ワシントンD. C. の近隣ヴァージニア州アーリントンの田舎に住む Jesse(Jess)は、小学校5年生。姉二人と妹二人に挟まれたたったひとりの男の子として、何かと苦労が多い。実家は農家だが、それだけでは暮らして行けないので父親はワシントンD. C.に出稼ぎしており、残された母は貧乏な生活に不平不満を抱き、Jessに注意を払わない。
DustfingerがCapricornを助けたのは、本の世界に戻りたかったからなのだが、Capricornの目的はそれではなく、Moに「宝島」などの本を読ませ、宝を手に入れることだった。だが、不思議な力をコントロールする能力がないMoは、 One Thousand And One Nights(アラビアンナイト)からFaridという少年を出してしまう。
17歳のMarcelo Sandovalは、軽度のアスペルガー症候群で、発達障害児のための私立学校Patersonに通っている。心理療法の一部として使われる子馬(子どもではなく成長しても小さいままの馬)の世話に情熱をもやすMarceloは、夏休みにここでアルバイトすることを心待ちにしている。 ところが、高校生最後の夏休みを前に、ボストンで弁護士事務所を経営する父親のArturoが、夏休みの間彼の事務所で働くよう命じる。何をやっても許され、受け入れてもらえるPatersonだけでなく、そろそろ「実社会(the real world)を体験するべきだと父は考えていたからだ。アルバイトをうまくやりとげないと秋から公立高校に転校しなければならないと言われ、Marceloはいやいや引き受ける(自閉症スペクトラムの子どもは慣れた環境やルーチーンを変えることが非常に難しい)。
昨年発売されてから何度も読もうと思って後回しにしていたのですが、Battle of the Kids Booksのおかげでようやく読むことができました。こんな良い本を読みのがしていたとは...! 何といってもMarceloが魅力的です。 高機能の自閉症スペクトラムのアスペルガー症候群の診断を受けているMarceloは、この症候群に特有で他人の目を見ることができず、表情を読むこともできません。以前The London Eye Mysteryで書いたように、訓練である程度の判断はできますが、直感的に悟ることはできず、すべて分析しなければなりません。父母だけでなく、自分のことも三人称の名前で呼び、常に自分と他人を分析するMarceloは、他人からは「頭の働きが鈍い」と誤解されていますが、その逆ですべてを忙しく分析しているので、時間がかかるのです。これは、今年17歳になった米国人の甥とよく似ています。親戚の中で彼の知能をバカにしている人をよく知っていて、その人の前では全然喋りませんが、後で観察したことを詳細まで全部報告してくれます。
これまで安全な子どもの世界に浸って来たMarceloが、まったくルールの異なる実社会に放り出されて、「大人」として成長するこの物語は、心が暖かくなります。Battle of the Kids Booksではさっさと敗退してしまいましたが、この16冊の中で、私が一番楽しく読めた本でした。
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