「これを読まずして年は越せないで」賞のノミネート作品を、先日から9回にわたって4作ずつ紹介しています。今日はその第7回。公平になるようにアルファベット順です。
でも、せっかく2009年の賞ですから、2008から2009年にかけて出版されたものや今年映画化などで話題になったものにはつけさせていただきます。また長めの推薦文は別ページにリンクいたしましたのでよろしくお願いします。
推薦者の方で推薦文を書き足したい方はご連絡ください。
本日のノミネート作品と推薦者
Sara Midda's South of France - A Sketchbook by Sara Midda
nekotanuさん
Scrapbooks: An American History by Ms. Jessica Helfand
春巻きさん
Slumdog Millionaire by Vikas Swarup
コニコさん
点子さん
monasumiさん
tales from outer suburbia by shaun tan
rumblefishさん
作品紹介
Sara Midda's South of France - A Sketchbook by Sara Midda
南仏の体験をスケッチと一緒に語るという作品は想像しただけで、うっとりします。サンプルのイラストがまた素敵です。この本の解説を読んでいるだけで「ああ、南仏に行きたい」と夢見心地になってしまいました。
推薦者nekotanuさんの推薦文
Sara Midda は日本でもファンの多いイラストレーターですが、この本は彼女が南仏を旅した時のスケッチや散文が盛りだくさん。既刊の"In and out of the garden" と同じような装丁になっているのが心憎い。カバーから本体、ページの隅々までどこを開いても楽しめるくらいデザインが考慮されていて、こういう本が本棚にあると、ウキウキしてしまう小さな芸術品だと思います。(アートにしてはお値段も手軽)
Scrapbooks: An American History by Ms. Jessica Helfand
2008年11月発売。Amazon.comの2008年11月The Best of Month.
スクラップブックでアメリカの歴史を読むというもので、これもまだ読んでいない作品の中では「欲しい!」と感じたもののひとつです。個人的な視点で歴史を学ぶという感覚が私にぴったり。高いけれど買おうかなぁ。。。と迷ってるところです。
推薦者春巻きさん の推薦文
19世紀初頭から現代までの、個人のスクラップブックを通してアメリカ文化を俯瞰するという本です。スクラップブックの制作者は無名の一般人が中心ですが、なかにはゼルダ・フィッツジェラルドやリリアン・ヘルマンなどの有名人も。写真や新聞記事、雑誌の切り抜き、チケットの切れ端など、さまざまな紙の断片から歴史や記憶をかいまみることのできる、眺めているだけでも楽しい1冊。解説を読むと、さらに当時の時代背景を知ることができ、アメリカの生活文化史を学ぶのにも最適。
Slumdog Millionaire by Vikas Swarup
2008年に映画が公開されました。その原作となった本作品は「Q & A」というタイトルで作者はインド人の外交官Vikas Swarupです。推薦者のみなさんがご指摘していらっしゃるように、内容は映画とはずいぶん異なります。というか、似ているのはスラム出身の主人公がクイズの答えを知っていたのはその苦難の体験だったという点くらいです。まったく別の作品として読んだほうが良いかもしれません。読みやすい作品なので、少し英語の本を読み慣れてきてステップアップしたい方にもおすすめです。
推薦者コニコさん の推薦文
ばかばかしいテレビクイズ番組は消して、極上のエンターテーメント、原書「Q&A」を満喫してはいかがでしょうか。クイズに答えるたびにゲームのステージをクリアした充実感があり、賞金が増えていくスリルも満点。年末のこの時期にジャンボくじが当たるような興奮があじわえます。
推薦者点子さん の推薦文
インド版「クイズ・ミリオネア」にスラム出身の少年が出場し勝ち抜いていく物語。クイズ1問につき一章、なぜ彼が答えがわかったかというお話が展開されます。短いセンテンスで繰り返しを用いたスピード感溢れる文体は、スリル満点のストーリー展開にぴったりで読みやすく、読み出したらやめられないことまちがいなしです。また少年の恋心やタージマハールの美しさなど、情感のある描写も盛り込まれベストセラーになるだけのことはあります。
推薦者monasumiさん の推薦文
スラムで育った孤児のラムが、ほんの少しの幸運を元手に掴む夢。アカデミー賞を取った映画が有名だが、原作の細かい描写を読むと味わいが深い。インドの文化や社会に馴染みがなくてもどんどん引き込まれる小説。
tales from outer suburbia by shaun tan
2009年発売です。先日レビュー書きましたので、詳細はそちらをごらんください。
推薦者rumblefishさん の推薦文
tanの絵もストーリーも大好きです。"The Arrival"から注目しているのですが、この短編集もヘンテコでいて味わいがあり本のつくりもふくめてすべて大好きです。
こんにちは、とら次郎さん。
ノミネート作品の推薦文をお楽しみいただき、嬉しいです。
せっかくみなさんが一生懸命書いてくださった推薦文ですから、沢山の方に読んでいただきたいものです。
私も記事をアップしながら、「これ読みたいな。でも時間が〜」という感じで心ひかれっぱなしです。
もともと「本好きが集まってあれこれ話し合う場所」を作りたくて始めたこと(だから洋書ファンクラブ)なので、これからもみんなで「これを読め!」と押しつけ合うのを楽しめる場にしたいと思います。
よろしくお願いいたします!
投稿情報: 渡辺由佳里 | 2009/11/20 11:59
ノミネート作品の推薦文をとても楽しんでいます。
以前に「読書好きの悪い(良い)癖は、自分のおすすめ本を「これを読め!」とみんなに押し付けたくなること」と書かれていましたが、
読書好きは、紹介文に惹きこまれるとその本を読まずにはいられない、というのも良いような悪いような癖だと思うんです。
読むスピードがまだまだの遅く、積読の洋書がたっぷりあるのに
皆さんのノミネート作品が読みたくて読みたくて
じたばたしております。
・・・ああ、楽しい!
投稿情報: とら次郎 | 2009/11/20 07:57