1ヶ月前に発売されたThe Last Train from Hiroshimaは、広島の原爆体験者と原爆を落としたエノラ・ゲイをエスコートした飛行士の証言から原爆の悲惨さをみごとに描いているという評判で、ジェイムズ・キャメロン監督の手で映画化されることにもなっていました。このままベストセラーになることが予想された大物のこの本に重要な問題があることが判明したのは最近のことです。
2月20日のニューヨークタイムズ紙の記事によると、原爆投下の技術的な詳細など本書にとって重要な情報を提供したJoseph Fuocoの証言がすべて偽りであったことはほぼ確実です。Fuocoは、著者のCharles Pellegrinoに自分がエノラ・ゲイをエスコートした二機の飛行機のひとつに乗っていたと伝えたようなのですが、彼が直前に交代したと主張するフライトエンジニアの James R. Corlissが実際に機上している証拠が残っており、歴史研究者や退役軍人たちもFuocoが偽物だと怒って抗議しているようです。FuocoもCorlissも既に死去していますが、記録からはFuocoが詐称をしていることは確かなようです。
その後、マクミランはデジタル版、ペーパーバック、海外翻訳版で訂正する意志を表明していましたが、 本日になり出版者のHenry Holt が、"The author of any work of non-fiction must stand behind its content. We must rely on our authors to answer questions that may arise as to the accuracy of their work and reliability of their sources. Unfortunately Mr. Pellegrino was not able to answer the additional questions that have arisen about his book to our satisfaction."と出版停止を発表しました(Publishers Weeklyより)。
ベテラン政治ジャーナリストのJohn Heilemann(New York Magazineの政治コラムニスト。これまでthe New Yorker, Wired, The Economistなどのライターを務めた)とMark Halperin(Timeマガジンの編集長でシニア政治アナリスト)の2人が書いた2008年大統領選挙の裏舞台と聞いたら、政治ジャンキーとしては読まないわけにはいかない(レビューはこちら)。
When You Reach Me by Rebecca Stead (Random/Wendy Lamb)
1978年ニューヨーク市に住む中学生のMirandaはMadeleine L'Engleの A Wrinkle in Timeを生活の指針にしている。不思議なメッセージを受け取るようになった彼女は、それが未来を知る者からのメッセージだと思い、周囲に注意を払うようになる。小学校高学年から中学生が対象のヤングアダルト作品。
オナー受賞作品
Where the Mountain Meets the Moon by Grace Lin (Little, Brown)
Claudette Colvin: Twice Toward Justice by Phillip Hoose (FSG/Kroupa)
The Evolution of Calpurnia Tate by Jacqueline Kelly (Henry Holt)
The Mostly True Adventures of Homer P. Figg by Rodman Philbrick
2008年の大統領選挙の裏側を暴露する本、という説明だけだと「なんだ、そんなのもう飽き飽き」と思うかもしれません。ですが、トップ政治リポーターの John Heilemann と Mark Halperinが書いたこのGame Changeには、オバマ、クリントン、マッケイン、ペイリン、だけでなく、スキャンダルで失脚したジョン・エドワード夫妻の真の姿、のこれまで知られていなかった内情がぎっしり詰まっているようです。
He was wowed by Obama’s oratorical gifts and believed that the country was ready to embrace a black presidential candidate, especially one such as Obama — a “light-skinned” African American “with no Negro dialect, unless he wanted to have one,” as he later put it privately.
2007年6月発売以来ロングセラーを続け、発売後2年経った現在もBusiness Week誌のベストセラーであるDavid Meerman ScottのThe New Rules of Marketing and PRの大幅改定版が発売されました。インターネットを使ったマーケティングとPRは、急速に移り変わるためにこれまで何度も改訂が繰り返されてきましたが、今回は大幅に書き直しされています。
"We must do everything in our power to uphold the value of our content against the downward pressures exerted by the marketplace and the perception that 'digital' means 'cheap.'
You don't have the power. Maybe if every person who has ever published a book or is ever considering publishing a book got together and made a pact, then they'd have enough power to fight the market. But solo? Exhort all you want, it's not going to do anything but make you hoarse.
If I'm an upstart publisher or a little-known author, you can bet I'm happy to sell my work at $5 and earn seventy cents a copy if I can sell a million. “立ち上げたばかりの出版社やあまり知られていない作家であれば、もし百万冊売れるのであればよろこんで1冊5ドルで取り分70セントの価格で売りますよ”
Smart businesspeople focus on the things they have the power to change, not whining about the things they don't. “賢い実業家は自分が変えられないものに対して泣き言を言ったりはしません。自分が変えることができることに焦点を絞るものです。”
Publishers Weeklyの記事によると、 後ろ向きなSimon & Schusterに対して電子書籍で無料ebookなどのマーケティングに力を注いだRandom Houseの2009年の収益は上がっています。特に電子書籍の延びは、パーセンテージで3桁だということです。 “The Random House digital future is a core focus of our company’s overall strategy,”というように、ランダムハウスは電子書籍を将来生き延びるための重要な戦略にしているのです。
スティーブン・キングあたりが出版社抜きで直接電子書籍を売る最初の大物作家ではないかと2年くらい前から予想していた方もいましたが、なんと第一号はこの方、ビジネス書作家のStephen R. Coveyです。The New York Timesの記事によると、Coveyは電子書籍の出版権をSimon & SchusterからAmazon.comに1年契約で移行したとのことです。今後こういう作家が続く可能性がありますから後ろ向きな出版社は要注意ですね。
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