今年もBookExpo America(BEA) がニューヨーク市のJavis Centerで4日間にわたって開催されました(展示は3日間)。初めて参加した12年前から機会があれば参加するようにしているのですが、そのたびに時代の移り変わりを実感します。いろいろ気づいたことをご紹介してゆきます。
展示初日の30日の朝、どうしても入手したいARC(最終段階の校正が終わっていない段階の本)があったので、その整理券を得るために午前6時45分に会場に来ました。会場の午前9時までにはまだ2時間以上あるというのに、すでに40人ほど床に座って並んでいました。これは珍しいことではないのですが、まず驚いたのは、正面入り口の上と横という最も目立つ場所にある巨大な本の広告でした。
Mortal InstrumentsとAllegiant (Divergent三部作完結編) は、どちらもYA(ヤングアダルト)ファンタジーで、もともとはティーン対象のジャンルなのです。版元はそれぞれSimon & SchusterとHarper Collinsといった大手です。
そして、会場がオープンする10分前、突然黒いTシャツ軍団が軍隊のような行進で現れました。
それを見て、Divergentを読んでいる私はピンと来ました。Divergentの舞台になっている世界はCandor, Abnegation, Dauntless, Amity, Eruditeという5つの世界に分かれているのですが、それぞれのグループがそれを代表しているのです。
たかがティーン向けの本に大手出版社がこれほど力を入れているのは、やはり「売れる」からです。
どんな本であれ、子ども向け、ティーン向けの本が売れるというのは、将来の読者育てるという意味でも重要なことです。でも、子どもと毎日関わっている図書館員たちから、「もうディストピアには飽きた」、「どうして、なに もかもが三部作なのか?」、「YAファンタジーばかりではなく、中学生向けのミステリーをもっと出して欲しい」という苦情が出てきているのも事実。彼らの意見は、子どもの意見も反映しているのではないかと思います。
しかし、それを解決するのも、YAと児童書の別のトレンドのようです。
John GrishamやPaolo Bacigalpiといった大人向けの法廷スリラーやSFの代表的な作家が次々とYAや児童書を書くようにもなっており、このジャンルに深みを与え、新し読者を引き込むようになっているのです。
来年はどのようなトレンドになっているのか、それが興味深いところです。
由佳里さんの報告を読んで知った「新しい動き」中学生の娘を持つ私にとっては朗報です。ますます面白い本が出てくれると娘だけでなく、中学生向け児童書で十分楽しめる私も大喜びです。素晴らしい報告有難うございます。
投稿情報: さとこ | 2013/06/02 17:33