このレベル(Amazon.comではよく9-12と書かれています)では本格的な洋書の読書体験が楽しめます。小学校高学年向けとの差は英語の難易度ではありません。心理的にこの年齢に適したカテゴリーという意味です。
従って、英語の難易度だけであれば、この下のレベルの作品より簡単なものから、この次のヤングアダルトのカテゴリーより難しいものまで揃っています。小学校高学年向けのカテゴリーに入れた本の中にも、この年齢向けの面白い本が沢山ありますのでそちらも参考にしてください(実際にどちらに入れるべきか迷ったものが沢山あります)。この次のヤングアダルト(YA)との決定的な違いは、扱うテーマの成熟度です。高校生が読者層のヤングアダルトジャンルには子供向きではないテーマと表現が多く、どんなに英語力があってもそれより若い読者にはおすすめできません。
また、このレベルには、英語がネイティブの大人でも楽しめ、クラシックとして読み継がれるような傑作が多いのです。大人でも子供でも、このカテゴリーを沢山読みこなせば、成人用の本も簡単に読めるようになるでしょう。
下記の他にも新刊を中心とした洋書ファンクラブの9-12才向けカテゴリーをご参照ください。
The Last Unicorn
多くの有名なSF/ファンタジー作家が「最も心に残る児童書の傑作」としてあげている名作です。
児童書のカテゴリーですが、単語や表現が難しいので、中学校以上に変更しました。
The Two Princesses of Bamarre
Ella Enchanted で有名なLevineによる中世王国ものファンタジー。ロマンチックかつ強いヒロインが登場するガールパワーが好きな小学校高学年から中学生におすすめ。
Caddie Woodlawn
1935年に書かれたニューベリー賞受賞のクラシック。19世紀のアメリカの田舎を舞台に男の子のように活発だったCaddieの心温まるストーリー。作者の祖母がモデル。私の娘が小学校高学年の時に読んで今でも「いい本だった」と感想を言う本。若草物語などが好きな人におすすめ。
Lion Boy三部作
猫の言葉がわかるCharlieが行方不明になった両親を探す冒険もの。男女の差なく、どの子でも楽しめる本です。
Artemis Fowl
12才の天才犯罪者Artemis Fowlの冒険もの。アメリカ人の甥が中学生のころ一字一句全部暗記するほど好きだったシリーズです。小学校4年生くらいから楽しめます。
50年前に書かれたものですが、児童書SFのクラシックとしていまだに人気がある作品です。小学校高学年から楽しめます。
映画も悪夢を観そうな怖さですが、オリジナルの本も。小学校高学年から中学生には異様に人気のあるホラーです。ただし、ゲイマンの英語はイギリス英語で文体に癖がありますから、決して読みやすいとは言えません。
The London Eye Mystery
私はLondonの巨大な観覧車London Eyeに乗ったことがあるのですが、ロンドン全部が見渡せる楽しい乗り物です。TedとKatを訪問している従兄のSalimがLondon Eyeにひとりで乗り込み、そのまま姿を消してしまいます。自閉症スペクトラムあるいはアスペルガー症と思われるTedの一人称で語られるこのミステリーは、小学校高学年でも大丈夫ですが、このニュアンスをちゃんと理解するためには、中学生から高校生である必要があるかと思います。Tedの世界観は大人でも楽しめます。336ページと分厚い本なので、本を読むことに慣れた方におすすめします。
Things Not Seen
これはこのカテゴリーの中でも精神・心理的に成熟した読者向けです。けれども大人が読んでもそのbeautyに心打たれます。透明人間になってしまった15才の少年Bobbyの孤独感をティーンの社会心理とともによく描いています。
A Little Princess
英語力がついたらぜひ挑戦していただきたいのが、クラシックです。Burnettの「小公女」と「秘密の花園」はぜひ省略されていない原作で読み、当時の寄宿制の学校の詳細などを楽しんでいただきたいです。昔の表現がありますから、現代のものよりもは難しく感じるでしょうが、Burnettに読み慣れれば、大人のクラシックも読みやすくなります。
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