W. Bruce Cameron
ペーパーバック: 333ページ
出版社: Forge
ISBN-10: 0765330342
ISBN-13: 978-0765330345
発売日:2010年7月
小説/犬
毎年動物好きによる動物好きのためのエッセイや小説が刊行され、ツボを押さえたものは、同じような内容であっても、必ず売れます。
最近であれば、Garth Steinの「The Art of Racing in the Rain (エンゾ レーサーになりたかった犬とある家族の物語 として邦訳もされている)」とか全世界でベストセラーになった図書館猫の「Dewey 」とかがよい例です。
そこで、ペーパーバックが出て安くなったのを機にちょっと試してみることにしました。
可笑しいところはありますし、泣かせるツボを沢山押さえている小説でもありますが、私は複雑な心境です。
Baileyという犬(その前にも別の名前で生まれています)が、何度も生まれ変わるストーリーで、輪廻転生して最後にBaileyがようやく悟るのが彼の「生まれて来た目的」というか「人生の意義」です。
この本は、犬の人生の意義や目的は、人間に奉仕し、喜ばせることだと語っているのですが、その部分にすごくひかかってしまったのです。
実際に犬は飼い主を喜ばせたいと思っていますし、飼い主がリーダーにならないと犬は不幸になります。
けれども、人と犬の関係って、やはりパートナーだと思うのですよね。
私たちは人間だから、私たちにとっては私たちの命のほうが大切だけれど、犬が私たちに奉仕するために生まれるなんて、ちょっと別の生命を馬鹿にしてるんじゃないかと嫌な気分になったわけです。これを読んで5つ星を与えているアメリカ人読者たちは犬を飼ってるようですし、アメリカの犬たちのほうが一般的にちゃんと躾けられていますから、犬のことをよく学んでいる筈です。ですから、私がこう感じるのは根本的な宗教や文化の差なのかもしれません。
犬を擬人化して人間のようにおしゃべりさせる映画とかは嫌いですが、同時に神様が人間に奉仕させるために犬を創ったかのように描いているお涙頂戴ストーリーも嫌いな私です。
けれども、大好きな犬をなくしたばかりの人には、心をなぐさめてくれる本だと思います。けなしてばかりのようですが、良い部分も沢山あるので、犬好きの方は、まあ試しにお読みください。
私が犬ものでおすすめするとしたら、やはりDog On ItのChetです。
本当に犬らしい犬ですし、ユーモアたっぷりで、しかも愛を感じますよ。
●読みやすさ 普通からやや読みやすい
犬の視点で、しかも一人称で書かれていますから、とても単純で分かりやすいと思います。
ただし、長くて「もうそろそろ終わってくれ」と思うかもしれません。
その場合には短編集だと思って読むとよいかもしれません。
●おすすめの年齢
特に問題はないので、小学生くらいからでも読んで大丈夫です。
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