著者:Cynthia Voigt
ハードカバー: 400ページ
出版社: Knopf Books for Young Readers (2013/9/10)
ISBN-10: 0307976815
発売日: 2013/9/10
難易度:中級レベル(高校英語をマスターしたレベル)/表現はやや難しめ
適正年齢:PG10(小学校高学年から中学生向け)
ジャンル:児童文学/ミステリ
キーワード:探偵/冒険/ユーモア
20世紀初頭のイギリス(と思われる架空の町)が舞台。
12歳のMaximilian Sterlingは、小さな劇場を経営している俳優夫婦のひとり息子である。家庭でもドラマチックな演技を忘れない両親に育てられ、必要なときには子役や端役をやらされてきたMaximilianは、たいていのことでは驚かなくなっていた。
だが、両親が自分を残してインドに旅立ってしまったのは、さすがにショックだった。
こつ然と姿を消した両親のことを祖母と一緒に心配するMaximilianだが、生活費に困る現実的な問題もある。祖母から仕事をみつけるように言われるが、12歳の少年を雇ってくれるところは見つからない。
迷い子を偶然みつけたことで初めての収入を得た彼は、自分に「問題解決」の能力があると気づく。そして、口コミで探し物を見つけることを頼まれるうちに、Mister Maxという仮の名前で(探偵ではなく)「Solutioneer」というプロとして困っている人の問題を解決するようになる。
大人の読者は、「謎が簡単すぎる」と感じるかもしれない。
だが、ミステリは「たぶん、こうなるだろう」と推測することが楽しみのひとつであり、ある程度先を読めないと面白くないというのも事実である。本書は、小学校高学年から中学生が推測し、「やはり当たっていた」と満足感を覚えるのにちょうどよいレベルの謎である。
もうひとつ子どもにとって楽しいのは、俳優の両親に育てられたMaxが変装で異なる人物を演じるところである。それに大人がころりと騙されてしまうのが、子どもの読者には痛快だろう。
著者は、ニューベリー賞作家のCynthia Voigtで、子どもへの信頼や優しい視点を感じる。Maxの祖母や彼につきまとってアシスタントになろうとする少女Piaなどの脇役にも好感が抱ける。
一応、今のところは三部作が予定されているようで、両親が消えた謎は次回にも続いてゆくことになる。
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