「これを読まずして年は越せないで」賞のノミネート作品を、先日から9回にわたって4作ずつ紹介しています。今日はその最終回の第9回。公平になるようにアルファベット順です。
でも、せっかく2009年の賞ですから、2008から2009年にかけて出版されたものや今年映画化などで話題になったものにはつけさせていただきます。また長めの推薦文は別ページにリンクいたしましたのでよろしくお願いします。
来週月曜から投票が始まります。おひとりさまで第一選択から第三選択まで3票投票できますから、今週末じっくりと時間をかけて候補作をお選びください。
本日のノミネート作品と推薦者
When you are engulfed in flames By David Sedaris
ピアレス ゆかりさん
Wisdom. Madness and Folly by R. D. Laing
nekotanuさん
World Without End by Ken Follette
Kamekichiさん
作品紹介
When you are engulfed in flames By David Sedaris
2008年6月発売で2009年6月にペーパーバック発売。David Sedarisの人間性あふれるユーモアにはぜひ触れていただきたいのでいつかご紹介せねば、と思っていました。これが最も新しい作品で彼が東京に旅したエピソードも載っています。
推薦者ピアレスゆかりさんの推薦文
私はカナダに住んでいることと、普段全くと言って良いほどラジオを聴かないのでNPRでは知らない人は居ないというほど有名なDavid Sedarisのことは殆ど知りませんでた。ですがこのエッセイ集、友だちに「絶対面白いから」と薦められて読み出し、あっという間に読み終えてしまいました。エッセイなので気合を入れずにさくさく読めるのが良いし、とにかく面白い話が多く、ユーモアの表現の巧みさには思わず唸ってしまいます。自虐的ユーモアが殆どですが声を出して笑ってしまった部分も沢山!
最後の章は、日本滞在記になっており、タイトルの「When you're engulfed..」はホテルの非常時の対応説明書にあった言葉だそうで、そういわれると日本での英語独特のちょっとズレた英訳ですよね。
Wisdom. Madness and Folly by R. D. Laing
(Amazon.co.jpの商品説明より)
少年期に抱いた人間への果しない疑問.やがて青年医師の存在への問いは,分裂病の実存研究『ひき裂かれた自己』に結晶する.《あなたと私》とは誰か——.新しい分裂病論と対人関係論を拓いたレイン30歳までの自伝.
推薦者nekotanuさんの推薦文
訳本では「わが半生」という、R. D. Laingが自身の半生を綴った作品。人の心の絡まり
(狂気)を詩のように描いた「結ぼれ( Knots )」は常に読み返したくなるほどですが、それを生み出した彼の成育歴は?という疑問から大いに遅れ馳せで読んでみました。自分の中に自然に存在する狂気を無意識に語っているような、こんな自叙伝もあるのだ、と感じる作品です。
World Without End by Ken Follette
Ken Follettのすごいところは、ミステリーでも歴史小説でもすんなりと読ませてしまう手腕でしょう。Follettの歴史小説ではThe Pillars of the Earthしか読んでいませんが、ドラマチックでありつつ、ドロドロした感情の絡み合いが女性作家よりも少ない感じです。そこが私の夫には気に入ったようです。歴史小説ジャンルでは女性作家が活躍していますが、それが苦手な方にはFollettの歴史小説がおすすめです。
推薦者Kamekichiさんの推薦文
前作のThe Pillars of the Earth を読んだことが有り、その続編ということで手にしました。小さな活字で1200頁を超える大作で苦労しましたが、物語の展開、登場人物のキャラクターなど前作にも増して魅力的な作品で、飽きることなく読み終えることができました。
中世ヨーロッパの社会情勢、権力者の横暴、戦乱や黒死病の蔓延の中で、都市の再生、繁栄を志し、夢を実現させていった市井の人々の姿に心を打たれます。物語の最後で主人公の二人が、聖堂の塔上で交わす会話、情景の描写は感動ものです。
前作と合わせて、一読をお勧めしたい作品です。
コメント
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