Gillian Flynn
2006年9月初版
ミステリー/心理サスペンス
シカゴの三流新聞の記者Camille Preakerは、心理的なトラウマから自傷で精神病院に入院していたこともある。トラウマの原因が存在する故郷のWind Gap(ミズーリ州)には長い間帰省したことがなかったが、その町で少女の連続殺人が起こる。殺害された少女たちの遺体からは歯が引き抜かれていた。インサイダーとしてのスクープを狙う編集者に取材に行くように命じられたCamilleは自分の精神状態が不安定になることに怯えながらも故郷に戻り、長年避けてきた母と異父妹のAmmaに再会する。
だが、犯罪の真相を暴こうとするうちに、自傷行為の原因となった心の傷がぽっかりと口を開けてくる。
家族が抱える秘密と恐ろしい殺人の秘密がしだいに重なってくる。
CWA(イギリス・ミステリ作家協会)賞のニュー・ブラッド・ダガー賞受賞作。邦訳版は「KIZU-傷-傷」として早川書房から出版されている。
●ここが魅力!
最初から漂う不気味な雰囲気と、心理的に不安定なヒロインが追い詰められてゆく展開に、途中で本を置くのが嫌になります。あのStephen Kingが、「I found myself dreading the last thirty pages or so but was helpless to stop turning them. Then, after the lights were out, the story just stayed there in my head, coild and hissing, like a snake in a cave」と寄稿したのが納得できる、ゾクゾク背筋が寒くなるミステリー/心理サスペンスです。
●読みやすさ ★★★☆☆
254ページで大人向けの洋書ミステリーとしてはずいぶん薄いほうです。
文法的には簡単で表現もさほど難しくはなく、大人向けの洋書の中では読みやすい部類です。しかも入り込みやすく、ハラハラする内容ですから、読了しやすいと思います。
子供用の本に飽きてきた中級レベルのミステリーファンにおすすめです。
●アダルト度 ★★★★☆
セックスシーンは露骨ではないのですが、セックスにからむ犯罪や自傷、猟奇殺人などの話題が中心で暗い本ですから子供向けではありません。
●同じ作者による新刊Dark Places(2009年5月発売)
これもなかなかゾクゾクするようで、読者評価は良好です。
コメント
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