のミステリーやサスペンスの分野であれば「まあまあ」の出来です。コージーミステリ程度の簡単なプロットで、私のAmazon.comの評価は★3つです。でも通常のサスペンスファンが★5つを与えるような傑作ではありません。
コージーミステリはプロットよりも登場人物の魅力で読ませるものですが、Interventionの主人公Barbaraには苛つくだけでした。
母の苦悩はわかりますが、同情心が薄れるほど独善的なのです。厳格でユーモアのセンスがなく、他人の欠陥にばかり気づく。 非合理的なことを思いつき、非合理的な行動を取り、 警察の業務を片っ端から妨害しておいて「わが子を思う母親の必死な戦い」みたいに正当化する。「私の育て方が悪かったから娘はこうなったに違いない」と健気なことを言うくせに、そのすぐ後で「私は神を信じて、子供には教会に通わせて、ちゃんと育ててきた良いクリスチャンだ」と自分をかばうことを忘れない。そして、刑事のKent Harlanが「あなたはいいお母さんだ」となぐさめてくれるのを待つ。
はっきりいって私が一番嫌いなタイプの女です。同性として友達にしたくないし、私が男なら絶対に恋人にはしない。
すべての現象に神の意思をこじつけようとするBarbaraのことを、てっきり私は「こういう息が詰まる母に育てられたから娘がかえって非行に走ったという設定なのだろう」と思い込んでいました。そして、母が最後に自分の愚かさに気づき、人間として成長するストーリーなのだろうと。ところがどっこい、大間違いでした。
刑事のHarlanは、プロとしての自分の能力をまったく信用せず妨害ばっかりするBarbaraに同情だけでなく恋しちゃって最後に神を信じるようになっちゃうし、自分のことしか考えたことがないわがまま娘のEmilyは、突如神を見いだして良い子になっちゃうのです。
そして、犯人は登場人物のうち唯一神に心を開かなかった無宗教の人。
サスペンスというより宗教のPRを読んだみたいで嫌な気分になってしまいました。
宗教が登場する本が嫌いなのではありません。
私の大好きな歴史ものでは宗教は重要な要素です。登場人物と神との関係なしにはドラマを語ることはできません。また、私の大好きな「All Creature Great and Small
」の作者James Herriotも神の存在を信じています。(動物には魂がないとするキリスト教の教えから)愛犬と天国で再会できないのではないかと苦悩する老女に、獣医のHerriotが「犬にも魂があり、あなたと同じ場所に行く」と安心させてあげるエピソードには、信者でない私も「そうだよ。犬も天国にゆけるよ」と頷いていました。
私が案じるのは、同一のジャンルしか読まない人がフィクションと現実を混同するようになることです。たとえばマイケル・クライトンが「Rising Sun
」を出版したとき、ここで描かれた日本企業と日本人の像を事実と混同し、ジャパンバッシングをする米国人が急増しました。いずこでも、自らの体験にルポなどの情報を併せて検証せず、娯楽小説から事実を学んだつもりになる人々のほうが多いのです。どこかで米国人はムスリムよりも無宗教者を信用しないという意識調査の結果を見ましたが、もしかするとこのような背景があるのかもしれません。
●読みやすさ ★★★☆☆
★4つに近い読みやすさです。理由のひとつは、クリスチャンジャンルの本にはスラングや罵り言葉が出てこないことです。だから出てくる単語はほとんど全部辞書で調べられるでしょう。
●アダルト度 ★☆☆☆☆
ドラッグ中毒という状況と誰かの親が子をレイプしたという間接的な話しがあるので一応★ひとつです。でも、残りは全部☆にして良いほどクリーンな内容です。刑事は罵り言葉を口にしないし、ドラッグ中毒のティーンエイジャーに性的な問題も出てこない。殺人もクリーン。現実とはちょっとかけ離れていると思いますが、性的な表現が気になる親には中学生でも安心して読ませることができる本でしょう。
投稿情報: 05:47 カテゴリー: ミステリー/スリラー/サスペンス, 読みやすさ★★★★() | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
Sarah Waters
480 ページ(ハードカバー)
Riverhead Hardcover; First Edition edition
2009年4月30日発売
ゴシックミステリー/ホラー(やや)/文芸小説/2009年ブッカー賞候補作
二度の世界大戦を経て英国の階級社会は崩壊し、社会民主主義国家に急変しつつあった。
独身の中年医師Faradayは、10歳のときにメイドの母に連れられて大地主Ayres家の屋敷Hundreds Hallを訪れたことがある。それから30年後、住み込みのメイドを診るために屋敷に往診したFaradayは、家庭医として家族を訪問するようになる。
過去には豪華な建築物だったHundreds Hallは激しく老朽化していた。それだけでなく、メイドのBettyが最初の往診で訴えたように、まるで邪悪な存在が家を破壊しようとしているようなのだ。未亡人のAyres夫人、娘のCaroline、息子のRoderickたちはFaradayに頼るようになるが、彼は医師らしく幽霊説を頭から否定して解決策を提供する。だが、幽霊に怯えるAyres一家の異常な言動をストレスによる精神的な病と診断するFaraday自身も、しだいにHundreds Hallの邪悪な気配を感じるようになる。
Hundreds Hallに取り憑き住人たちを襲うThe Little Strangerとは、姉弟が生まれる前に死んだ長女の幽霊なのか、それとも家そのものの霊なのか、またはまったく 異なる存在なのか......。
The Little Strangerの正体が途中から見えてくる人には最後まで読まなくてもわかるし、見えない人には最後まで読んでもわからない。そんなエンディングがかえって粋なゴシックミステリーだ。
●ここが魅力!
今年のThe Man Booker Prizeの候補作の中では、Hilary MantelのWolf Hall
とSarah WatersのThe Little Strangerの2作が本命視されています。オンラインカジノではWolf Hallが本命ですが、 ダントツ売れているのはThe Little Strangerです。
Wolf Hallをまだ読んでいないので比較はできませんが、The Little Strangerはなかなかの読み応えでした。
英国の古いお屋敷で超常現象が次々と起こるという筋書きは使い古された感があります。けれどもSarah Watersは、まるで古い時代に書かれた作品のように押さえた筆使いで朽ちてゆく屋敷の雰囲気と社会の急速な変化に戸惑う人々の葛藤を巧みに描いており、古くて新しい微妙な世界を作り上げています。邪悪な存在であるThe Little Strangerのやり口が変貌してくるにつれて怖さもじわじわと増してきます。
超常現象を扱ったゴシックロマンですが、チープなゴシックロマンと異なるのは、魅力的な登場人物や胸躍るロマンスの故意ともいえる不在です。孤独で実直な医師Faradayの、憐憫、嫌悪、欺瞞、羨望を覆い隠した語り口は巧妙で、人間の深層心理を描いた心理ミステリー/文芸小説としても楽しめます。
エンディングについてここではばらせないので、ディスカッションしたいかたは、ぜひメールをくださいね。
●読みやすさ ★★☆☆☆
オールドファッションな雰囲気の本ですが、文章は古めかしくなく、さほど難しい単語や言い回しは使っていません。そういう意味ではスラングが多い現代の本よりも読みやすいでしょう。
ただし、プロットを追う類いのではなく、心理的なサスペンスや雰囲気を楽しむ本です。これまでにある程度の本を読みこなしていないと、この本の良さを感じるのは難しいでしょうし、エンディングが理解できないと思います。ネイティブの読者でも読みのがす人がけっこういるようですから。そういう意味で★2つです。
●アダルト度 ★☆☆☆☆
ラブシーン的な箇所は1カ所のみでそれも非常にマイルドなシチュエーションです。
●「英国の古いお屋敷に潜む謎」に弱い方へのおすすめ作品
The Thirteenth tales
投稿情報: 07:34 カテゴリー: ホラー, ミステリー/スリラー/サスペンス, 文芸小説(商業的作品を含む), 読みやすさ★★★★(英語ネイティブの普通レベル) | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
Joseph Finder
448ページ(マスマーケット・ペーパーバック)
St. Martin's Paperbacks
2004年2月初版発売
企業スリラー/ミステリー
主人公のAdam Cassidyは、Wyatt Telecom社に勤めるやる気がない平社員。ただしハッキングだけは得意で、会社の資金を流用してブルーカラーの社員のために豪華な引退パーティをやってのける。それがばれたAdamはCEO のNick Wyattに呼び出され、警察に通報されたくないなら、ライバル会社のTrion Systemsにスパイとして入り込み、新プロダクトについての秘密を盗んでくるよう命じられる。
●感想
私がこの本を選んだ理由は、ニューヨークタイムズ紙のベストセラーになったことがあり、Amazon.comでは260人のレビューの平均が★4であり、Publishers Weeklyのレビューが(starred reviewではないが)「 Is it too early to declare Finder's fifth novel (after High Crimes) the most entertaining thriller of 2004? Probably, but it will be a surprise if another suspense proves as much sheer fun as Finder's robust tale of corporate espionage.」だったからです。
特に”sheer fun”の企業スパイものスリラーとなると、期待せずにはいられません。
ですから最初の数ページで私が感じたのは失望というよりも「これがあの良いレビューを得た作品なの?」という混乱と、「面白くないと感じる私のほうが間違っているのかも」という自分への疑いでした。
良い文章というのは、完璧に鋪装された道のように、道のことはすっかり忘れて美しい景色(ストーリー)を楽しませてくれてくれるものです。でもひどい文章は、穴だらけの道のように表現にいちいちひかかって景色を楽しむことができません。Paranoiaはcliche(使い古された陳腐な表現)が多い悪文の典型で、1行ごとに苛立つために先に進めないのです。例えば次のような表現です。
“What’s the difference between God and Nicholas Wyatt? God doesn’t think he’s Nicholas Wyatt.(面白くないおじさんのジョークは読むのも辛い)”
“Wyatt’s office was vast. An entire Bosnian village could live there. Two of the wall were glass, floor to ceiling, and the views of the city were unbelievable(小学生の作文でもこれでは良い点がもらえない).”
“ I was silent as a mannequin(マネキンのように無言って.....どんな感じの無言なわけ?)”
“a nasty, sadistic little smile on his knife-blade face.(あまりにも使い古された表現には怖くなるより笑ってしまうのですが...。Stephen KingのOn Writingの悪文の例に加えるべき表現!)”
“A regular marlon fucking Brando(この時代の会話にマーロン・ブランドなんてclicheの中でも時代遅れ)”
「これだけほめている人もいるのだ。読んでいるうちに、きっと”the most entertaining”とか感じる筈だ」と何度か再挑戦したのですが、ついに「ゴミ箱行き」カテゴリーに入れることにしました。
決断の理由は、文章力に加えて主人公の性格がチープで、薄っぺらだからです。深い考察力がない主人公の語りにつき合うのははっきり言って疲れます。
ただし、日本のアマゾンに評価を載せている方々は気に入っているようですので、私の悪評を頭から信じないでくださいね。あくまでこれは私の個人的な感想です。
●読みやすさ ★★★★☆
基本的にはすごく簡単な英語です。fucking といった形容詞(?)が続出しますし、陳腐なお決まり文句のスラングもありますが、わからなければ無視していただいてけっこう。いずれも特に重要ではないので。
文章力を気にしない方にとっては読みやすいスリラー/ミステリーではないかと思います。
●アダルト度
途中で読むのをやめましたから不明です。
投稿情報: 06:39 カテゴリー: ゴミ箱ゆきの本, ミステリー/スリラー/サスペンス, 読みやすさ★★★★() | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
Dan Brown
528ページ(ハードカバー)
2009年9月15日発売
Doubleday Books
スリラー
(あらすじ)
Angel & Demons The Da Vinci Codeでおなじみのハーバード大学のSymbologist、Robert Langdonが主人公。
長年の友人で有名なフリーメイソンのメンバーPeter Solomonから講演を依頼されたLongdonは、ボストンから急遽ワシントンDCに向かう。だが、ワシントンDCで彼を待ち受けていたのは、フリーメイソンが長年守り続けた危険な秘密とそれを手に入れようとするパワフルな敵だった。
●感想
まず、この本は15日の夜入手したので16日には読了する予定だったのです。それなのに、読み終えるのに4日もかかってしまいました。
その理由は、椅子に座って読み始めると必ず1時間以内に「ぐが〜」っとねむりこけてしまい、なかなか先にすすまなかったから。それも ” To his horror, something was staring back.”といった「はらはらドキドキ」的な章のエンディング(これがまた多いのですよ)でさえ気がつくと「ぐが〜」という恐ろしさ。中・高生のときに悩まされたナルコレプシー的発作がぶりかえしたのかと心配したくらいです。それに、ふだんなら家事を後回しにしても読みたい活字中毒の私が、読書の途中で床を眺めて「掃除機かけなくちゃ」と嫌いな掃除を始めるというのはThe Lost Symbolの謎より深刻な問題なのでは?
内容ですが、扱っているのがフリーメイソンやnoetic scienceと異なるものの、プロットはこれまでと根本的に同一です。謎ときは沢山あるのですが、同じようなパターンで驚きがないから退屈になるのです。たとえば「Melencolia I, 1514」の絵を観た中心人物(賢いことになっている女性)が”...I see nothing ----- I give up.”というところ。よほど観察力がない人以外絵の中で真っ先に目につくのがこれなので、つい「どこ見てんのよ?」と本に向かって悪態をついてしまいました。そのうえ誰でもわかるような簡単な謎解きにその後の何ページも割いているのにもうんざり。登場人物が大騒ぎするわりにはそれぞれの謎解きに驚きがなく、ひとつの謎が次の謎を呼ぶというパターンにも斬新さがありません。
最後に驚きが用意されていることを期待していたのですが、これもアンチクライマックスでした。
もうひとつの問題は文章です。
The Da Vinci Codeも文章力はさほどありませんでしたが、スピード感のある展開で、謎解きの楽しさもあり、文章の稚拙さがさほど気になりませんでした。
でも今回はそのスピード感や謎解きの楽しみがあまりないために、表現の陳腐さが目立つのです。例えばmassiveという形容詞です。massiveというと私はすぐに「massive heart attack (非常に重篤な心臓発作)」を連想してしまうのですが、Brownは(特に「やめてくれ」と言いたくなる陳腐な箇所を含め)肉体の部分から扉までなんでもかんでも巨大なものがmassiveらしく(enormousもありましたが)気が散って困りました。他にも学校で学ぶような典型的な表現が多く、ついマーカーを使いたくなったことも...。
私にとっても最も深刻な問題は、登場人物が肉体のある人物として浮かび上がってこないことです。Robert Langdonと今回彼と一緒に走り回るパートナーのKatherine、そしてその他の脇役の会話がすべて同じ人物のもののように個性がないのです。まるで全員がDan Brownのアバターのようでした。
めちゃくちゃに非難しているようですが、以前にレビューしたJames RollinsのThe Judas Strainと同じレベルの本です。つまり、「発売当日に百万部以上売れた超ベストセラー」というタイトルに期待をしなければ普通に楽しめる娯楽作です。
noetic scienceや人類が失った究極の知識とは何か、といったテーマはけっこう興味深いので、528ページを250ページくらいにしていたらもっと面白くなっていたと思います。
余談ですが日系アメリカ人女性ということになっているCIAのDirector、Inoue Satoの名前をなんとかして欲しかったです。サトがファーストネームならかまわないのですが、Inoueがファーストネームなんですよ。1960年代じゃあるまいし...。これは編集の責任ですぜ。
●読むときにおすすめすること
インターネットを活用して謎解きの鍵になるアートや場所を学びましょう。それを加えて自分なりの推測をすると、がぜん面白みが増します。ワシントンDCの旅行ガイドとしても楽しめます。
●読みやすさ ★★★☆☆
文章は簡単です。それだけならば★★★★☆ですが、「ひきこまれる」感じがないので★★★☆☆に減らしています。
●アダルト度 ★☆☆☆☆
昔は肉欲に浸ったが...的な回想はありますが、具体的な描写はまったくゼロです。
投稿情報: 20:01 カテゴリー: ゴミ箱ゆきの本, ミステリー/スリラー/サスペンス, 読みやすさ★★★★() | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
Anders Roslund, Borge Hellstrom
400ページ
Farrar, Straus and Giroux
2009年10月13日発売予定
犯罪小説/ミステリー・スリラー
スウェーデンの首都ストックホルムのアパートから瀕死になった若いリトアニア人娼婦が救出される。娼婦を殴り鞭で打ったのはロシア人のヒモ(ポン引き?)であったが、外交領域を主張するためにスウェーデン警察が罪に問うことはできなかった。
その事件を担当することになったベテラン刑事Ewert Grensは、25年前に起こった事件の悲嘆を引きずって暗澹たる人生を送っていた。同僚の警官だった妻がJochum Langという犯罪者のために脳外傷を受け、意思疎通ができない状態になってしまったのだ。
事件以来気難しくなり孤立したEwertが唯一友情を保っているのはBendt Nordwallとその妻のLenaだけだった。そして職場でなんとか良好な関係を保っているのはSvenという若い理想家の刑事のみである。
病院に運ばれた娼婦は3年前にリトアニアで「よい仕事がある」と騙されて売りとばされ、スウェーデンに送り込まれた未成年のLydia Grajauskasだった。電子錠のかかったアパートの一室に閉じ込められ、逃げることもできず、反抗すると徹底的に肉体を痛めつけられる。性奴隷として地獄のような生活を送ってきたLydiaが、ついにポン引きのDimitriを異常に怒らせるほど反抗したのには理由があった。Lydiaは治療を受けていた病院で医師たちを人質にしてある要求をする。
Lydiaの「真実」は、Ewert, Bendt, Sven3人の刑事の「真の姿」を暴くものでもあった。
実際に欧州で深刻な問題であるhuman trafficking(人身売買)を題材にした問題作で、スウェーデン推理小説アカデミー最優秀犯罪小説賞ノミネート作。
●感想
Box 21が「ヨーロッパで爆発的に売れたスウェーデンの犯罪小説」と聞いていたので、The Girl With the Dragon Tattoo とThe Girl Who Played With Fireファンの私は発売前に読ませていただくチャンスに即座に飛びつきました。
けれども、残念なことにBox 21はThe Girl...シリーズには遥かに及ばない作品でした。
バルト諸国(エストニア、ラトビア、リトアニア)の若い女性を「よい仕事がある」と騙してリクルートし、他国に連れてゆき性奴隷として人身売買する犯罪は欧州で問題になっています。その深刻な社会問題を取り上げていることと、騙されて虐待されている被害者なのに社会から娼婦として蔑まれるだけで保護されない悲惨な立場の彼女たちの視点を描いたことには好感をいだきます。けれども、文章力におおいに問題があると感じました。
私は簡潔かつ詩的な文章のファンですが、Box 21の文章は単にぶつ切りなだけ。またサブプロットがバラバラに進行している感じで、最後になってもひとつにまとまる感じがありません。
また、登場人物が二面的です。善人にも悪人にも深みがなく、従って感情移入ができないのには困りました。
そしてセットアップに時間をかけたわりには、重要なもりあがりの部分が説明不足です。
最後に「驚きの結末」が用意されていますが、予想できるうえに子供だまし的です。心理的に辻褄が合わないと私は感じました。
けれども、 The Girl With the Dragon Tattooのレベルを期待しなければ、ペースの早い犯罪小説として楽しめるかと思います。傑作になるための要素は全部揃っていますし、読者の感想を読むと、実際にけっこう好きな人が多いようですから。
●読みやすさ ★★★☆☆
難しい判定です。というのは英語そのものは簡単なのですが、場面がブツ切れで移り変わるので状況を把握しにくいのです。読みやすいくせに読みにくい可能性のある本です。
●アダルト度 ★★★★☆
性的虐待と暴力の場面があります。ドライに書いていますが、目を背けたくなる感じです。
投稿情報: 17:45 カテゴリー: ミステリー/スリラー/サスペンス, 読みやすさ★★★★() | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
James Rollins
560ページ(マスマーケット版)
2007年7月2日初刊発売
Harper
冒険・アクション/スリラー
架空の米国特殊部隊Sigma Forceシリーズもの4作目
マルコ・ポーロの帰還の旅は現在でも謎につつまれている。それはポーロがある疫病に関する秘密を抱えたまま死んだからである。その疫病Judas Strainが突然現代によみがえった。
Judas Strainは通常であればまったく害のないバクテリアが炭疽菌のように致命的な菌に変異したものである。
疫病の調査のためにSigma Forceから送られた二人の科学者は謎のテロ集団The Guildに襲われ一人は人質になりJudas Strainの治療法を探るように強要される。The Guildは治療法を見つけ出してからJudas Strainをバイオ武器として使おうとしているのだった。
Judas Strainは全世界に広がろうとしており、人類滅亡の危機に面していた。
いっぽう、Judas Strainの謎をとくための鍵Angel Scriptの情報を持つ元The Guildの暗殺者SeichanはSigma ForceのコマンダーGray Perceに接触し、共にAngel Scriptに従ってヴァチカン、イスタンブールのHagia Sophia, カンボジアのアンコールワットを駆け回る。
この2つのグループがアンコールワットで出会い、マルコ・ポーロとJudas Strainの謎、そして人類絶望の危機に挑戦する。
The Da Vinci CodeとIndiana Jonesを足して、2で割らなかった(これは後で説明)感じの冒険スリラー。
●感想
私がTwitterを始めたときに、あちらのほうからFollowしてくれた第一号は”Dog On It”のChetでした。そしてその数日後にFollowしてくれたのが、発売する本がすべてニューヨークタイムズ紙ベストセラーになるJames Rollinsでした。彼の場合、たぶんオートマティックでFollow相手を探しているのでしょうが、一応感激。彼の講演のビデオも面白く、人柄に惚れ込んで本を購入しました。
この本の魅力は、マルコ・ポーロ帰還の旅の謎と人類の存続を脅かす疫病という興味深いテーマです。クリスマスアイランド、トルコ、カンボジア、などエキゾティックな舞台や映画のシーンを思わせるスピード感ある展開もRollinsの魅力といえるでしょう。それぞれのシーンが手に汗を握る場面で切り替わるところも映画的やTVのようす。Rollinsのファンはこういうところに惹かれるのでしょう。James Pattersonのように多くの作品を発表するにもかかわらず、Pattersonにくらべて読者評価が高い作家です。インディアナ・ジョーンズのようにスピーディなアクションものが好きな方にはぴったりだと思います。
ですが、私にはちょっと「詰め込み過ぎ」という感じがしました。
マルコ・ポーロ、疫病、Angelic Scriptと「謎」が多すぎてプロットがタイトでないのと、それらをつなぐ点があまりにも都合良すぎて現実味と説得力がないことが気になりました。 また登場人物が多いのはかまわないのですが、主要人物が多すぎるのは問題です。Sigma Forceだけでなく、謎のテロ集団The Guildがからんだロマンス、親子愛、仲間意識、忠誠心...と盛り込みすぎで、それぞれのキャラクターに深く感情移入することができないのは残念なことです。
たぶんRollinsはサービス精神が旺盛すぎるのでしょう。
別の読み切り作品でもう一度試みてみたいと思います。
もうひとつこれは編集者への苦情ですが、作者の口癖だと思われるPlain, Plainlyという単語を添削していただきたかったです。この単語が多発するために気が散って困りましたから。
●読みやすさ ★★★☆☆
文章そのものはとても簡単です。
問題は、長さ、医学的な説明、登場人物の多さ、サブプロットの多さです。
Rollinsは現役の獣医で、医学的な説明は私には面白く感じましたが、難解に感じる方はいらっしゃるでしょう。
●アダルト度 ★☆☆☆☆
ロマンスといっても登場人物に肉体関係があることが暗示されたりキスシーンがちょこっとある程度で小学生でも大丈夫な感じです。
●James Rollinsのその他の作品
投稿情報: 09:46 カテゴリー: ミステリー/スリラー/サスペンス, 冒険/アクション, 読みやすさ★★★★() | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
Stieg Larsson
512ページ
2009年7月28日発売(米国。英国ではもっと前に発売。日本ではさらに早くてもう第三部も販売されています)
前回のThe Girl With The Dragon Tattoo でMikael Blomkvistの敵からハッキングで大金を得たLisbeth Salanderは、Blomkvistに失恋し(と勝手に決め込み)、彼の存在を頭から抹消することにして海外を放浪する。突然連絡を絶たれたBlomkvistはまったく理由がわからずにSalanderに連絡を取ろうと試みるが努力は報われない。
それから約2年後、Blomkvistが発行するMillenniumが警官や判事などがからむ性的奴隷のヒューマントラフィッキングのルポを出版する準備に追われているとき、ルポを書いていたジャーナリストと研究論文を書いていたガールフレンドが殺害される。ジャーナリストたちを殺害した武器の所有者はSalanderの後見人で、彼もその夜殺害されていた。武器にSalanderの指紋があったために、彼女は突如容疑者として追われる身になる。
スウェーデン全体がSalanderを危険な殺人者とみなしている中、Blomkvistは頑にSalanderの無実を信じて真相解明に乗り出す。
彼のコンピューターをハッキングしたSalanderとようやく連絡が取れたが、彼女は謎の人物「Zala」について謎めいたヒントを与えるだけだった。Zalaは性的奴隷の密輸のみならず、Salanderの過去と深く関わっているようだ。しかし、他人を信じないSalanderは、Blomkvistを情報収集の手段として多少は利用するが、助けを求めず、あくまで自分の力だけで解決しようとする。
複雑なプロットとSalanderの超人的で痛快な行動力は最後まで読者を飽きさせない。
●ここが魅力!
まずは登場人物の面白さとディテール、次は何層にも折り重ねられた複雑なプロットと先が読めない展開です。
もっとも魅力的な人物はもちろんThe GirlのLisbeth Salanderです。アスペルガー症候群らしく普通の人間関係が持てず、冗談も通じません。医療記録には知能発達遅延と記されていますが実は超人的な頭脳の持ち主で天才的なハッカー、小柄で痩せっぽちなのに大柄の男性を打ちのめす冷徹な凶暴性もあります。前回もすてきだったけれど、脇役に追いやられた感があってそれがちょっと不満でした。でも今回は本当に中心人物!という感じで、しかもめちゃくちゃカッコいいのです。数学のフェルマーの最終定理 がそれとなく登場するのも心憎い演出です。
もう一人の中心人物Mikael BlomkvistとLisbeth Salanderのラブストーリー(?)も、まったく他の小説とは異なるユニークさで、(ネタバレになるので詳細を語れないのが残念ですが)奇妙にロマンチックで説得力があります。Blomkvistは人妻や年上の女性から誘われれば絶対に断らないし、Salanderはセックスはマッサージ同等の娯楽にとらえているようで相手が男女どちらでもこだわらないくせにBlomkvistに対してプラトニックに近い恋心を抱いています。ピューリタンの国アメリカの作家は決して書かない(というか書けない)だろうというヒーローとヒロインです。
脇役が沢山出てくるのですが、Stig Larssonは彼らも一人一人丁寧に描いています。出来事もそうです。ジャーナリストらしくすべての出来事の詳細が語られ、それが謎解きやストーリーラインに重要なのかどうか、こちらにはなかなか見えてきません。最後まで「あの出来事は後に重要になるのだろうか?」と何度もいぶかしく思った部分がありました(これもネタバレになるので秘密)。通常のミステリー/スリラーであれば、プロットに無関係な詳細を書くと「編集でカットされるべきだった」という批判の対象になりますが、この本に関しては、それらの詳細そのものが面白く、まったく邪魔には感じませんでした。まるでBlomkvistや警察と一緒に調査をしている気分になります。
ミステリー慣れしている私はけっこう終わりを予想するのが得意なのですが、これは半分すぎても「いったいどうなってるのか?」と予想ができませんでした。後半になってようやく見えてきますが、それでも意外性は残ります。
今年読んだミステリ/スリラー(ご存知のようにけっこうな数読んでます)のなかで文句なしの最高傑作です。前回のThe Girl With The Dragon Tattooですっかりノックアウトされたのですが、ミステリーとしても小説としてもずっと良い出来です。
この3部作はあと1冊で終わりです。作者のLarssonがこの三部作完了直後の2004年に死去しているのが残念でなりません。
●読みやすさ ★★☆☆☆
作者はスウェーデンのジャーナリストだったので、ノンフィクションのようなドライで簡潔な表現が多く、読みやすい文ではあります。英語への翻訳はとても自然に感じます。
問題は、詳細が多くてどの情報が重要でどの情報がそうではないのかわからないので全部ちゃんと読む必要があることでしょう。そのうえ長い本です。また、沢山登場するスウェーデン語やロシア語、ドイツ語の名前は、(少なくとも私には)覚えにくくて(あれこいつ誰だっけ?)と混乱します。すんなり速読できる本ではなく、そういう意味では読みにくいと思います。
●アダルト度 ★★★★☆
このThe Girl シリーズでは「女性を憎む男性の女性に対する暴力」が一貫した共通の敵として描かれています。
性的奴隷のヒューマントラフィッキングなども扱われていますので成人向けと言えるでしょう。
追伸:アダルト度が★4つなものでちょっとおびえさせてしまったようなので追加しますが、セックスシーンはロマンスブックなどよりずっとマイルドですからご心配なく、テーマとバイオレンスの点で★を追加させていただいただけです。
●この作品の前編
The Girl With The Dragon Tattoo
●この作品の続編
投稿情報: 17:00 カテゴリー: ミステリー/スリラー/サスペンス, 読みやすさ★★★★(英語ネイティブの普通レベル) | 個別ページ | コメント (4) | トラックバック (0)
シリーズ化しているコージーミステリーは、一度登場人物や文体に慣れると、次からすぐに入り込むことができます。ですから沢山の洋書を読みこなしたい方におすすめです。今日は私が昔はまっていたコージーミステリーをご紹介します。
Amazon.comのThe Cat Who...作品リスト
題名からもおわかりのように猫が主要な登場人物(?)で、私が約20年前に空港の本屋で最初に購入した理由もそれでした。
アメリカに住むようになってから大型犬のほうが好きになってしまい、猫ものを読むことが少なくなりましたが、今でも空港で”The Cat Who...”というLilian Jackson Braunの本を見かけるたびに、「あ、また新しいのが出たんだ」と懐かしくなります。
私は12までしか読んでいませんが、シリーズの29冊+短編集を全部読んでいるファンはけっこういるようです。
どれくらい有名かというと、The Cat Who Killed Lilian Jackson Braunというパロディが出版されているくらいです。
いずれもミステリーとしてはごく単純なプロットですが、それゆえに洋書にさほど慣れていない方にはわかりやすいのではないかと思います。(私にとっては)登場人物とか食べ物とか住んでいる場所(大都市や田舎町)のディテールのほうが楽しかったシリーズです。
主要登場人物(猫)
Qwilleran
元軍人でジャーナリスト。学生時代の恋人に似た女性と結婚するが、結婚は崩壊し、元妻は精神科病院に入院する。罪の意識にかられたQwilleranはアルコール依存症で職を失い電車のプラットフォームから落ちて死にかける。この事故で心を入れ替えた彼は、(デトロイトあたりではないかと思われる)新地でThe Daily Fluxionの新聞記者として新たな人生を再開する。シリーズはここから始まる。
身長は6feet2inch(189cm)と長身で、年齢は40〜50歳くらい。白髪まじりで魅力的な(?)口ひげがある。
Koko
本名Kao K’o Kung、通称のKoko。シリーズ最初のThe Cat Who Could Read Backwardsで殺害されたThe Daily Fluxion紙の美術評論家George Bonifield Mountclemens IIIが飼っていた雄のシャム猫 。Mountclemens と親しくなっていたQwilleranが引き取り、謎解きを助ける。
知性も気位も高く、読書好きで、Qwilleranに本を読ませたりする。
また、自分の気に入らない人間(特に女性)がいると、非常に失礼な態度に出る癖もある。Qwilleranは何事でもKokoの評価を人間のそれよりも重視しているところがある。
Yum-Yum
The Cat Who Ate Danish Modernで登場し、退屈しがちなKokoのお相手をするために引き取られた雌のシャム猫。謎解きの才能はないようだが、シリーズの重要人物(猫)である。
Amazon.comのThe Cat Who...作品リスト
1. The Cat Who Could Read Backwards (1966)
2. The Cat Who Ate Danish Modern (1967)
3. The Cat Who Turned on and Off (1968)
4. The Cat Who Saw Red (1986)
5. The Cat Who Played Brahms (1987)
6. The Cat Who Played Post Office (1987)
7. The Cat Who Knew Shakespeare (1988)
8. The Cat Who Sniffed Glue (1988)
9. The Cat Who Went Underground (1989)
10. The Cat Who Talked to Ghosts (1990)
11. The Cat Who Lived High (1990)
12. The Cat Who Knew A Cardinal (1991)
13. The Cat Who Moved A Mountain (1992)
14. The Cat Who Wasn't There (1992)
15. The Cat Who Went Into the Closet (1993)
16. The Cat Who Came to Breakfast (1994)
17. The Cat Who Blew the Whistle (1995)
18. The Cat Who Said Cheese (1996)
19. The Cat Who Tailed A Thief (1997)
20. The Cat Who Sang for the Birds (1998)
21. The Cat Who Saw Stars (1999)
22. The Cat Who Robbed A Bank (2000)
23. The Cat Who Smelled A Rat (2001)
24. The Cat Who Went Up The Creek (2002)
25. The Cat Who Brought Down The House (2003)
26. The Cat Who Talked Turkey (2004)
27. The Cat Who Went Bananas (2004)
28. The Cat Who Dropped a Bombshell (2006)
29. The Cat Who Had 60 Whiskers (2007)
The Cat Who Had 14 Tales (1988)
The Cat Who Put Four in a Box (1999)
Quilleran's Short and Tall Tales (2002)
The Private Life of the Cat Who...: Tales of Koko and Yum Yum from the Journals of James MacKintosh Qwilleran (2003)
Two Cats, Three Tales (omnibus) (2006)
投稿情報: 07:50 カテゴリー: ミステリー/スリラー/サスペンス, 読みやすさ★★★★() | 個別ページ | コメント (2) | トラックバック (0)
作者:Jennifer Donnelly
592 ページ
2003年3月
St. Martin's Griffin
商業的文芸小説/歴史ロマンス(19世紀の英国とニューヨーク市)
舞台は1880年代のロンドン。貧乏なアイルランド移民が多いテームズ川沿いのWhitechapel地区で育った幼なじみのFionaとJoeは、将来店を経営する夢を抱き、一緒に貯金をしていた。だがWhitechapel地区出身で成り上がりの成功者にセールスの才能を見込まれたJoeは、そのひとり娘の策略にひかかって結婚に追い込まれる。
FionaはJoeとの将来の夢を失っただけでなく、同時期に父と母、兄妹を失う。
父の死に関係がある会社の経営者に命を狙われたFionaは、 家族のうちひとりだけ生き残った幼い弟を連れてアメリカに渡航する。
ニューヨーク市で商店を経営するMichael叔父を探しあてるが、叔父はうつで自暴自棄になっている。Fionaは持ち前のビジネスセンスと人を魅了する性格で経営困難になっていた店を大きく成功させる。
だが、ビジネスウーマンとして成功したFionaは、父の復讐を果たすために英国に戻る。そこで再会したのはJoeだった。
●ここが魅力!
ともかく、最初から最後までとてもドラマチック。
ひとつの作品にまとめてしまうのがもったいないくらい沢山のドラマが詰め込まれています。600ページ近いボリュームなのに全然飽きません。
FionaとJoeの恋はまるで一昔前の昼メロのように誤解あり、すれ違いあり、でメロドラマそのものですが、彼らを応援せずにはいられない、心温まるタイプのロマンスです。 また、若い女性のFionaが得意なお茶のビジネスで成功してゆくドラマとしても十分面白い作品です。 19世紀のロンドンの下町や活気あるニューヨーク市の雰囲気、粋で明るいのに気の毒な運命のゲイの男性との友情などの詳細も楽しく、なぜか私は「NHKの連ドラ」を連想しました。
Amazon.comの読者評価平均がものすごく高い作品です。
●読みやすさ ★★★☆☆
歴史小説としては19世紀末ですから現代に近い言い回しですし、現代的なスラングはありませんが、ロンドンの下町訛はちょっとつらいかも。でも、根本的にはわかりやすい英語です。また、退屈な描写がないので、長くても飽きることはないと思います。
●アダルト度 ★★★☆☆
セックスシーンは600ページの間に4回くらい。典型的なロマンスブックではありませんが、高校生以上。
●この本を気に入った方は、
Winter Rose
Tea Roseの続編ですが、主人公は陰の大物となって生き延びていたFionaの兄と上流階級の女性には許されない医師の職を選んだ女性。フィオナとジョーも出てきますが、「重要な脇役」といったところです。
The Northern Light
YA向けの作品ですが、クラシック文学を連想させ、なかなか読み応えがあります。私の友人は「十代の娘に読ませたい作品のトップ10」に挙げています。
いつか詳しいレビューを書くつもりです。
投稿情報: 00:02 カテゴリー: ミステリー/スリラー/サスペンス, 恋愛小説/ラブストーリー/ロマンス, 文芸小説(商業的作品を含む), 歴史, 読みやすさ★★★★() | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
「多読三原則」のひとつは「進まなくなった本は後回し」です。そのことについては以前にお話しました。
ベストセラーでアマゾンの読者評価が良くても、自分には合わない本というのがあるものです。それを我慢して読むのは時間の無駄なので、「つまらない」と思ったら潔くやめたほうが良いと思います。
最近そういう本が続いたので、(作者には申し訳ないのですが)一例としてちょっとご紹介しておこうと思います。
ひとつは、Sherrilyn Kenyonの最新作Phantom in the Night (Bureau of American Defense)です。
●あらすじ
気が強いブロンド美女の防衛機関コンサルタントと犯していない罪で服役したヒロイックな元軍人の軍事スリラー/ミステリー的ロマンス。
●感想
発表する作品がすべて必ずニューヨークタイムズ紙ベストセラーに躍り出る作家なので、試してみたいと思っていました。5月末のBook Expoで入手する機会があったので試したところ、最初の数十ページでうんざりしてしまいました。ロマンス分野ですから文章の出来や軍事スリラーとしてのレベルを評価するつもりはありませんが、主人公の男女のキャラが全然好きになれないし、会話がcheesyすぎて読み進めるのがつらくなってしまいました。読みすすめるのが苦痛なロマンスというのは困ったものです。ロマンスでも、文章がある程度のレベルに達していないと読み進めるのがつらいと私は思います。
Diana GabaldonのOutlanderシリーズなどは、ロマンスであってもストーリーテラーとしての才能をひしひしと感じますから、なぜこの作家の作品がベストセラーになるのか不思議です。
●読みやすさ ★★★☆☆
文法的にはとっても簡単で★★★★☆。でも私は入り込めなかったので★★★☆☆としました。
● アダルト度 ★★★★☆
それはもう大人向けのロマンスブックですからね、こんなものでしょう。
もうひとつは8月4日発売予定のThe Counterfeit Guest(The Blackstone Key
の続編)です。
●あらすじ
前作The Blackstone Keyで出会ったMaryとBobだが、貧しかったMaryが遺産を相続して金持ちになって以来、貧しい軍人のBobは彼女を諦める決意をして徹底的にMaryを避ける。Bobの叔父が亡くなり、父を失った従妹が年上の金持ちの男性と結婚する。その男性が仏国のスパイと手を組んで英国社会の謀反を企むことを疑うMaryは英国のためにスパイを買って出る。Bobもまた別のルートから同じ相手の謀反を阻止する秘密の計画を命じられる。
●感想
ジョージアン時代の英国を舞台にした歴史ミステリー+軽いロマンスで、私の好きなSilent in the Graveなどと同じカテゴリーにくくられているのですから、楽しめることを確信していました。
ところが、ぜんぜん入り込めないのです。
まず、ミステリーだと思って読んでいたらそうではなくてスパイものでした。そのうえ、ヒロインがスパイになる過程に全然信憑性がありません。スリリングなところもスローすぎますし、ロマンスでも逃げ回っているだけのBobのどこにも魅力は感じません。意外性もなし。やっぱり第1巻のThe Blackstone Keyを抜かしたのが致命的だったかもしれません。
そうは言えど、The Counterfeit Guestのほうが上記のPhantom in the Nightより数倍も面白かったです。というのは、ストーリー以外で、当時の社交界のしきたりとか年寄りの女性の会話とかの詳細がけっこう面白いからです。文章も数倍ましです。
● 読みやすさ ★★☆☆☆
最 初「この本何年に書かれたの?」とチェックしたくらいオールドファッションな表現が多い本です。それがチャーミングに感じたのは最初の100ページくらい で、そのうちに「ああなんて回りくどい!いったい何を伝えたいの?」といらだちを覚えることが増えました。スパイものなのに展開がスローなのも読みにくさ に貢献しています。
●アダルト度 ★☆☆☆☆
登場人物2人のロマンスがこの三部作のキーになってるはずなのですが、キスシーン(すごくドライ)が一カ所あるだけで、あとは「いったい彼は何を考えているのかしら?」とMaryが悩み「Maryのことは考えないようにしよう」とBobが男らしく(?)不機嫌になっているだけです。
私はダメでしたが、上記の2つの作品を楽しく読み、高く評価している読者は沢山います。
だから誰かが悪い評価をしていても最初から「ダメな本」と決めつける必要はないし、多くの人が高く評価している本を好きになれない場合にも「自分の読み方が悪い」とか「理解力に欠けるのでは?」と落ち込む必要もないと思います。
投稿情報: 21:45 カテゴリー: ゴミ箱ゆきの本, ミステリー/スリラー/サスペンス, 恋愛小説/ラブストーリー/ロマンス, 読みやすさ★★★★(英語ネイティブの普通レベル), 読みやすさ★★★★() | 個別ページ | コメント (2) | トラックバック (0)
2005年
480ページ(マスマーケット版)336(ハードカバー)
Bantam
心理ミステリー
マサチューセッツ州警察特殊部隊スナイパーのBobby Dodgeは、家庭内暴力の人質事件でGagnon家に緊急配置される。一家の主であるJimmyが妻のCatherineと息子のNathanに拳銃を向け発砲する寸前にJimmyを銃殺したBobbyの行動はスナイパーとして正当な行為であったが、Jimmyの父は地元で強い権力を持つJames Gagnon判事である。判事夫妻は、BobbyがCatherineに誘惑されてJimmyを殺害したと信じ、糾弾する。
投稿情報: 00:02 カテゴリー: ミステリー/スリラー/サスペンス, 読みやすさ★★★★() | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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