Jennifer E. Smith
ハードカバー: 256ページ
出版社: Poppy
ISBN-10: 0316122386
ISBN-13: 978-0316122382
発売日: 2012/1/2
ヤングアダルト/青春小説
17才のHadley Sullivanにとって、今日は人生最悪の日である。
父親の二度目の結婚式のために、わざわざアメリカのコネチカット州からロンドンにまでひとりで行かねばならないのだ。嫌々ながら準備をしていたせいか、いろいろな不運が重なってHadleyは予定していた便をたったの4分で逃してしまった。次の便が時間どおりに到着しても、結婚式に間に合うかどうか分からない。
二年前、コネチカット州の小さな大学で教授をしていた父にオックスフォード大学で1学期だけ教える機会が訪れた。そのとき、家族が別れ別れになるのはたったの数ヶ月なのだから行くべきだと強く薦めたのは母親だった。
それなのに、父は母を裏切って恋人を作り、そのままイギリスに残って母と離婚した。
3人の仲良し家族は彼の裏切りによって消えてしまったのだ。なのに父親は、Hadleyにブライズメイドのひとりとして結婚式に参列するように頼んで来たのだ。
行きたくないと抵抗したのに、母親までが「行かないと将来後悔するから」と強要する。
空港まで送ってくれた母親と口喧嘩して別れたHadleyは、次の便を待っているときに素敵なイギリス人の少年Oliverと出会う。そして、偶然飛行機で隣りの席に座る(本当は別の人がいたのだが席を移動してもらった)。
HadleyはOliverに旅の目的と行きたくない理由を語るが、Oliverは肝心なことははぐらかす。
「ひと目惚れの統計的確率」というタイトルにあるように、HadleyとOliverの恋は偶発的なものである。いろいろな不運が重ならなければHadleyはその前の便に乗っていた筈で、Oliverとは出会っていなかった。その偶然は、これから二人をどこに運んで行くのだろう?
けれども、運は偶然だけでできているものでもない。そこには選択もあるのだ。
Hadleyの父と母の関係、父と新しい結婚相手の関係、Hadleyと父の関係もそうだ。
人生は旅のようなものだと私は思っているのだが、この小説はそれを凝縮している。それが、この小説の魅力のひとつである。
読者は、Hadleyが体験する希望、失望、憤り、許容という心の旅にときおり目頭が熱くなるだろう。
そして、読み終えたときには、愛をとりあえず信じてみたくなることだろう。
そんなSweetな小説である。
●読みやすさ 普通
ヤングアダルト本の中でも読みやすいほうだろう。
慣れている人であれば、いっきに読み切ることができるであろう。
●おすすめの年齢層
性的表現はキスまで。
中学生以上。
コメント
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