Sarah Dessen
2004年
青春小説/ヤングアダルト
高校生のMacyは成績も品行も良い優等生で外からは何の問題も抱えていないように見えるが、父親が突然死してから深い悲しみを胸の奥底に潜めている。「完璧」なボーイフレンドのJasonは、Macyの心の支えになるよりも自分のために彼女がどう役立つかしか考えていない。だが、それをMacy本人が気づいている様子はなく、彼の傲慢ぶりを崇拝し、自分を卑下しているところさえある。"Brain Camp"(有名大学への入学が有利になるとみなされる優秀な生徒が集まる泊りがけの夏期コース)に行くJasonは自分が重要視している図書館でのアルバイトの職をMacyに引き継がせるが、それは彼女にとって精神的な拷問に近かった。
かわりにMacyは人手が足りず、彼女を必要としている仕出し屋でアルバイトを始める。この仕出し屋でバイトをしているのは、これまで優等生のMacyが付き合ったことのない問題児ばかりだった。彼らのおかげでMacyは肩の力を抜き、生活を楽しみ始める。
特に、ハンサムなWesは危険な外見とは異なる別の部分を持っていて、Macyが胸の奥底にしまってきた悲しみと罪悪感、自信のなさに直面するのを助けてくれる。
登場人物がそれぞれ生き生きとしており、ユーモアにあふれ、ロマンチックで心温まる青春小説である。また、父を失った悲しみと罪悪感、ボーイフレンドにコントロールされやすい少女の心理をリアルに表現しているところも優れた点である。親に守られてきた平和な世界が崩れる現実とその現実でいかに自分を見出して人生の選択をするのか、という課題を扱うこの作品はいつものDessenの青春小説より深みのある読後感を与えてくれる。
●ここが魅力!
著者のSarah Dessenは、初恋や家族問題などに揺れ動く思春期の少女の心情を描くのが得意な青春小説の大御所です。代表作をいくつか読みましたが、その中で私がもっとも優れていると感じたのがこのThe Truth About Foreverです。
Jasonという優等生の少年にマインドコントロールされて自分を卑下しているMacyは、たぶん女性であれば心あたりがあるでしょう。
軽すぎず、重すぎず、思春期の女の子にぴったりですが、大人が読んでも十分楽しめる作品です。
●読みやすさ ★★★★☆
★★★と★★★★の中間で、Twilight程度のレベル。
女子高校生の1人称で語られ、造語や俗語がほとんどないのも読みやすい理由です。
●アダルト度 ★★☆☆☆
ロマンスが含まれた青春小説ですが、ヤングアダルト分野では性的表現がキス程度と非常にマイルドなほうです。(Twilightと異なり)中学生から安心して読ませることができるレベルです。
●この本が気に入った方にはこんな本も...
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。