著者:Cassandra Clare
発売日:2007年3月
ジャンル:ヤングアダルト/ファンタジー/パラノーマルロマンス
Twilightの次に何を読もうか迷っているファンタジーファンにおすすめ
女子高校生のClary は、幼馴なじみで親友のSimonと行ったナイトクラブで男女3人のティーンが少年を殺す場面に立ち会うが、Simonには彼らが見えない。魔物を退治するシャドーハンターだと名乗るJaceにClaryは詩の朗読会で再び出会う。見えないはずのシャドーハンターが見えるClaryにシャドーハンターの血が流れていることを推察したJaceは、シャドーハンターの大使館のようなInstituteに連れてゆくという。そこに母親のJocelynから携帯に「家に戻ってはいけない」という取り乱した電話がかかり、Claryが家に駆け戻ると母は姿を消していて魔物に襲われる。解毒をしないと1時間で死ぬとJaceに告げられたClaryはInstituteに行き、どうやら自分には母が知らせていない秘密の過去があるらしいことを学ぶ。ClaryとSimonは、ニューヨーク市の闇でくりひろげられているシャドーハンター対魔界の生物たちの戦いにまきこまれてゆく。
●ここが魅力!
先日お話したように、著者のClareはハリー・ポッターと指輪物語のFan Fic(二次創作)作家としてファンがつくほど有名になり、それで作家として発掘されたといういきさつがあります。
ファンタジーとしては、「Harry Potter」や「The Lord of the Rings」のように根底に深い哲学があるわけではなく、「The Name of the Wind」のように文芸作品として美しい文体を楽しむこともできません。微妙な感情表現はなく、会話もお定まりになりがちです。
けれどもClare のお得意は、読者が虜になるようなソープオペラ的な感情のローラーコースターをちゃんと用意していることです。まずは、主人公の十代のClaryは少女が感情移入しやすいキャラクターで、その恋愛対象となるJaceも女の子が虜になりそうなキャラクターです。
魔物だけでなく、バンパイア、狼人間、フェアリー(彼らは意地が悪い)、魔法使い、と盛りだくさんのパラノーマルキャラクターが登場し、バトルあり、ロマンスあり、家族の秘密あり、でTwilightのファン層に圧倒的に人気があります。いったんこの本を読み終えてしまったら、(たとえ理性が邪魔をしても)続編が読みたくなってしまうことでしょう。
●読みやすさ★★★☆☆
Twilightと同様で★★★と★★★★の中間です。感情表現や会話が(普通の高校生らしく)微妙なものではなく、直接的で、したがってあまり単語を知っている必要がない、というのは(文芸作品としては欠点であっても)読みやすさの点では長所です。
分からない単語や表現があっても、それらは造語だったり内輪にしかわからないジョークだったり、で特に大切なものではありません。無視しても大丈夫です。
●アダルト度 ★★☆☆☆
これまでの時点では中学生、高校生にちょうどよいくらいのロマンスです。キスシーン程度までですが、胸ドキ度は高いようです。アクションにともなうバイオレンスもありますが、漫画的でそれほど実感がわかないのでショックは少ないでしょう。Twilightシリーズの第3作、4作に比べるとアダルト度が低いと思います。
●この本を楽しんだ方にはこんな本も...
City of Ashes(The Mortal Instruments シリーズ第2部)
City of Glass (The Mortal Instruments シリーズ第3部)
その他のYA向けパラノーマルシリーズ
コメント
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