実は私、Margaret Atwood(マーガレット・アトウッド)が2009年のノーベル文学賞を受賞するとけっこう本気で信じていました。ギャンブラーだったらオンラインカジノで賭けてたかも...。「そろそろ北米と女性の番」だというのが単純な理由です。ノーベル文学賞の選考委員たちは米国の文学シーンが嫌いだけれどカナダなら許せるだろうと。その基準を満たしている作家の中では政治的メッセージの強い作品を書き続けているアトウッドが一番近いのではないかと思ったのです。実際に多くの評論家が強力な「穴馬」とみなしていました。
そういう見方だけでなく、Margaret Atwoodは、コンスタントに生み出す作品が文学賞候補になり、しかもベストセラーになる人気作家です。ブンガクなのに売れるというところが村上春樹に似た存在ですね。もうじき70歳という年齢ながらTwitterを軽くこなしてしまう好奇心と実行力も私の尊敬するところです。(写真はLos Angeles Timesの記事より)
The Year of the Floodが出版された2009年は、アトウッドにとってはノーベル文学賞だけでなくカナダで最も権威ある文学賞のGiller Prize(ギラー賞)受賞の当たり年とみなされていましたが、Giller Prizeで最終候補に漏れ、数日後にノーベル文学賞も逃してしまいました。
せっかく私の中でノーベル文学賞が盛り上がっていたので、勝手ながらアトウッドの残念賞特集といたします。
初日の今日はまずAtwoodの代表作のご紹介です。
後ほど、1冊ずつご紹介しますね(読んでないCat’s Eyeを除く)
詩集やエッセイを含めて作品数が非常に多い作家ですので、全作をご覧になりたい方はThe Margaret Atwood SocietyのBibliograpyをご参照ください。
Atwoodの代表作
The Handmaid’s Tale(邦訳タイトル「侍女の物語 」)
1987年アーサーC.クラーク賞受賞作、1985年カナダ総督賞受賞作、1986年ブッカー賞最終候補
アトウッドが現在の地位を築くきっかけとなった代表作。彼女がフェミニスト作家とみなされる理由でもある。
Cat’s Eye
1989年ブッカー賞受賞作、1988年カナダ総督賞最終候補作。
実存のアバンギャルド画家Elaine Risleyの生い立ちを自伝風に語った物語
Alias Grace(またの名をグレイス)
1996年ギラー賞受賞作、1996年ブッカー賞とカナダ総督賞最終候補作
The Blind Assassin(昏き目の暗殺者)
2000ブッカー賞受賞作、カナダ総督賞最終候補作
Oryx and Crake
2003年カナダ総督賞受賞作、ブッカー賞最終候補
The Year of the Flood
2003年に出版されたOryx and Crakeと同じ世界が舞台。この作品発売後にアトウッドはこれらが三部作になることを発表した。
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