Franny Billingsley
ハードカバー: 368ページ
出版社: Dial
ISBN-10: 0803735529
ISBN-13: 978-0803735521
発売日: 2011/3/17
ヤングアダルト/ファンタジー/心理スリラーの要素あり
2011年全米図書賞 児童書部門最終候補作品
2012年Battle of the Kids’ Books候補作
20世紀前半、英国の小さな村にある沼地には、多くの恐ろしい魔物や妖精が住んでいた。
17才の牧師の娘Brionyは、一卵性双生児のRoseの頭がおかしくなってしまったのも、義理の母が亡くなったのも、すべて自分のせいだと信じている。自分が「普通」ではないことを知っている彼女は、普通の少女のような感情や生き方をすることを自分に禁じ、心に鎧をかぶって生きている。
Brionyの役割はRoseを含めて家族にこれ以上不運が訪れないようにすることだが、沼地Swamseaを枯らして鉄道を作ろうと計画するエンジニアの息子Eldricがロンドンからやってきて、状況がややこしくなってくる。
沼地に住む恐ろしい魔物、人間の世界に入り込んでいる魔女、理不尽な魔女裁判など、おどろおどろしい雰囲気もたっぷりで、著者にはそれを表現する筆力がある。また、主人公のBrionyはアダルトチルドレン的な複雑な性格の少女である。アスペルガー症候群を連想させる一卵性双生児Roseとの関係も興味深く、その二人の世界に入り込んでくるEldricも通常のヒーローより人間味があり、好感が抱ける。
ファンタジーというよりも、ドラキュラ的なホラーや心理スリラーの要素があり、ちょっと怖い童話のような雰囲気で、なかなか面白かった。
全米図書賞の最終候補になった理由がようやく理解できたが、盛り上げるところを盛り上げて余計なところを切り捨てれば、さらに良くなっていたと思う。表紙の選択といい、編集者の力量を疑った作品である。
●読みやすさ 普通
普通のヤングアダルトのファンタジーより文章が美しいのは良いのですが、英語の本を読み慣れていない人やTwilightのような本を期待する人には読みにくく感じるかもしれません。Brionyは教育レベルが高い少女なので、難しい単語を使いますし、ラテン語の単語も出てきます。ラテン語をほんのちょっとでも知っていれば、Eldricがよくやるミスは分かると思いますが。
●おすすめの年齢層
あからさまな性的描写はありませんが、性的なことを語り合うシーンや、レイプのニアミスのようなシーンはあります。したがって、ティーン(13才)以上が対象です。
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