著者:Jonathan Stroud
ハードカバー: 448ページ
出版社: Disney-Hyperion
ISBN-10: 142316492X
発売日: 2014/9/16
適正年齡:PG9(小学校高学年から中学生対象、大人でも楽しめる)
難易度:中級〜上級(物語に入り込みやすいし、読みやすいが、米国の児童書よりもやや難しめ)
ジャンル:児童書/ファンタジー(ホラー)/ミステリ/冒険
キーワード:幽霊、超常現象、冒険、忠誠心、友情
昨年(2013年)の「これを読まずして年は越せないで賞」の児童書部門トップに輝いた『The Screaming Staircase (Lockwood & Co. #1)』の続編。続編だが、通常のファンタジーではなく、ミステリのようにそれぞれの本で事件が解決するようになっている。
FittesエージェンシーのQuill Kippsの嫌がらせに怒り心頭に達したAnthony Lockwoodは、墓から盗まれたbone mirrorを探し出す難題解決を挑戦する。先にこの鏡を見つけた者に対して、敗者がタイムズ紙に全面的謝罪の公告を掲載するというものだ。
暗黒の歴史と欲が絡んだこの鏡は、覗きこんだ者を殺す恐ろしい力があった。それなのに、人々はその鏡を覗きこまずにはいられない。
しかも、骸骨とbone mirrorの間には何かしら関連がありそうだ。
Lucy, Lockwood, Georgeの三人は、命の危機だけでなく、友情の危機にも直面する。
シリーズでは一冊目が面白くても、だんだんそのパワーを失うことが多い。けれども、Lockwood & Co.にはその心配は不要だった。今回もハラハラドキドキの展開だし、しかもLucy, Lockwood, Georgeの三人の性格の長短が浮き彫りになり、友情も深まる。彼ら三人の人物造形は、ハリー・ポッターの三人よりもリアルだし、深みがある。特に語り手のLucyの普通さがとても魅力的だ。
Bartimaeusのときもそうだったけれど、著者のJonathan Stroudは、大げさでない普通の魅力的な少女を作り出してくれる。また登場人物の少年たちのプライドや弱点もとてもリアルで共感を覚える。ただの嫌な奴だと思っていたQuillの別の側面も見せてくれたのも良かった。
小学校高学年から中学生向けに書かれたシリーズだが、(私を含めて)大人の読者が十分楽しめる作品である。
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