読書指導をしているMoeさんの提案で、The Omnivore's Dilemma(Young Readers
Edition)を読み始めました。私たちが何気なく食べている食品について、いろいろと考えさせられる本です。そこでいつものように1冊全部を読んで感想を話し合うのではなく、少しずつに分けて深く話し合うことにしました。
みなさんも、ぜひ一緒にこの本を読んで、コメントに感想を書いてください。一応子供用の本ですが、大人にも十分読み応えある内容です。日本人のお子さんは学校であまり社会的なテーマに触れないので、たとえ日本語でも高校生レベルと言えるかもしれません。洋書を読みたい日本人の大人にもおすすめです。
対象:中・高校生/ノンフィクション
書評 by Moeさん(小4)
今回は、IntroductionとPart I の1-4です。
Introductionもえさん: Introductionで気に入ったところは、読者を引き込むところです。どうやって引き込んでいるかというと答えは いくつもあるので、その中で特に気に入ったものを紹介します。
まず始めにイメージを使っているところです。たとえばポテトについて書いている時Idaho州を使っています。これはほ ぼ全ての人がIdahoと聞くとポテトをイメージし、読者はだいたい次に来るものが予想できるので、分かりやすいというわけです。
もう一つ好きなのは語っているように書いているところです。なぜなら普通に話しかけられているのと、硬い言い方で言われるのでは、話しかけられている方が聞きたくなる からです。
渡辺:作者は、前書きの部分でなぜ彼がこの話題に興味を抱いたのか、そしてこれから何を語ろうとしているのかを簡単に説明しています。
なぜ?の部分を読むと、「この本を読むと、何も食べたくなるかもしれない」という悪い予感がしてきます。けれども、子供向けの本だということを考慮しているのでしょうか、作者のマイケル・ポランは、前書きのまとめの部分でこう言っています。もえさんには、「親としては、ここの部分がとても重要に思える」と伝えました。
But the point of this book is not to scare you or make you afraid of food. I think we enjoy food much more if we take a little time to know what it is we’re putting in our mouths. Then we can really appreciate the truly wonderful gifts that plants and animals have given us.
また、ここでポランは、私たちが食べているものを次の4つに分類しています。この分類に従い、Part 1, 2, 3, 4が構成されていることがわかります。
Industrial
スーパーマーケットで買える大量生産の安い食品。
Industrial Organic
商業的に大量生産されているけれども、抗生物質、成長ホルモン、化学肥料、殺虫剤などを使わない食品。流通は前述と同じ。
Local Sustainable
いろいろな野菜や動物を育てる小規模の農場。加工されず、収穫された場所から近い場所で消費される。
Hunter-Gatherer
最も古いスタイル。自分で食べるものを自分で育てたり、狩ったり、釣ったり、摘んだりするもの。
Part 1-1 How Corn Took Over Americaもえさん: この章で分かったことの中で一番びっくりしたことは私たちが毎日食べているトウモロコシはcarbonが違うことです。また、作者のMichael PollanがFood Detectiveになりきっているので、私もなりたいなと思いました。最近スーパーに行くと、ラ ベルをよく見るようになりましたが、やっぱり色々な製品にトウモロコシが含まれていました。
この章では難しい単語を使うようになりましたが図を使っていたのでよく分かりました。Fan Factコーナーなどもあり、楽しめました。また重要なところは大きくて太い文字を使っていたのでポイントがよく分かりました。
渡辺:アメリカ人が食べているものの殆どが実はトウモロコシなのだ、というショッキングな導入部分です。牛肉もチキンもミルクも、もとをたどると実はみ〜んなトウモロコシになってしまうという話には仰天するかもしれません。
もえさんが指摘されたように、イラストや表、図、が多いのが参考になります。
Part 1-2 The Farm
もえさん:
この章で一番心に残るのはAgribusinessとFarmerのことです。私はAgribusinessがひどいと思いました。なぜなら安いトウモロコシを私たちには高く買わせているに、Farmerからは安く買い取っているからです。面白かったところは人のお話のように、髪の色などを詳しく説明していたところと、写真を使っていたところです。
渡辺:この章で紹介される悪役はAgribusinessです。
まずひとつは、トウモロコシの種を売るビジネスです。生産率のよい交配種(hybrid)と遺伝子組み換え作物(GMO)の紹介と、それらが、農家が激減していることに繋がっていることが説明されています。農家と農業のかたちがすっかり移り変わってしまったことがわかります。
Part 1-3 From Farm to Factoryもえさん: この章では前の章の内容により詳しく入っていきます。まずトウモロコシを作るには種が必要です。だからFarmerは Agribusinessから種を買います。ところが一年たってまたトウモロコシを作る時、去年の種を使うと全く同じ物が出来る可能 性は少ないのです。だからまたAgribusinessに買いに行きます。その次の年もその繰り返しです。これは Farmerが必要のないことにお金をかけてしまっている例の一つです。
もう一つ問題になっていることはトウモロコシをAgribusinessが買う値段です。Farmerは生活のために多 くのお金が必要です。だから沢山トウモロコシを作ります。けれどいっぱい作るとかえってトウモロコシの値段が安くなります。 だからもっとトウモロコシを作ります。けれどそうすると・・・・・というわけなのです。
渡辺:前章の続きの話題ですが、戦争で残った爆弾の材料がそのまま化学肥料に利用されたことが冒頭で紹介され「さすがアメリカ」という感じです。
農業ビジネスがいかにしてアメリカの農家から搾取し、農業を破壊し、環境までもを破壊しているのか、その巧妙な手口がここで明かされています。政治戦略も書いてあるので小学生のもえさんには、ちょっと難しいテーマですが、なかなか良く理解されていると思います。アメリカではこういう話題を小学校高学年のときから学校でもとりあげたりしますが、この章は日本ではたぶん高校生レベルの話です。
Part 1-4 The Grain Elevatorもえさん: この章ではトウモロコシがGrain Elevatorに乗る前どんなことが起こっているのか分かります。これを知るとコカコーラ が飲みたくなくなると思います。なんとトウモロコシは土の上に放置されるのです!
好きだったところはグラフを使っていたところと最後の文章です。それは
Enter the corn-fed American steer.
です。なぜなら前にも書いたように語りかけられている気がして、次に何が起こるか知りたくなるからです。
渡辺:収穫された後のトウモロコシはどのように扱われるのか、これを読むと、少々というかずいぶん食欲が薄れるかもしれません。また、スーパーマーケットで成分表の部分をじっと眺めたくなるかも。
ここまでの感想もえさん:ここまで読んできて、トウモロコシはいろいろな物に使われていることが分かりました。人間がトウモロコシでできているなん て、今まで考えてもみなかったことだったのですが、だんだんOmnivore's Dilemmaが何なのか分かり始めた気がします。
渡辺:真面目な話題のノンフィクションですが、とても読みやすく、探偵もののようです。それが私たちが現在食べているものなので他人事ではないのですが。 次の章はもっと食欲がなくなりそうなことが書いてありますが、それは次のお楽しみです。
もえさんが利用したマインドマップ
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