著者:Jennifer Mathieu
ハードカバー: 208ページ
出版社: Roaring Brook
ISBN-10: 1596439092
発売日: 2014/6/3
対象年齢:PG15(高校生以上、性の話題)
難易度:中級レベル
ジャンル:YA(ヤングアダルト)、青春小説
キーワード:いじめ、噂、友情
Alice Franklinは、ショートカットでボーイッシュな美少女だ。
クールなAliceは高校では人気者のひとりだったけれど、あるときを境に学校で悪い噂が広まり、のけ者になってしまった。女王蜂的な存在の少女Elaineの家でのパーティで、Aliceが男子二人とセックスをしたというのだ。
噂を流したElaineはそれが「事実」だと確信している。なぜなら、それを教えてくれたのはAliceとセックスした少年のひとりBrandonだからだ。Elaineが付き合ったり離れたりしながらもずっと好きだったBrandonは、ホームカミングの直後に同級生が運転していた車の事故で死んでしまった。それも、Aliceが原因なのだ。
女子トイレには、Aliceの悪口を書いたいたずら書きがどんどん増えてゆく。
高校で徹底的に孤立しているAliceに声をかけたのは、シャイな勉強家のKurtだった。みんなが「ナード」とみなして無視しているKurtは、憧れの少女に数学を教えるだけで幸福だった。でも、Kurtにはいい出しそびれた秘密があるのだった。彼は、タイミングを狙っているうちに、どんどんその機会を失ってしまう。
思春期のいじめがどのようにして起こり、それがどうエスカレートしてゆくのかをリアルに描いていて、虐めの対象になっているAliceの心境を想像すると胸が痛くなる。虐めの煽動主であるElaine, 自分を救ってくれた親友をさっさと見切るKelsie、酔っぱらい運転で大切な親友を失ってしまったJoshが、それぞれの視点で自分の言動を正当化しているところに読みごたえがある。なぜなら、読者が自分の言動を見つめなおす機会になると思うからだ。
インターネットで「いじめは許せん」と怒っているひとたち自身が、インターネットで他人を中傷するような噂を平気で流している。学校で子どもが虐めをするのは、大人が毎日平気でやっていることとさほど変わらないのだ。
こういった登場人物のなかで、Kurtだけが救いである。そして、最後にようやく視点がわかるAliceもいい。
英語もさほど難しくなく、大人にもお薦めの青春小説である。
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