レベル:中学生から(ヤングアダルト)
by MoeさんDahlが、戦闘機に乗っていたころの自伝です。 Boyの続編です。
Dahl がアフリカの石油会社Shellで働いていた時、第二次世界大戦に行くことになりました。飛行機の実物を見たこともないDahlが、戦闘機に乗ると聞いて、やはり大人になっても、彼の子供の時からの冒険好きな心は薄れないのだな、と思いました。また、七時間しか練習していないのに、もう戦争に出されるということを知り、戦争の人を大切にしない残酷さが初めて間近にわかりました。
Dahlが、まるで今その出来事が起こっているかのように語ってくれるので、読者にも彼の悲しさや喜びがダイレクトに伝わります。
この本には、暗いエピソードが書かれているのに、Dahlはそれを明るくしているので、本当の子供の本の作家だと感じました。また、この本も写真や手紙が載っていました。もっとDahlの人生について知りたくなります。
渡辺のメモ戦争の恐ろしさまでユーモアももって語ってしまうダールには脱帽です。
けれども、同時にダールの言動について疑問を抱くところもあります。それについてもえさんと話し合いました。
また、もうひとつ話し合ったのは、「人は自分の体験のみで全てを判断してしまう傾向があるが、それは真実の一部でしかないことを忘れてはならない」ということです。たとえば戦争でドイツ兵と闘ったことがある英国人は「ドイツ人は酷い奴だ」と思い、日本兵に友人を目の前で殺された米国の兵士は、一生「日本人は残酷だ」と思うでしょう。そして、原爆を体験している日本人は「米国は残酷な国だ」と思う。それぞれの人にとってそれは真実だけれど、別の角度から見ればそうではない場合もあるのです。
この本の中に、ダールがなぜイスラエルについて後に問題発言をしたのか、その理由を想像させる体験が出てきます。けれども、それを読んだだけで判断してはならない。「どんなに良い本でも、どんなに良い人でも、その人の言葉や本だけで、真実を分かったつもりになってはいけない」と話し合いました。
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