9章 努力していても「不祥事」は起こる
日本の学校で不祥事が起きると、必ずと言ってよいほど同じ反応が起こります。
不祥事を起こした当人、管理責任がある校長、それを管理する教育委員会を、マスコミと国民がよってたかって非難し、糾弾します。マスコミが小出しに出てくる情報をテレビや新聞、インターネットで知り、あたかもその場にいたかのように他人に伝えます。むろん、実際に深刻な問題があることもあります。けれども、巷に広まってゆくのは、もともと疑わしい情報に推測や創作が加わった「真実」なのです。
お茶の間で、職場で、ソーシャルメディアで、「なんて不道徳な人間たちなのか!」、「こんな人間がいるなんて恥ずかしい」、「罰を与えるべきだ」、「許してはならない!」という怒りの声が盛り上がります。「責任者は謝罪しろ!」と求め、謝罪すると「謝罪のあの台詞が気に入らない!反省していない!」とさらに怒ります。
こんなに正義感が強い人が多いのですから、マスコミが彼らの怒りをかきたてることで、きっと理想的な社会が実現することでしょう。少なくとも怒りの拳を振り上げる人はそう信じているはずです。
でも、現場の事情を知らず、現場に行って長期的に力を貸すつもりがない人たちの「正義感」にどれだけ効果があるのでしょうか?
それを考えていただくために、ぜひこの実話をお読みいただきたいと思います。
【注意】この章を読む前に、必ずこれまでの章をお読みください。
最近のコメント