ある本にぞっこん惚れ込むと読み終えてもなかなかその世界から離れなれない、それは全世界共通のファン心理です。それがこうじて二次創作をする、というのも普遍なファン心理です。
アメリカには、そんなファンたちが集まってお互いの二次創作(こちらではFan FictionまたはFan Fic)を読みあうサイトがあります。アニメやテレビ番組のカテゴリーもありますが、やっぱり本の二次創作が一番多いようです。
これは最も有名なサイトです。
投稿数を見ると、ファンが最も執着心を覚える本がすぐに分かります。
投稿数が一番多いのはHarry Potterで、現時点で約40万です。そして二位のTwilightはそれよりもぐっと下がって6万6千、三位のThe Lord of the Ringsは4万2千です。万単位になっているのはこれら3作だけですから、それからもこれら三シリーズの人気のすごさを感じます。
面白いのは、Fan Ficから誕生する作家がいるということです。
ヤングアダルト向けのファンタジー「City of Bones(The Mortal Instruments シリーズ第一作)」でデビューしたCassandra Clareは、ハリー・ポッターのFan Fic人気作家だったのです。彼女の作品「The Draco Trilogy(Harry PotterのFan Fic)」と「The Very Secret Diaries( The Lord of the RingsのFan Fic)」は、新聞で取り上げられるほど人気が出ました。もちろん二次創作には問題がつきものです。これらの作品ではちょっとした法的な問題に巻き込まれた彼女ですが、力量を示したことで作家として発掘されたわけです。
Clareの強みは、Fan Fic体験から「何がファンを喜ばせるか」という心理を知り尽くしているところでしょう。
バンパイアなどの闇の魔物たちを退治するシャドーハンターが主人公のThe Mortal Instruments シリーズは、お世辞にも「インスタントクラシック」になるような上等のファンタジーではありません。根底にある哲学も登場人物もハリー・ポッターや指輪物語に比べると薄っぺらな感じです。けれども、「読み始めたらやめられない」ドラマ展開に気づいたときには中毒にさせられていて、シリーズを読み続けたくなる執着心ができあがっています。
読みやすさはTwilight程度(★★★と★★★★の中間)で、とても読みやすい本です。
追記:明日(日本時間25日の夜)あたりにもう少し詳しい書評を載せます。
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