Justin Locke
204 pages(ソフトカバー)
Justin Locke Productions
2008年初版、2010年第三版
ユーモア/エッセイ/セルフヘルプ
購入は直接Lockeのサイトからどうぞ
今日ランチを一緒にした元ボストンポップスのコントラバス奏者Justin Lockeがこの「 Principles of Applied Stupidity 」の著者です。
Principles of Applied Stupidity(応用馬鹿学の法則)は、簡単に説明すると、「成功し、幸福になるためには、賢くなくてはならない」という私たちの思い込みを覆すユーモア本です。
「なるほどそのとおり!」と思わせる名法則は沢山あるのですが、その中で私がにやりと笑ったのは無知であることの強みについての部分です。あるビデオ・プロデューサーはフィルムプロダクションの学校に行ったことがなく、自分がいかに無知かを知らないstupidさでした。無知を自覚していたら「自分のレベルでは受けるべきではない」と尻込みした大きな仕事を彼は引き受け、その無知さと無能さにあきれた周囲の人が助けたおかげで成功しました。これは極端な例ですが、似たようなことはあちこちで実際に起こっています。もちろん、元々賢い人は努力しても「生まれつきのお馬鹿さん」になることは不可能です。そこで、Justinが生み出したのが、賢い人がお馬鹿さんから人生の知恵を学ぶという「Applied Stupidity(応用馬鹿学)」です。
Justinの本と私の出会いは偶然だと思っていたのですが、実はこれが”応用馬鹿学”の実践例だったようなのです。
私はレビュー用の献本を時折いただきますが、数では夫のDavid Meerman Scottの足下にも及びません。特に多いのは推薦文やブログでのレビューを求めるビジネス本作家からの献本で、ほぼ毎日届きます。知人のものであればともかく、何の予告もなく送られてくる多くの本に多忙な彼が目を通す暇はありませんし、暇ができたとしても読みたいのは自分の専門分野の本ではありません。ですからたいていの本は「積ん読(つんどく)山」に加わることになってしまいます。
積ん読山の整理をし、面白そうな本を選んで夫に渡すのが私の役割なのですが、正直言って多くのマーケット本はタイトルを読んだだけで眠くなってしまいます。その積ん読山の整理中に目を惹いたのがJustin LockeのReal Men Don’t RehearseとPrinciples of Applied Stupidityでした。’Marketing 101’とか‘Who Moved My Job?’といったタイトル(実際のタイトルではなく、たとえです)の大手出版社によるハードカバーの海原で、「なんじゃこれ?」と首をかしげるようなタイトルの自費出版本は異常に目立ったのです。
Real Men Don’t Rehearseのページをぱらぱらとめくっていた私は、整理整頓中だということを忘れて抱腹絶倒。Justinのときに「しょうもない」感じのユーモアがこれほど可笑しく感じるのは、たぶん彼と私のユーモアのセンスが似てるからでしょう。(この本に関する詳しい内容は私のレビューをどうぞ)すっかり楽しませていただきました。私の推薦でこの本を読んだ夫もJustinのユーモアのセンスが気に入ったようで(その他の偶然もいくつか重なり)、自費出版のPrinciples of Applied Stupidityの改訂版に合わせて推薦文を書いたようです。土日も働く多忙な彼が、自分から「推薦文を書いてあげよう」と提案するのはほんとうに珍しいことです。私の夫に献本を送る多くの作家たちは、彼の専門分野を知っているので専門に近いマーケティングやPRの本を送って来ますが、Justinは「応用馬鹿学の法則」に従って常識はずれのユーモア本を送りつけたわけです。
生まれつきの馬鹿ではなくちゃんとわかってやっているところが「応用馬鹿学」。この本を読んで、私はJustinの知恵に「さっすが〜」と感心したわけです。
傑作中の傑作というわけではありませんが、発想の面白さに軽く笑いながら同感する類いの本です。特に次の2つの法則に頷く人はけっこう多いのではないでしょうか。
Stupidity and ignorance are infinite(愚かさと無知は無限である)
どんなに知識がある人でもその知識には限界がある。けれども、無知には限界がない。限界がないというのは何でも起こりえるということであり、ここにこそ今の自分が知らないすごい可能性が潜んでいる。
Accepting yourself as being stupid frees you from all sorts of pressures(自分が馬鹿だということを受け入れることで、もろもろのプレッシャーから解き放たれる)
人は他人に馬鹿だと思われたくないから、自分の行動を制約する。けれども、いったん「他人に馬鹿だと思われてもかまわない」と開き直れば、実に多くの可能性を開くことができるのである。
●読みやすさ ★★★★
気が向いた時、ちょっと時間ができた時に軽く手に取ってちょっと読むことができる本です。英語に慣れていない人にもわかりやすいシンプルな文章です。
これは、Justinがテレビ番組に出演したときのビデオです。
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