272ページ(米国版ハードカバー)
368ページ(日本から入手可能なペーバーバック)
2010/7/13(米国での発売日)
心理スリラー/ヤングアダルト
17歳の高校生Katherineには他人に知られたくない過去がある。完璧だった家族を打ちのめした事件の記憶から逃れるために名字を変えて新しい土地の新しい学校に通い始めたkatherineは、秘密を知られたくないので友人を作らなかった。だが、そこに学校の人気者の美少女Aliceが接近する。魅力的なAliceの親友になったKatherineは、つい秘密を打ち明ける。自己中心的なところはあるが活気に満ちたフレンドリーなAliceにすっかり魅了されていたKatherineだが、しだいに彼女の陰湿な部分を発見し、付き合いをやめようとする。
けれども、Aliceはそう簡単にKatherineを解放しようとはしなかった。ストーカーのようにつきまとい、Aliceの心の傷をえぐろうとする。そして、ついにはもうひとつの悲劇をひきおこす。
●感想
Publishers WeeklyがStarred Reviewを与え、The Wall Street Journalが“publishing phenomenon”と評し、先に出版されたオーストラリアでベストセラーになったというのに、なぜかAmazon.comの読者評が非常に低いので興味を抱き、自分で確かめてみることにした本です。
17歳の少女の一人称で、しかも(わざと)現在形で書かれているために、稚拙な印象を持つ人がいるようですが、これは意図的なものですから、私は悪文とは思いませんでした。
問題があるとすれば、登場人物の脇役たちの人物描写が二面的であること、そして、心理スリラーを読み慣れている人にとっては筋書きが読めてしまうことです。登場する少年たちがあまりにも(女性の理想を反映してか)善良すぎてリアリスティックではなく、逆に女性の登場人物には嫌悪感しか覚えないかもしれません。そういった意味では、男性読者には向かないと思います。だんだん異常になっていくAliceの不気味さも、こういったものを読み慣れていない方には恐ろしいでしょうが、読み慣れている人は「この程度?」
と肩すかしを覚えるでしょう。
このような欠陥があるものの、よく売れていて読者評価も高いスリラーでもこの程度のものは多いです。簡単に入り込め、読み始めたら最後まで一気に読めるスピード感は、おすすめに値します。
また、これはヤングアダルトのカテゴリーで売られるべき本です。そうしていたら、もっと読者評価は高かったと思います。
「“publishing phenomenon”と呼ぶほどのオリジナルな凄さはないけれど、まあまあ面白い心理スリラー」というのが私の評価です。
●読みやすさ 中程度〜やや簡単
YAレベルの本です。
17歳の少女の一人称、しかも現在形で書かれているので、非常に分かりやすく、読みやすいものです。私は半日で読めましたから、多読で洋書に慣れたい方におすすめです。
●アダルト度 中、高校生以上
どぎつい描写はないのですが、レイプの場面やセックスの話題があります。ゆえに中高校生以上が対象。
コメント
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