引き続き、番外編2です。
ここから入った人は、最初から読んでくださいね。
審査員このブログ「洋書ファンクラブ」の主宰者
某大型書店の洋書仕入部門で働く会社員。 神戸のインターナショナルスクールに通っていたころから洋書が好きで 読んでいるけど、最近しみじみと「読書は体力だ」と思います。 女性が主人公になって活躍する小説が好み
2008年よりオーストラリア在住で、このまま永住予定。 今年から念願の(仮付き)サイコロジスト。大学院で心理学を勉強中です。 そのせいなのかキャラクター重視の本が好きで、自覚がなかったけれど重い本を推薦する傾向があるみたいです。 ジャンルを問わず本を読むのがとにかく好きで、最近はオーストラリア人作家の本を広めようとひそかに活動中。
ディスカッションのつづき
●アメリカで盛んなブッククラブ
そういえば、日本にはブッククラブがあまり存在しないですよね。逆になぜアメリカはあんなに熱心で盛んなんでしょう。
複数のブッククラブに参加するなど、向上心がある人が多いですよね。私はプレッシャーがあって参加しなかったの。だって他人が選んだ本を読まなきゃならないうえに、持ちまわりでディナーを用意しないといけなくて。それもテーマの本にまつわる料理を…。
お茶やワイン程度ですむ軽い集まりのブッククラブもあるんですけどね…。
うちの会社では、谷口忠大(たにちゅー)さんが考案したビブリオバトルというものを開催しているんですが、これは、参加者がひとり5分の持ち時間で本を紹介して、いちばんよかった人に観客が投票して勝ち上がっていくというトーナメント方式になっているんです。これが人気になっている理由のひとつが、1冊の本をみんなで議論するのではなく、短い時間で上手に本を紹介できた人が勝つ、というところ。そこが日本的。だって争いが起きないから。
なるほど。意見が違って対立したときに、気まずくなるのが嫌なんだ。
個人的には1冊の本をもっと掘り下げたほうがおもしろいと思うけど、知らない人同士が集まってディスカッションするなら、日本の場合はちょっと距離があったほうがいいんでしょうねえ。
人のバトルを見るのは好きだけど、自分は安全なところにいたい、という日本人の気質ってありますよね。でも本当は話しあったほうが楽しい。1冊の本を語る場合は、気心知れている人同士のほうがいいかもしれないけど、自分の好きな本の話をするなら、知らない人同士でも大丈夫ですよ。先日、大阪でやったイベントも大盛況でしたよ! 好きな本の話を他人にできるのは快感だし、雑談で構わないんですよね。
そういう差は考えたことがなかったけど、確かに好きな本の話だったら人を選ばずできますね。
こうやって洋書を読んでいる人同士が出会う機会っていうのもなかなかナイですからね。
そうですよねえ。では、さっそく今年の「これを読まずして年は越せないで賞」の話にうつりましょうか。
●「これを読まずして年は越せないで賞」ノンフィクション部門
今年はノンフィクションが少なくて、すみません…。今のところ『The End of Your Life Book Club』だけです。
巻末にブックリストがついているという心遣いもすばらしい。ノンフィクションって、実際に読み始めるまでおもしろいかどうかわからないから選ぶのが難しいです。伝記なら想像できるんだけど。
去年は『Steve Jobs』があったけど、今年はこれだというバイオグラフィがないですね。ウォルター・アイザクソンが書いたベンジャミン・フランクリンの伝記がいま売れてるけど、アメリカの大統領の話とか歴史物を日本人が読んでもおもしろくないですよね…。あ、オリバー・サックスの『Hallucinations』はどうかしら。これは幻覚の話なの。
サックス先生ならおもしろいに違いない。さっそく候補作に追加しましょう。
いいですね! しかもこれを読んだら神経学の本を読んだって人に言える(笑)
いずれにせよ来年はノンフィクションを忘れずに選ぶようにしないとだめですね。
でも考えようによっては、料理関連の本だってノンフィクションだし、探せば愉快なノンフィクションってたくさんありそうな気がする。
ノンフィクションと聞くと、どうしても『Just Kids』のようなものを見つけたいと思ってしまうんだけど、愉快なノンフィクションかぁ! なんか突然、幅が広がりました。
料理関係はいいかもしれないですね。数年前に出た50~60年代のアメリカの恐ろしい家庭料理の本が面白かった。ジェロサラダとかぜんぶ缶詰で作ったキャセロールとか、「それを料理と呼ぶのか!」と言いたくなるような許せない食べ物がいっぱい載っている(笑)。ああいう笑えるノンフィクションをもっと探そう。
料理の話は身近で楽しそう。食べ物といえば、過去の候補作だった『The Omnivore’s Dilemma』も読みやすかったなあ。
私は大人向けのバージョンを先に読んでいたんですけど、じつは後から読んだYAバージョン『The Omnivore's Dilemma for Kids』のほうが図版も豊富で、わかりやすかった。
あの本はfor Kidsほうが書くのが苦労したんじゃないかな。難しい内容を噛み砕いて説明するのは大変だし。児童書ノンフィクションって、日本人にも読みやすいですよね。来年はYAのノンフィクションにも目を向けましょう。
主に仕事のためにセルフ・ヘルプ系の本をわりと読むんですが、面白いのがあったら今度選んでみます。「これ読ま」での需要が気になるところですけど。
来年は候補作が増えることを期待して、今年のノンフィクション最終候補は、『The End of Your Life Book Club』と『Hallucinations』の2冊です。
...次は児童書&YAフィクションにつづきます。
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