Ben Mezrich
2009年7月21日発売
Doubleday
ノンフィクション/ビジネス/ルポ
2004年2月ハーバード大学の学生だったMark Zuckerbergが寮の一室で始めたソーシャルネットワークのFacebook(当時はtheFacebook)は、またたく間にハーバード大学から全国の大学、高校に広まり、現在ではビジネスや政治のツールとして不可欠になっている。
遊びだけではなく、テストのための勉強グループや写真のシェアリング、演劇や音楽会の案内、スポーツ部の連絡などに使われているため、私の娘の世代にとってはFacebookなしの高校生活なんて想像もできないようだ。
人と人のつながり方を根本的に変えてしまったFacebookを作り出したZuckerbergは、最も若くしてBillionaireになった記録も作っている。
Facebookの利用者でなくても、この暴露本には興味を抱かずにいられないだろう。
The Accidental Billionairesは、Facebookのきっかけとして伝説化している2003年10月のFacemash事件、デート用出会いサイトを創始するためにZuckerbergを雇おうとした学生たち、Zuckerbergの依頼でtheFacebookの資金を出し後に切り捨てられた共同創始者のEduardo Saverin、そして彼らがZuckerbergに利用されて裏切られたとするいきさつが語られている。
残念なのは(最後に共同創始者だったSaverinがZuckerbergの視点を分析するのをのぞいて)裏切られたと訴える者たちの視点しか紹介されていないことである。作者のBen MezrichがZuckerbergを取材できなかったことが理由なのだろうが、それにしても第三者からZuckerbergをもっと掘り下げることはできたと思うのだ。
Saverinには同情する部分もあるが、出会いサイトでZuckerbergをタダで利用しようとして後で「アイディアを盗まれた」と訴え(6500万ドルで調停に達した)Winklevoss兄弟にはまったくといっていいほど同情を感じなかった。
たぶんMezrichの最大の問題は人物像の描き方に深みがないことだ。
いくらなんでも若くて成功したハーバードのgeekたちが全員これほど浅くて嫌な奴ばかりということはないだろうし、そんなユダヤ系geekたちを追っかけるのがアジア系のbinboばかりってこともないだろう。脇役は仕方ないにしても、主要人物にも同情を抱けなかったのは問題だと思う。
まったく自分を擁護するきっかけがないZuckerbergのほうがまともに感じたのは私だけだろうか?
ともあれ、近代史の重要な事件(?)Facebookを簡単に学べるのは利点。
●ここが魅力!
ともかくスピーディーで、飽きることはないと思います。また、Mezrichの前作21に出演したKeven Spaceyが映画をプロデュースすることになっています(追記:映画の題名は“The Social Network”)。映画にはぴったりの題材ですね。まるで映画のシナリオを読んでいるような感じですから。The West WingのAaron Sorkinが脚本を書くと、原作よりずっと台詞が面白くなること請け合い。
●読みやすさ ★★★★☆
スラングとかはありますが、まったく文芸的ではないので読みやすい本です。
ルポというよりも、ゴシップ誌を読んでいる感覚で読めます。
●アダルト度 ★★☆☆☆
ドライでちょっと触れるだけですがセックスに関するシーンはあります。
追記(2010年9月30日):映画名「Social Network」で2010年10月1日に公開されます。
やはりAaron Sokinの脚本が良かったのか、映画評価家の評価は非常に良いようです。
コメント
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