208ページ(ハードカバー)
William Morrow
2009/9/1発売
画集/アート本
「WickedのGregory MaguireがMaurice Sendakのイラストを解説するアート本」、と聞いて「おお!」と興奮するのは私だけではないでしょう。
Maguireは、以前にもお話しましたが、Wickedで成功するまでは児童書作家でした。児童書といっても、人畜無害な可愛い作品ではなく、Wickedなどの大人用の本と共通するMaguireらしい「mischief(悪戯)」であふれています。そのMaguireが、mischiefの王様と言えるMaxを生み出したSendackのイラストを解説するというのです。ふつうのSendack解説本と異なるのはたやすく想像できます。
どのアーティストも尊敬する巨匠のアートを模倣することで腕を磨きます。また、作品の中にパロディとして拝借するのも尊敬の念を表明する行為です。Mauriceもその例外ではありません。愛するアーティストたち( Randolph Caldecott, William Blake, Phillip Otto Runge, Winsor McCay、など)をふんだんに利用してきました。Mischiefに満ちたMauriceの模倣と拝借を、Mischiefの天才Maguireがこれもまた「悪戯っぽく」解説しています。
通常はアーティストが成長した記録を年代順に提示するものですが、Maguireはテーマごとにまとめており、謎解きのように「なるほど!」と唸らせてくれます。
そしてフィナーレは、Mauriceの別の作品からのイラストを使った Where the Wild Things Are のリメイク、というサービス精神。そのあたりの遊び心がとっても心憎いアート本です。
どっしりと重い208ページもアート本の魅力。これも、わが家のコーヒーテーブルに加わりました。
●読みやすさ ★★☆☆☆
イラストが中心ですからMaguireの解説は少ないのですが、簡単でわかりやすい文章ではありません。ストレートな解説でわかりやすいところもあるのですが、詩のようにちょっと考えなければならないところもけっこうあります。
でも絵が中心ですから文章が完璧に理解できなくても十分楽しめます。また、何度もイラストと見比べているうちに文章の意味がすっきりわかるようになるかもしれません。
●アダルト度 ★★☆☆☆
児童書作家が児童書イラストレーターの作品を解説した本ですが、子供が対象の児童書ではありません。
あくまで、クレバーな遊び心を愛するセンダック好きの大人向けです。
●Maguireのその他の作品
rumblefishさん。
どうもありがとうございます。
何度も読み返せるのが楽しい本です。
早く届くといいですね。
投稿情報: 渡辺 | 2009/11/03 04:51
これはおもしろそうですね。センダックファンとして、リンク先から注文しました! いつも有益な情報ありがとうございます。発送は2週間くらいかかるようですが、楽しみに待ちたいと思います。
投稿情報: rumblefish | 2009/11/03 04:18