私が一番好きな村上春樹の作品は「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」です。
でもこれを読んだのはけっこう遅くて、アメリカに移住してからのことでした。今は移動してしまったケンブリッジの「流石書店」に上巻しかなく、下巻を注文して読み始めたところ下巻が来るのを待てなくなってしまいました。どうしても最後まで読みたくて、翌日ふたたび「流石書店」に舞い戻り、英訳版を買いました。面白いのはタイトルがHard-boiled wonderland and the end of the world と順番が逆さまになっているところです。
さて、下巻も届いたので、それから日本語で再び読み直したところ、なんだか4つの世界ができてしまったような奇妙な気分になりました。この不可思議な感覚、おすそわけしたいなぁ、とずっと思っていました。
昨日Google Booksにembedする新機能が発表されてそれをチェックしてみると、出版社のRandom HouseがHard-boiled wonderland and the end of the world一部を無料試し読み許可しているではありませんか!「一部」ということですが、けっこうな量を試し読みできます。
英語で読むと、アメリカ人だけでなくユダヤ人などが「ハルキ・ムラカミがすごい」と言う感覚をちょっと想像することができます。ぜひこの機会にお試しください。
簡潔で非常に読みやすい英文です。読みやすさは★★★★に近い★★★です。
お気に入りいただいたら、ぜひ最後まで読んで「あれ、ここが日本語とちがうぞ」とチェックしたりして楽しんでください。英語への翻訳ではこれほど優れた作品はなかなかないと思います。ここまで出版社に対して意志を貫ける立場にある日本人作家(アメリカ人でも)は他にはいないでしょう。さすが村上春樹、という感じですね。
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