「これを読まずして年は越せないで」賞のノミネート作品を、先日から9回にわたって4作ずつ紹介しています。今日はその第8回。公平になるようにアルファベット順です。
でも、せっかく2009年の賞ですから、2008から2009年にかけて出版されたものや今年映画化などで話題になったものにはつけさせていただきます。また長めの推薦文は別ページにリンクいたしましたのでよろしくお願いします。
本日のノミネート作品と推薦者
The Tattooed Girl by Joyce Carol Oates
デンスケさん
Team Of Rivals by Doris Kearns Goodwin
shojiさん
To Have and To Hold by Philipp Blom
春巻きさん
When the Night Doth Meet the Noon (Poems by John Keats)
nekotanuさん
作品紹介
The Tattooed Girl by Joyce Carol Oates
作品数が多い作家の中で最も有名なひとりがJoyce Carol Oatesです。作家たちが「私はJoyce Carol Oatesじゃないからね(苦笑)」といったジョークを口にするのを何度も耳にしたことがあります。作家のJulia Glassから直接聞いた話では、Oatesは小説を1行目から最後まで順番に書き、書き終えたら決して「書き直し」をしないらしいのです。ブログですら誤字、脱字、勘違い、エトセトラ...なしに書けない私にとって、そういう人間の存在は想像もできません。「書き直しなしでこの完成度なのはすごい」と褒めたたえるか、「だからこの程度の作品なのか」と納得するのかは読者の好みによるのだと思います。近年は毎年ノーベル文学賞候補にもなっています。
推薦者デンスケさん の推薦文
Team Of Rivals by Doris Kearns Goodwin
オバマ大統領の愛読書として有名になった本です。図書館の理事をしている私の友人が号泣しながら読んだたという話を聞き、試しに借りてみたのですが期間が切れて返却したという情けない話です。ネイティブでも読了に時間がかかる本ですから、他の本にすぐ浮気心がわく私には辛い作品です。電話もインターネットもない森の小屋にこもって読むべきですね。
推薦者shojiさんの推薦文
リンカーン大統領が選挙の際のライバルたちを自らの政権のなかに取り込んでいきす。最初はリンカーンを軽蔑さえしていたライバルが彼に魅了されていきます。なかでもスオード国務長官はリンカーンが暗殺されたと聞いて涙します。史実でありながら人間ドラマとして読めます。
To Have and To Hold by Philipp Blom
開高健の「悠々として急げ」に登場するノミ博士坂口浩平は学生時代の恩師でした。世界的に有名なノミの蒐集家で、神戸にある自宅にお邪魔したときに、親の財産をはたいて集めたというものすごい数のノミと虫を見せていただいたことを覚えています。わが家にもアポロ計画の蒐集家(ダンナ)がいるので、蒐集家というものがどういう存在か私はよく知っています。それゆえこの本には興味がわきます。夫へのクリスマスプレゼントとして買ってやろうかと考えています。
推薦者春巻きさんの推薦文
本、昆虫、骨、アート、驚異の部屋からハプスブルク家やJPモルガンのコレクションまで、蒐集家の歴史。16世紀科学者が集めた膨大な収集品やハプスブルク家の神ローマ皇帝ルドルフ2世の驚異の部屋、オランダの解剖学者やピョートル1世の人体に対する興味は、現代の博物館の前身となりました。自然科学や骨董品、聖遺物だけでなく、書籍や絵画、ミルクのボトルキャップやプラスチックのカップまで、集めることに駆り立てられた人々の歴史が詰まっています。わくわくすると同時に、そこまでするか、と思うようなことも。読んでいる最中、まるで大きな博物館を訪れているような気分になりました。
When the Night Doth Meet the Noon (Poems by John Keats)
キーツといえば、Fanny Brawneとのロマンスとたった25年の短い人生を描いたロマンチックな映画Bright Starが今年公開されましたね。娘と予告編を観て「素敵。観たい」と言っていたのに、彼女は同級生の女の子たちと一緒に見に行ってしまいました。まあ、そんなもんでしょうね。DVDで観る前にぜひ彼のロマンチックな詩を読んでおきたいです。
推薦者nekotanuさんの推薦文
Keatsの詩は有名ですが、この本はKeatsが詩作した時代と同じ頃のロマン主義を中心とした画家たち、TurnerやConstableなどが描いた風景や人物(Keatsの肖像画もあります)と詩を見開きで鑑賞できるように構成された「文学・絵画館」のような本です。
コメント
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