Battle of Kids Books 明日の取り組みです.
対戦:Lips Touch vs. The Lost Conspiracy
Lips Touch:Three Times
対象:ヤングアダルト(高校生以上。中学生以下には全然おすすめできません)
3つの短編小説で構成されているダークファンタジー。以下のような賞にノミネートされており、注目の作品なので何度か読もうとしたのですが、表紙を見るたびにげんなりして今まで読まなかったのです。
National Book Award Nominee for Young People's Literature(2009)
Cybils Award Nominee for Young Adult Fantasy & Science Fiction(2009)
ALA Best Book for Young Adults for Top Ten (2010)
読者の多くは内部のイラストを褒めてますが、私の好みじゃないのでKindle版を買いました。Kindleでのイラストはいまいちですから、イラストを見たい方はハードカバーにするべきです。
3つの短編は、いずれもGoblin, Demon, witchがなどの魔物がKissに象徴される性的な魔力でイノセントな者を暗い世界に引き込もうとするダークな寓話です。通常のYAファンタジーとの違いは、文章が詩的であることです。ですが、登場人物の薄っぺらさが私にとっては最大の難点でした。運命を他人に明け渡してしまうような女性主人公って嫌いなんですよね〜。また、文章はTwilightなどとは比べ物にならないほど卓越していますが、この本のファンたちが「読み逃すべきではない本」と褒めるほどの「魔力」や、賞にノミネートされるほどの文学性も感じませんでした。また、この内容は高校生から大人(の女性)向けで、YAのジャンルでも児童書って感じでは全然ないです。
The Lost Conspiracy
対象:小学校高学年〜中学生(高校生や大人でも十分楽しめる)
ジャンル:ファンタジー。
Gullstruck島は約200年前に到着したCavalcasteという民族に植民地化され、現在多くの民族が住んでいる。常に笑顔なのが習慣のLace民族は島の原住民だったが、過去にCavalcasteを怒らせてほぼ壊滅状態になり、今は少数民族となっている。Lost というのは、五感を身体から離し、遠くまで飛ばすことができる特殊な才能を持つ者のことである。これまでlostが生まれたことはなかったLace民族に、初めてArilouというLostが生まれる。だが、Lostと公式に認定されるためには、Lostたちによるテストに受からなければならない。だが、Arilouと妹のHaithinには大きな秘密があった。
ファンタジーだが、植民地問題や差別など根底に複雑な社会的メッセージがある読み応えある作品。だが、特に最初の部分が小学生には入り込みにくいかもしれない。
審判は第一次世界大戦中のミシガンの田舎を舞台にしたYAフィクションを書いたHelen Frostです。
Lips Touchのほうが好きだという人がいることは容易に想像できます。商業的にはこちらのほうが成功していますし。また、文学的にも上記のように由緒ある賞にノミネートされていますから、認める人がいるでしょう。けれども、Lips Touchの読者層はあまりにも狭すぎます。その点、The Lost Conspiracyは小学生から大人、男の子と女の子、と誰でも読める本で、また読後に深く考えされられます。「Hardingeの作品ではあまり入り込めないほう」という弱点を指摘する読者が多いので、上に勝ち進んで行く可能性は低いと思いますが、それでもこの2つを児童書として比べたら、私はThe Lost Conspiracyのほうが優れた本だと思います。また、審判も、逆境の中でなんとかしようと努力する少女Haithinを子どもたちに読んで欲しいのではないかと想像します。
したがって私は、
The Lost Conspiracy の勝ちを予測します
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