Lisa Unger
336ページ(ハードカバー)
Crown
2010/8/3発売
ミステリー
ニューヨーク市から100マイル(約160km)離れた静かな町Hollows(架空の地) に住む心理療法士のMaggieと刑事のJonesの夫婦は、17歳の息子Rickの教育方針で同意することができない。Jonesは、ロックバンドを作り、 タトゥを入れ、精神的に不安定なガールフレンドを持つRickを徹底的に批判するが、母親のMaggieは息子の良いところに目を向けて理解しようとする。
住民が互いのことを知り尽くしている狭い世界から抜け出したくてニューヨーク市の大学と大学院に行き、心理療法士になったMaggieだが、父の看病で帰省したときに高校時代憧れていたJonesと再会して舞い戻ったのだった。
Rickのガールフレンドで精神的に不安定なCharleneが、ある夜姿を消す。
家庭に問題がある彼女がニューヨーク市に行きたがっていたことを知る人々は家出だと思いこんで注意を払わないが、何人かは、20年前に起こった事件を思い出していた。
高校生のSarahが帰宅途中に行方不明になり、その後バラバラ死体で発見された事件では、犯人が告白して解決したことになっていたが、そこには知られてない秘密が残されていた。今回の事件をきっかけに、隠されていた過去が蘇る。
●感想
これまでのUngerの作品は、主人公が若く、感情的で精神的に脆弱なところがありました。その感情のジェットコースターが彼女の作品の魅力でもあったのですが、今回の作品は、良い意味でも悪い意味でも、作者の成熟を感じさせます。今回の人物描写に関しては、Jodi Picoultを連想しました。
良いところ:
いつもながらのスピーディーな展開です。読み始めたら、どんどん先に進みたくなり、あっと言う間に読み終えているでしょう。それがUngerの最大の魅力です。登場人物たちも(ミステリーとしては)バラエティに富んでいて説得力があります。
プロットの点でも、以前よりもきちんとした構成を感じます。高校生の繋がりでFacebookをさりげなく使ったところは、ちゃんと現代の高校生を反映していると感じました。
あまり感心できなかったところ:
プロットがあまりにも「小さな町の人間関係」に依存し過ぎています。私も小さな町(村)出身ですが、ここまで登場人物の過去と現在が絡んでいることは(たとえ作り話でも)想像しがたいものがあります。
また、途中で(私は)最後が分かってしまい、以前のUngerの作品のような驚きがありませんでした。けれども、それは私が本を読み過ぎているからであり、他の方のレビューを読むとけっこう驚いている方は多いようです。
また、最後の2章くらいは余計だったと思います。
総合的には、スピーディーで読み応えあるミステリーです(5段階評価の4程度)。
●読みやすさ 中程度
今回は三人称なので(以前より落ち着きを感じさせますが)、Beautiful Liesなどよりも、やや入り込みにくいかもしれません。けれども、さほど難しい単語や言い回しを使わない作家ですから、読みやすいほうです。
●アダルト度
レイプの話題はありますが、性的なシーンの描写は、以前の作品よりもずっとマイルドになっています。
●これまでのUngerの作品
Beautiful Lies
Sliver of Truth
Black Out
こんにちは、Ayaさん。
Ungerでは、Beautiful Liesが一番どきどきはらはらです。
その次がSliver of Truthです。
ですから、まだでしたらBeautiful Liesを試してみてください。
リンクは上記の「これまでのUngerの作品」にあります。
投稿情報: 渡辺由佳里 | 2010/09/25 04:38
はじめまして!!
洋書を読むのを趣味にしようと渡辺さんのレビューを参考にしながらチャレンジしています!ayaです:)
Lisa Unger はdie for youしか読んでおらず、新刊が出ていることも知りませんでした!是非読みたいと思います♪
投稿情報: aya | 2010/09/24 21:55