John Hart
ハードカバー: 432ページ
出版社: Thomas Dunne Books
発売日:2011/7/12(来週火曜日)
スリラー/ミステリー/マフィア
ニューヨーク・マフィアの大物が息を引き取ろうとしていた。
その大物から実の息子よりもかわいがられ、「Old Man(おやっさん)」として尊敬と愛情を抱く暗殺者のMichaelは、好きになった女性Elenaと普通の人生を送るために足を洗ったのだった。 Old Manは組織を去ることを許してくれたが、後継を狙う息子Stevanと暗殺者の幹部Jimmyの2人はMichaelが抜けることを許さなかった。ボスが死んで保護が消えたときに、MichaelとElenaの平穏な生活は終わった。
StevanとJimmyの2人がElenaが働く高級レストランを爆破して多くの死傷者が出たが、Elenaは偶然に難をのがれた。Michaelは、幼い頃に生き別れになった弟のJulianの無事を確認するためにElenaを連れて南部に向かう。道中で初めてElenaはMichaelの正体を知る。
MichaelとJulianは、Iron Houseという孤児院で育ったのだが、上院議員の妻Abigail Vineが訪問した日に起きた惨劇のために、JulianだけがVine夫婦に引き取られた。Julianは有名な児童作家になっていたが、統合失調症があり、Michaelが訊ねたときにはちょうど最も悪化している最中だった。数日前に何かが起こり、それが引き金になったようだが、誰にもその理由は分からなかった。
原因を調べているときに、Michaelは朽ちたボートハウスで死体を発見する。それは、昔Iron HouseでJulianを虐待した少年グループのひとりだった。Julianが事件に関わっていると思ったMichaelは死体を湖に沈めるが、それを目撃したElenaは、冷酷な態度にショックを受けてMichaelの元を去ってしまう。
2人を追っていたJimmyはひとりになったElenaを誘拐し、それでMichaelを釣ろうとする。しかし、それを知らないMichaelはElenaが母国に帰国してしまったと思い、彼とJulianの過去に関わっていそうな事件を解決しようとする。
これまで書いた3作「The King of Lies」「Down River 」「The Last Child」すべてがエドガー賞候補になり、そのうち過去2作がエドガー賞を受賞しているハートの最新作。
●感想
書いた作品3作全部がエドガー賞候補でそのうち2作がエドガー賞受賞となると、4作めも「エドガー賞か!」と期待したくなるのが読者です。
でも、著者にとってはプレッシャーがすごいでしょうね。ちょっと同情。
エドガー賞にふさわしいかどうかはさておき、今回のIron Houseは、以前よりも「男のロマン」が強く押し出されているような気がしました。
主人公のMichaelは、逆境にもクールに対応する肉体的にも精神的にもタフな男です。冷酷に人を殺し、多くの人から怖れられているくせに、女性を愛することにかけては100%純粋。しかも、マフィアのボスには父親に対するような愛情と尊敬の念を抱き...と、ちょっと「できすぎ」ですが、男性の読者が感情移入するには、最高のキャラではないでしょうか。途中でふと思ったのですが、これは非常によくできた、男性にとってのロマンスブックなのではないでしょうか! 強くてクールな主人公、タフだけれども主人公を純粋に愛して頼る美女、アクションの数々、外には出さないけれども心の中に激しく燃える情の強さ...といった男性にぐっとくる「ツボ」を心地よく押してくれるのです。
私の好みから言うと少々メロドラマ的すぎるし、マフィアの大物との関係を美化しすぎで、展開がご都合主義すぎます(これまでのハートの作品で私が一番好きだったのはDown Riverです)。とはいえ、どんどん読み進めたくなる娯楽作品としてはIron Houseは成功していると思います。私は、エドガー賞にふさわしい作品とは思いませんが、ノミネートはされるかもしれませんね。
●読みやすさ 普通
ジョン・ハートは、通常のミステリー作家より遥かに文章力があります。特に難しい言い回しをしているわけではありませんが、語彙は他の作家より豊富です。
これまでいくつか大人向けの小説を読んでいる人であれば、読みやすく感じる筈です。
●おすすめの年齢層
性的表現よりも暴力シーンが多い作品です。高校生以上。
MichaelとJulianは、Iron Houseという孤児院で育ったのだが、上院議員の妻Abigail Vineが訪問した日に起きた惨劇のために、JulianだけがVine夫婦に引き取られた。Julianは有名な児童作家になっていたが、統合失調症があり、Michaelが訊ねたときにはちょうど最も悪化している最中だった。数日前に何かが起こり、それが引き金になったようだが、誰にもその理由は分からなかった。
原因を調べているときに、Michaelは朽ちたボートハウスで死体を発見する。それは、昔Iron HouseでJulianを虐待した少年グループのひとりだった。Julianが事件に関わっていると思ったMichaelは死体を湖に沈めるが、それを目撃したElenaは、冷酷な態度にショックを受けてMichaelの元を去ってしまう。
2人を追っていたJimmyはひとりになったElenaを誘拐し、それでMichaelを釣ろうとする。しかし、それを知らないMichaelはElenaが母国に帰国してしまったと思い、彼とJulianの過去に関わっていそうな事件を解決しようとする。
これまで書いた3作「The King of Lies」「Down River 」「The Last Child」すべてがエドガー賞候補になり、そのうち過去2作がエドガー賞を受賞しているハートの最新作。
●感想
書いた作品3作全部がエドガー賞候補でそのうち2作がエドガー賞受賞となると、4作めも「エドガー賞か!」と期待したくなるのが読者です。
でも、著者にとってはプレッシャーがすごいでしょうね。ちょっと同情。
エドガー賞にふさわしいかどうかはさておき、今回のIron Houseは、以前よりも「男のロマン」が強く押し出されているような気がしました。
主人公のMichaelは、逆境にもクールに対応する肉体的にも精神的にもタフな男です。冷酷に人を殺し、多くの人から怖れられているくせに、女性を愛することにかけては100%純粋。しかも、マフィアのボスには父親に対するような愛情と尊敬の念を抱き...と、ちょっと「できすぎ」ですが、男性の読者が感情移入するには、最高のキャラではないでしょうか。途中でふと思ったのですが、これは非常によくできた、男性にとってのロマンスブックなのではないでしょうか! 強くてクールな主人公、タフだけれども主人公を純粋に愛して頼る美女、アクションの数々、外には出さないけれども心の中に激しく燃える情の強さ...といった男性にぐっとくる「ツボ」を心地よく押してくれるのです。
私の好みから言うと少々メロドラマ的すぎるし、マフィアの大物との関係を美化しすぎで、展開がご都合主義すぎます(これまでのハートの作品で私が一番好きだったのはDown Riverです)。とはいえ、どんどん読み進めたくなる娯楽作品としてはIron Houseは成功していると思います。私は、エドガー賞にふさわしい作品とは思いませんが、ノミネートはされるかもしれませんね。
●読みやすさ 普通
ジョン・ハートは、通常のミステリー作家より遥かに文章力があります。特に難しい言い回しをしているわけではありませんが、語彙は他の作家より豊富です。
これまでいくつか大人向けの小説を読んでいる人であれば、読みやすく感じる筈です。
●おすすめの年齢層
性的表現よりも暴力シーンが多い作品です。高校生以上。
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