作者:Karen Hesse
1998年ニューベリーメダル受賞作
児童書:9-12歳(小学校3,4年生から)
初心者でも簡単に読め、絵本では味わえない読後感を与えてくれる児童書
サーチエンジンのおかげでこのページから訪問される方が多いようですので、追記させていただきます。
洋書初心者の方は、(この本ではなく)2010年に始めた「洋書ファンクラブJr.」をぜひ参考にしてください。本ブログの「失敗しない完読テクニック」シリーズですでにお話ししたことですが、(絵本が趣味、という人は別として)洋書初心者が絵本から始めることにはあまり賛成ではありません。絵本と大人の本はまったく別物だからです。
洋書初心者に「The Music of Dolphins」をお勧めするのは、読みやすく、短く、そして大人でも満足できる内容の本だからです。
次は初心者が読了するためのコツです。
- まず、全体の内容を把握します。(理想的にはネタばれは良くないのですが、楽に読了することを目指していますので、読み始める前におおまかな筋書きを知っておくことをおすすめします)
- いったん読み始めたら、知らない単語が出てきても辞書はひかず、少々分からない文章が出てきてもどんどん先に進みます。
- 読了後にもう一度辞書を引かずに読んでみます。すると、最初に読んだときに分からなかった単語の意味が想像できるようになります。
- (気になる方は)2回目に読んでどうしてもわからなかった単語の意味を調べます。
《あらすじ》
幼児のときに遭難してイルカに育てられた野生の少女が保護され、Milaと名づけられる。Milaはアイダホ州の山で保護された少女Shayとともに米国政府の研究の対象となる。ボストン大学の認知神経学教授のエリザベス・ベックの管理のもとに言語と習慣を学んだMilaは最初のうちは進歩を示すが、海とイルカの家族を恋しがり、囚われの身を自覚して心身ともに後退してゆく。(エンディングは内緒)
●ここが魅力!
英語の簡単さにもかかわらず、「アルジャーノンに花束を」を連想させる感動作です。私は当時小学校4年生だった娘と読後に「その人にとっての幸福を決めるのは誰なのか」といった感想を語り合った楽しい思い出があります。1998年ニューベリーメダルの受賞作です。
●読みやすさ ★★★★☆
最初の1~3ページはMilaがCoast Guard(アメリカ沿岸警備隊)に保護されるときのエピソードなので、彼女の普通の思考が描かれ、したがって中身よりも難しい英語であることをご承知ください。内容は、イルカの家族とMilaが楽しく遊んでいるときに沿岸警備隊の飛行機が来て、逃げようとしたにもかかわらずつかまってしまう、というものです。4~5ページは、イルカ少女Milaが保護されたことを伝える新聞記事です。初心者の方はこれら最初の部分は読み飛ばしていただいてけっこうです。
それ以降の文は、Milaが学んだ人間の言語(英語)で書かれていますので、フォントが彼女の(言語と社会性の)進歩を示しています。最初は幼児の絵本程度の英語で始まります。Milaと一緒に英語のレベルを上げてゆけるので、初心者にはぴったりの本なのです。
●この本を気に入った方にはこんな本も……
同じような児童書を続けて何冊か読むことをおすすめします。
Rules
自閉症の弟を持ったCatherineが主人公の、心温まる、素敵な物語です。小学校高学年向けの本ですが、大人が読んでも十分読み応えがあり、しかも学ぶところがある本です。英語の難易度ではThe Music of Dolphinsより難しいのですが、「洋書完読テク」に従って何度か読めば必ず完読できるでしょう。
注文する前にAmazon.comの”Click to Look Inside”で何ページか試読し、それから購読することをおすすめします。
Tuck Everlasting
10歳の少女ウィニーは、永遠の生命を得られる泉の水を守るTuck一家とめぐり合い、ある選択を迫られます。小学校高学年向けですが、エンディングは大人が読んでも胸に迫るものがあります。古い作品ですが映画化もされていて、いまだに読者は多いようです。英語としてはやはりThe Music of Dolphinsより高度ですが、薄い本なので完読しやすいと思います。
ちなみにこの作者のNewbery賞受賞作はどうですか?
投稿情報: ものぐさ父さん | 2012/03/12 17:13
http://monogusa103.jimdo.com/英語の修行/読書記録手帳1-50万語/
いままではこんな感じです。もう少しの間、おとなでも感動できる児童書を読みたいと思っています。早くレベルアップしてStargirlに再挑戦したいな。
投稿情報: ものぐさ父さん | 2012/03/11 08:57
こんにちは、ものぐさ父さんさん。
お楽しみいただけて嬉しいです!
このレベルの英語で楽に読めるようになれば、次はYA(ヤングアダルト)に挑戦してみてください。YAものは英語が簡単なものが多いし、テーマが大人っぽいので、よみごたえがあると思います。
お子さんと一緒に読むのは良いアイディアですね。本の感想を語り合うことで、絆ができますから。
わが家もそうです。
これからもどうぞよろしく
投稿情報: 渡辺由佳里 | 2012/03/11 06:51
書き忘れましたがThe Music of Dolphinsの感想です。
新中1の娘と新高1の息子をSEGの多読コース春期講習に入れたので簡単なえいごをいっしょにたくさん読んでみようと思っています。
投稿情報: ものぐさ父さん | 2012/03/10 23:43
StargirlやManiac Mageeでは苦戦したわたしですが、今のところスムーズに読めています。簡単な英語でもこんなに豊かな表現ができるのだなぁと驚きながら読んでいます。しばらくはこのレベルの本を読んでいくことを決断されてくれました。
投稿情報: ものぐさ父さん | 2012/03/09 07:08
そうなんです。そのモヤモヤ感が良い作品だと思いました。
正解がないんですよね
投稿情報: 渡辺由佳里 | 2010/10/23 18:39
幸せというのが個人の主観である以上、他人がその人にとって良かれと思ってすることでも、本人にとってそれが不幸の原因になることもある。
現代文明と自然との対比と、主観的幸福というものを考えさせられる良い本だと思いましたが、どうも読後にもやもや感が残りました。
まあ、答えが出ない大きな問題ではあるのですが。。。
投稿情報: MaricaYM | 2010/10/23 18:33
切ない感じがよく表現できている本ですよね。
子供相手の児童書にとどめておくのは勿体ないと思っています。
投稿情報: 渡辺由佳里 | 2010/10/05 12:29
Tuck Everlasting、読了しました。
木々や水、生き物たちの描写がものすごくいきいきとしていて、簡単な単語でもこんなに表現できるんだなあとため息。続きが知りたくてページを早くめくりたい気持ちと、もったいなくて読み終えたくない気持ちで揺れました…。
投稿情報: Marie__100 | 2010/10/05 11:29