今年もやってきました、School Library JournalのBattle of the Kids'Booksです。
これは全米の学校図書館の司書さんたちが読むSchool Library Journalが主催する児童書の賞です。
これまでの対戦の様子はこちらをどうぞ。
賞といっても、お遊びの要素が強いのが特徴です。勝ち抜き戦のバトルの審査員は、任命された人気児童書作家ひとり。審査員ひとりの「独断と偏見」で結果が決まるので、なかなか予測がつきません。その意外さがまた、楽しいのです。
対戦表は下記のとおりです。クリックすれば拡大されます。
みなさんも、今年はバトルが始まる前にいくつか候補作を読んでみませんか?そして、予測を立ててみてください。読了できなくても、勘で予測を立ててくださってもいいですよ。 このページの最後にアンケートがありますので、ぜひご投票ください。
第一ラウンドの前半戦(対戦1から4)は3月13日に始まります。
それまでになんとか候補作のレビューを書いて掲載するつもりです。ときおりリンクができているかどうかチェックしてみてください。
第1ラウンド 対戦 1 (March 13, 審判 Matt Phelan)
*私の予測(2/29記載):Amelia Lostの勝ち。
審判のMatt Phelanは昨年候補になったグラフィックノベルThe Storm in the Barnの著者です。グラフィックノベルの著者だからグラフィックノベルを選ぶ、という考え方もできますが、彼のイラストのスタイルは異なりますし、Phelanは歴史好きのようです。ですから、あえて「Amelia Lost」という予測を立てます。
私の好みであれば、Amelia Lost、ニール・ゲイマンであればAnya's Gohstでしょう。
*対戦結果(3/13):Amelia Lostの勝ち!
対戦2 (March 14, 審判 Gayle Forman)
Between Shades of Gray vs Bootleg
*私の予測:Between Shades of Grayの勝ち。
この二冊を比べるのはフェアではないと思います。Amelia LostとBootlegを対戦させるべきだったでしょう。両方ともティーン向けの歴史書なのですから。どちらもよくできた本ですが、「これまで人が知らない歴史を伝える」という意味で、すでにBetween Shades of Grayのほうが価値がある作品です。
*対戦結果:Between Shades of Grayの勝ち!
対戦3 (March 15, 審判 Sy Montgomery)
The Cheshire Cheese Cat vs Chime
*私の予測:The Cheshire Cheese Catの勝ち
ぜんぜんジャンルが違うこの二冊を比べるのは、フェアじゃないと思いました。小学校高学年が読んだら、The Chshire Cheese Catのほうが断然面白いし、ティーンの少女が読むならChimeに決まっています。Chimeは、次のDaughter of Smoke and Boneと比較すべきなのです。
The Cheshire Cheese Catの勝利を予測する理由は、審判のMontgomeryが動物のことばかり書く作家だからです。私はどちらも同じ程度に楽しめました。
*対戦結果:Chimeの勝ち
審判も私のように迷ったようで、結局コインを投げて決めたようです。その結果がChimeでした。
対戦 4 (March 16, 審判 Sara Zarr)
Daughter of Smoke and Bone vs Dead End in Norvelt
*私の予測:Daughter of Smoke and Boneの勝ち
この賞では、ニューベリー賞の受賞作品はあまり勝ち進まないという歴史があります。「もう大きな賞を取ってるんだから、いいじゃない」という感じかもしれません。それでなくても、読者に評判がいいのは、Daughter of Smoke and Boneなのです。けれども、この2つを対戦させるのは、ちょっと無理があるんじゃないかと思うのですよね。Daughter...は完璧に高校生以上が対象で、Norveltのほうはもっと年下の小学校高学年から中学生が適しています。Daughter...はファンタジーですし、もうひとつは自伝的小説。
私はDaughter of Smoke and Boneの著者が書くものがそんなに好きになれないのですが、ヤングアダルトファンタジーが好きな「大人の女性」にはいつも人気がある作家です。だからけっこう勝ち進みそうな予感。勝ち進まなかった場合には、最後にUndeadで戻ってくるでしょう。
*対戦結果:Daughter of Smoke and Bone
当たりました!
対戦 5 (March 19, Judge Barbara O'Connor)
Drawing from Memory vs The Grand Plan to Fix Everything
*私の予想:Drawing from Memory
実は、The Grand Planを読む暇がなかったので(というか、時間を作ってまで読みたくなかったというのが本音)、この予測です。
*対戦結果:Drawing from Memory
はからずしも、あたってしまいました。
対戦 6 (March 20, Judge Sarah Weeks)
Heart and Soul vs Inside Out and Back Again
*私の予測:Inside Out and Back Again
Heart and Soulは、アメリカの黒人の歴史を、コンパクトに、しかも力強く伝える絵本です。イラストも素晴らしいし、よくできていますが、このような本はこれまでにも沢山ありました。
でも、Inside Out...のほうは、ユニークですし、著者の言葉がそのまま胸にひびきます。本の存在価値という意味でも、Inside Out...のほうが優れています。
対戦 7 (March 21, Judge Lauren Myracle)
Life: An Exploded Diagram vs A Monster Calls
*私の予測:A Monster Calls
比べる必要もないほど明らかに、A Monster Callsのほうが優れた本です。
Lifeの著者には文章力があり、ドライな文章スタイルは嫌いではありませんが、戦争と愛という重いテーマを扱っているのに、人間性を語りきっていないと思いました。
対戦8 (March 22, Judge Jeff Kinney)
Okay for Now vs Wonderstruck
*私の予測:Okay for Now
WonderstruckはSelznickの前作(Hugoの原作)に比べると、いまひとつ輝きに欠けます。Okay for Nowはまだ読んでいないのですが、子どもの読者に人気があるので、こちらが勝つべきだと私は思うのです。
lite2shineさま、こんにちは
どうなんでしょうね。この賞は審査官の好みが影響するので、それが面白いところです。図書館司書の好みだと、Daughter of Smoke and Boneが有力ですが。
投稿情報: 渡辺由佳里 | 2012/02/29 04:23
A Monster Callsの一人がちじゃないでしょうか?
でもInside Out and Back againも個人的にはすごくよかったです。
投稿情報: lite2shine | 2012/02/28 23:56