ボストンを拠点にする著者のC.C. Chapmanは、かつてHBO, Discovery Channel, Harley-Davidson, A&E, American Eagle,Coca-Colaといった大きなクライアントを抱えるマーケティング会社を経営していたのですが、その会社を売ってThe Cleon Foundationを創立しました(情報公開:C.C.は夫の友人であり、私も会ったことがあります)。
The Cleon Foundationのミッションは、Making the World Better Through Creativity(創造性を活かして世界をよりよいものにすること)です。これまで蓄積したマーケティングとソーシャルメディアの知識と技術を駆使して、世界をより良くするための活動をしている会社や団体がそれを実現するお手伝いをするのがC.C.Chapmanの目指していることです。
彼の新刊 Amazing Things Will Happen は、ビジネス書というよりも、モチベーションを上げる自己啓発本です。
2011年に亡くなったアップルの共同創業者でCEOのスティーブ・ジョブズについては多くの本が出版されている。昨年ブログでご紹介したSteve Jobsもそのひとつである。 だが、このZen of Steve Jobsは、ジョブズの人生全体ではなく、彼と日本人僧侶乙川弘文の友情に焦点を絞っている。グラフィックノベルのかたちはとっているが、Forbesとデザイン会社のJess3が共同で制作したまじめな「伝記」である。
昔は私もよくプレゼンをしましたし、外資系の会社に勤務しているころは英語のプレゼンや講演の通訳もやりました。だからダメなプレゼンがどんなものかは熟知していると言っても過言ではありません。最悪なプレゼンは聴衆を無視した自己満足なものです。ジョブズは、プレゼンテーションとはロックコンサートや演劇のパフォーマンスのようなものであり、「お客様」に「素晴らしい体験」をしていただくことが大切なのだと自覚しています。「Your Audience wants to be informed, educated, and entertained」とGalloが説明するように、聴衆は、製品の情報だけでなく、なんらかの学びと楽しい体験を期待しているのです。
ジョブズはプレゼンを古典文学のように3つのAct(劇の幕)に分けています。起承転結という感じですね。そこでGalloも本書を3つのActに分けています。 1幕の「Create the Story」では、まず製品に関する、観客を虜にするようなエキサイティングなストーリーを作り上げる方法を説いています。 2幕の「Deliver the Experience」は製品の実際の内容や使い方を説明する方法ですが、ただ説明するのではなく、観客に「これが欲しい」いや「持たねばならぬ」と思いこませるような体験を与える方法です。 3幕の「Refine and Rehearse」は演出と練習です。演劇を少しでもやったことがある方ならピンとくるでしょうが、単純に見えるシーンの背後には綿密なプランと練習があります。ここでは、衣装からボディランゲージ、声の調子など細部の演出について説明しています。
難しい言葉を使って語ろうと思えばいくらでもそうできる複雑な内容を、非常にシンプルな言葉(ジョブズもそう)でシンプルに説明しているところが最大の魅力です。私が気に入ったフレーズの一例は’ Deliver a “holy shit” moment’ 。この一言で多くのことがいっぺんに理解できてしまいますよね。それから‘Sell dreams, not products‘というフレーズなんかも。優れたコミュニケーションがどういうものであるかをGallo自身が実践しているわけですね。
サブタイトルが「The End of the World as We Know It」なので、今後のGoogleがいかに世界を制覇していくのかといったことまで言及されていると想像しますが、そうでもありません。また、ITに詳しい人にとっては技術的な考察が足りないらしく、それらが米国の読者の批判になっているようです。ですが、社会現象に好奇心を抱く私のようなタイプにはそれぞれの人間性にも触れることができ、非常に面白い本です。これまでに多くのGoogle本が出ていますが、ぐいぐい引き込ませる文章力ではAulettaがたぶんトップでしょう。
ソーシャルメディアの専門家である夫が「この若者に会ったが、なかなかすごい奴だよ」と薦めるので読んだのが、このMe 2.0: Build a Powerful Brand to Achieve Career Success。 作者のDan Schawbelはたったの25歳ですが、すでに8年のマーケティング経験を持ち、Personal Branding Blogでグルとして布教をしている時代の寵児です。口先だけでなく、ちゃんとグローバルな大企業EMCでスペシャリストとして勤務しているところも信頼できるところです。
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