洋書ニュース

グラッドウェル中毒者のための新刊-What the Dog Saw

The Tipping Point, Blink, Outliersと出版された３冊がすべてミリオンセラーになったMalcolm Gladwell。だから次の本がベストセラーになるのは間違いなしです。出版社としても早く出したいところでしょう。

というわけかどうか、１０月２０日発売予定のGladwellの新刊はこれまで彼がThe New Yorker に書いた記事をいくつか選んだもので、新しいものではありません。でも売れるでしょうね、きっと。

ちなみに夫に「Gladwellはジャーナリストだよね」と確認したところ、「さぁ、何だろう？でもあれほど売れたら、本人が自称するものがタイトルになる」といった答えが戻ってきました。

英国Man Booker Prizeのショートリスト発表！

英国Man Booker Prizeのショートリスト発表されました！

以下がリストです。

A S Byatt The Children's Book (Random House, Chatto and Windus)

J M Coetzee Summertime (Random House, Harvill Secker)

Adam Foulds  The Quickening Maze (Random House, Jonathan Cape)

Hilary Mantel  Wolf Hall  (HarperCollins, Fourth Estate)

Simon Mawer The Glass Room (Little, Brown)

Sarah Waters The Little Stranger (Little, Brown, Virago)

 

Man Booker Prizeショートリスト発表前の予想は？

  いよいよ今日、英国Man Booker Prizeのショートリストが発表されます。
それを前にしての英国のオンラインカジノの予想がBookseller.comのニュースに載っていました。
このレポートではどうやらHilary Mantelがダントツ「本命」のようですね。ショートリストが発表されたらのちほどご報告します。

William Hillの概算配当率

6/4 Wolf Hall (Hilary Mantel)
4/1 Brooklyn (Colm Toibin)
4/1 The Little Stranger (Sarah Waters)
6/1 Summertime (J M Coetzee)
8/1 Me Cheeta (James Lever)
10/1 Love And Summer (William Trevor)
14/1 The Children's Book (A S Byatt)
16/1 Not Untrue and Not Unkind (Ed O'Loughlin)
16/1 The Glass Room (Simon Mawer)
20/1 The Quickening Maze (Adam Foulds)
20/1 Heliopolis (James Scudamore)
20/1 The Wilderness (Samantha Harvey)
25/1 How To Paint A Dead Man (Sarah Hall)

Ladbrokes の概算配当率

2/1 Hilary Mantel - Wolf Hall
5/1 Colm Toibin - Brooklyn
7/1 Sarah Waters -The Little Stranger
7/1 JM Coetzee - Summertime
10/1 AS Byatt - The Children's Book
10/1 James Lever - Me Cheeta
12/1 William Trevor - Love and Summer
14/1 Ed O'Loughlin - Not Untrue and Not Unkind
16/1 Samantha Harvey - The Wilderness
16/1 Adam Foulds - The Quickening Maze
16/1 Sarah Hall - How to Paint a Dea Man
16/1 Simon Mawer - The Glass Room
18/1 James Scudamore – Heliopolis

最も廉価な電子書籍リーダーが今年中に登場するという噂

業界No1のKindleを脅かす最新ebookリーダー（電子書籍リーダー）の話題が急増していますが、またまた新しいニュースです。
今回は「もっとも安い電子書籍リーダー」が今年中に発売されるという噂です。

ASUSのDual Panel touchscreen PCがそれ。

engudgetのサイト（左の写真）によると、価格は 英国市場で£100 ($163)あたりを狙っているとのこと。Kindleの発売を待ちこがれている英国でKindleより先に発売されれば、市場に大きく食い込むことができるかもしれません。でも、米国ではどうでしょう？なんといってもKindleの魅力はebook購入が簡単なこと。１クリックであとはKindleの電源を入れ、あとは読むだけ。Kindle使用者にとってはいちいち別のことを考えずに済むのが楽なので、よほどのことがないかぎりは別の機種に変えることはないでしょう。

ですからその他の電子書籍リーダーにとっては、新たなebookファンを開拓することが鍵になりそうです。

この秋注目の新刊フィクション篇

さてさて、この秋は文学界の大物（この世にいない人も含めて）が続々と新刊を出します。あまりにも欲しい本があって、経済状況が危うくなりそうな...というのは大げさですが、読む暇もなく次が出てくるのは浮気性な私にとって目移りしちゃって困ります。
というわけでとりあえず今のところ気づいているラインアップです。「重要な新作」の抜けに気づいた方はお知らせください。適時追記します。

A GATE AT THE STAIRS
Lorrie Moore
９月８日、Knopf

Mooreの１５年ぶりの長編小説。私は短編集 Birds of America しか読んでいませんが、独自のユーモアと人間の悲喜劇を短編で見事に表現できる作家です。読み返すたびに良さを再確認します。 田舎出身のナイーブな女子学生が、裕福な専門職の白人女性が引き取ろうとしている白人と黒人の混血の赤ん坊のナニー候補として雇われ、人種差別や貧富の差による差別、恋愛などを体験して成長してゆくという話。そこはMooreのこと、普通の大衆小説とは異なる読書体験が期待できます。Publishers WeeklyのStarred Review作。

The Anthologist
Nicholson Baker
９月８日, Simon & Schuster

徹底的に不運な状態の詩人Paul Chowderが、 Tennyson、 Roethke、Yeats といった過去の詩人と自分の人生を照らし合わせて物思いに耽る、という作品。 Publishers WeeklyのStarred Review作。

The Lost Symbol

Dan Brown
９月１５日, Doubleday Books

説明するまでもありません 。The Da Vinci Code Robert Langdonシリーズの最新作です。発売のずっと前からAmazonの１位です。 私も予約してそれに貢献しているのですが...。天使と悪魔やダビンチコードで文句を言って」★３つつけたあなたも、きっと買ってしまうのでしょうね。

The Year of the Flood
Margaret Atwood 

９月２２日、 Nan A. Talese

アトウッドですから、もちろんpost-apocalypticでディストピアな世界です。2003年のOryx and Crakeと同じ世界ですが、prequel でもなければsequelでもない、別の主人公たちの視点からの物語だということです。Alice Munroがギラー賞(Giller)から作品をwithdrawした今、これがギラー賞の最有力候補のひとつというのはまぎれも無い事実。もちろん Publishers WeeklyのStarred Review作。告白すると、Atwoodの世界は他の作品とは異なるダリ的な悪夢を与えてくれるので、読むのを躊躇するんですよね。でも読むだろうな。

Nocturnes
Kazuo Ishiguro
９月２２日, Knopf

この音楽に関する５つの短編集は、最近のカズオ・イシグロの感じではなくて、初期の作品に最も近いものだということです。私は最も最近のNever Let Me Goを買ったものの姑に先に送ったところ「私はあれはダメだった」という感想をいただいたうえ、彼女が貸した友達が読んだ後図書館に寄付しちゃって戻ってこなかったという悲劇的なものです。新刊のハードカバーを買った私はちょっとpiss offしちゃったもので未だに読んでいません。だからこれは送る前に読みますです。短編集だから、長編につき合うのが嫌な方にもおすすめですね。 米国での発売前に邦訳版がすでに出ているという面白さ。それに邦訳版のほうが評価が高いのも興味深いところ。

The Wild Things
Dave Eggers
１０月１日 McSweeney's

センダックの絵本 Where the Wild Things Are のファンは複雑な心境でしょうね。私も複雑な心境ですよ。 これは、センダックの絵本をもとにしたSpike Jonzeの映画の脚本をさらに小説化したものです。たしかに絵本から映画へのギャップはあるから児童書のニーズはあるでしょうが、なんだかちょっと嫌な気分なのは私だけ？

The Museum of Innocence
Orhan Pamuk
１０月２０日 Knopf
トルコのノーベル文学賞作家Orhan Pamukの最新作。西洋文化の影響を受けて急変するイスタンブールの貴族階級を通して現代トルコのアイデンティティの危機を描いたもの。

Last Night in Twisted River
John Irving 

１０月２７日 Random House

アーヴィングの新作。物語は1945年のニューハンプシャーで始まり、その後の５０年を描いています。アーヴィングが最初に書いたのが最後のセンテンス。で、そこから過去に向かって書いていったとのことです。なるほど...アーヴィングらしい。

The Humbling
Philip Roth
１１月２日 Houghton Mifflin Harcourt

30冊目ですからね。 もうフィリップ・ロスにつき合うのはやめよう！とずいぶん前に決意したからたぶん衝動買いは抑えられる気がしますが、興味はあります。この人の頭の中のどこがどう変わったのか。立ち読みしようかな。

The Original of Laura
Vladimir Nabokov
１１月１７日,Knopf

ナボコフが「処分してくれ」と言い残したのに、ついに世に出てしまうという遺作。 これについてはこちらで書きましたからそれをご覧下さい。私は好奇心が強いから買う衝動を押さえられないかも...。

Too Much Happiness
Alice Munro
１１月１７日,Knopf

Nabokovと同じ出版社から同じ日に出るのがカナダの文学界の重鎮Munroの最新作。カナダで最も重要な文学賞であるジラー賞受賞が期待されていた作品なのに、「私はもう二度(1998年と2004年）もいただいているから、別の方にチャンスを」と自ら作品を候補枠から外したことで話題になりました。栄誉はもちろん、候補になるだけで売れるのに、それすら放棄した心意気はすごいものです。そういうMunroだから描けるヒューマニティを読むのも楽しみのひとつです。Munroはもうじき８０歳。老齢に達して自分をしっかりと持っているMunroと老齢を嫌わしく思い若さの美に執着し続けたNabokovを比べ読むと今後の自分のあり方が見えてくるかも。

Thomas PynchonのInherent Viceのサウンドトラック

70年代前半のカリフォルニアを舞台にしたThomas PynchonのInherent Viceには沢山の音楽が登場します。そのリストは下記のとおり。これらを読んでピンとくる方は相当の音楽通（とある程度のお年頃...？）ですね

リンクを完成しようと思ったのですが、あまりにも時間がかかるので中途半端なところで断念。ごめんなさいね〜。

• "Bamboo" by Johnny and the Hurricanes：(Bambooが入っているアルバムが見つからないのでこれでごめんなさい）
• "Bang Bang" by The Bonzo Dog Band
• Bootleg Tape by Elephant's Memory
• "Can't Buy Me Love" by The Beatles
• "Desafinado" by Stan Getz & Astrud Gilberto, with Charlie Byrd

Elusive Butterfly

• "Fly Me to the Moon" by Frank Sinatra
• "Full Moon in Pisces" performed by Lark
• "God Only Knows" by The Beach Boys
• The Greatest Hits of Tommy James and The Shondells
• "Happy Trails to You" by Roy Rogers
• "Help Me, Rhonda" by The Beach Boys
• "Here Come the Hodads" by The Marketts
• "The Ice Caps" by Tiny Tim
• "Interstellar Overdrive" by Pink Floyd
• "It Never Entered My Mind" by Andrea Marcovicci
• "Just the Lasagna (Semi-Bossa Nova)" by Carmine & the Cal-Zones
• "Long Trip Out" by Spotted Dick
• "Motion by the Ocean" by The Boards
• "People Are Strange (When You're a Stranger)" by The Doors
• "Pipeline" by The Chantays
• "Quentin's Theme" (Theme Song from "Dark Shadows") performed by Charles Randolph Grean Sounde
• Rembetissa by Roza Eskenazi
• "Repossess Man" by Droolin' Floyd Womack
• "Skyful of Hearts" performed by Larry "Doc" Sportello
• "Something Happened to Me Yesterday" by The Rolling Stones
• "Something in the Air" by Thunderclap Newman
• "Soul Gidget" by Meatball Flag
• "Stranger in Love" performed by The Spaniels
• "Sugar Sugar" by The Archies
• "Super Market" by Fapardokly
• "Surfin' Bird" by The Trashmen
• "Telstar" by The Tornados
• "Tequila" by The Champs
• Theme Song from "The Big Valley" performed by Beer
• "There's No Business Like Show Business" by Ethel Merman
• Vincebus Eruptum by Blue Cheer
• "Volare" by Domenico Modugno
• "Wabash Cannonball" by Roy Acuff & His Crazy Tennesseans
• "Wipeout" by The Surfaris
• "Wouldn't It Be Nice" by The Beach Boys
• "Yummy Yummy Yummy" performed by Ohio Express

注意散漫な世代への新しい読書スタイルーLevel 26

情報過多、娯楽過剰のインターネット世代にとって集中力の持続はどんどん難しくなっています。長時間読書をするというのもその一つですが、「それならそれでこの世代に適した読書スタイルを提供してやろうではないか」というのがこのLevel 26というミステリー／スリラーの新刊です。

来週火曜日に米国で発売される本では２０ページごとにオンラインでテレビ番組のようなシーンを観ることができます。また、この後サイトでディスカッションしたり、プロットの提案をしたりできるという参加型の犯罪小説なのです。

作者は米国の人気犯罪番組CSIのライターAnthony E. Zuiker      で、このアイディアを思いついたのはハリウッドのライターのストライキでテレビ番組が作れなかったときだということです。
アメリカの警察は、その悪徳さをレベル１から２５までのカテゴリーに分類します。このLevel 26とはその枠を超えた世界最悪の犯罪者とそれを追う特殊捜索隊の物語です。ちょっと「羊たちの沈黙」的な雰囲気です。

娯楽で英語を学ぼうとする方には読むだけでなく、リスニングもでき、ディスカッション参加で書く練習もできる、というお得なパッケージかもしれません。

（私はこの手の犯罪ものは気分が悪くなっちゃう人なので、このビデオをちゃんと観ることができませんでしたが、ご興味ある方はどうぞ）

タイトルにつられて買ってはならぬ本- How to Be a Genius

タイトルを読んだだけで、「これはダメだ」と断定（少なくとも私は）できる本があります。
今日発見したのがこれ。DK BooksのHow to Be a Genius

なぜダメなのかというと、Geniusはなろうと思ってなれるものではないから。
そして、子供が幼いうちに親が何かをすれば子供が天才になるという考え方そのものが根本的に間違っているから、です。

Einstein Never Used Flashcardsが説くように、はやりの早期英才教育は子供の脳に有害なことのほうが多いと私は思っています。How to Be a Geniusを読む暇があったら遊びこそが成功と幸福の鍵だと解くPlayを読みましょう。