図書館の理事をしている同年代の友達ジャネットと、「これまで読んだ一番ひどい(許せない)本は何か?」という話題でちょっと盛り上がりました。
ジャネットのチョイスは誰でも知っているRobert James Wallerの「The Bridges of Madison County(マディソン郡の橋)」
「属しているブッククラブで読むことになったのだけれど、読んで後悔した」とジャネットが憤る第一の理由は「文章表現がひどい」こと。そして、「『一緒になることはできませんでしたが、それでもずっと愛していました』なんて筋書きは、いかにも男性に都合のよい言い訳的なロマンス」と思い出すだけでムカつくようです。(ちなみに私は、それを予測したので読んでいません)
私の選んだワースト第一位はJames Pattersonの「Suzanne’s Diary for Nicholas」です!
「Suzanne’s Diary for Nicholas」は、出版に先立って2001年のニューヨーク・ブックエキスポにて無料で入手したものです。これまで超人気作家パターソンの本を読んだことがなかった私は、ナンタケット島のビーチを連想させる表紙(実際にはその隣の島マーサズ・ビンヤードが舞台)」につられ、ナンタケット島のビーチで読むことにしました。読み始めて数ページで、なんだかムカムカ腹が立ってきました。
Katieという女性がMattという男性と付き合っていたのですが、突然別れを告げられます。そのMattがKatieに送りつけてきたのが「スザンヌからニコラスへの日記」なのです。Mattは自分の過去を直接Katieに打ち明けるかわりに死んだ妻の日記を送ってきたのですよ!悲劇的に死んだ家族の日記で「僕ってこんなにかわいそうな人なの」とアピールするという発想に、既に私は脳の血管が切れそうでしたね。
そのうえ、文章がひどいのです。まったく努力した痕跡がありません。私はビーチタオルの上で目を閉じて横になっている夫に向かって「人気作家の作品でなかったら、絶対に出版されなかったはずのクオリティだ」とブツブツ文句を言いだしました。昼寝をたくらんでいる夫は、迷惑そうに「そんなにひどい本なら読むのをやめれば」と忠言しますが、不運なことにこれしか持ってこなかったのです。6月でまだ泳げないビーチで、読む本なしに数時間何をしたらよいというのでしょう?
「どんなにひどい本か確かめるためにも最後まで読んでやる!」と私は読み進めました。
死んだ妻のSuzanneはすばらしくて、息子のNicholasやMattを愛していて......とくると、お定まりの悲劇が来るに決まっています。泣かせるべきところで泣かせて感動させるべきところで感動させる、というあからさまなテクニックだけで、最後まで何のツイストも驚きも用意されていなかったのですよ。
だいたい、こんなに会話が多くて説明も多い日記を書く人なんています?
これほど手抜きのロマンスが出版されるなんて、優れた作品を書いても出版できない作家に対する侮辱だと思いました。そこで出版されるのを待ってAmazon.comの読者評価を見ると、好きな人が意外と多いのですよ!それに、ベストセラーにまでなるのですから......。
つまり、「好みはひとそれぞれ」ということです。
第二位のNicholas Sparks「Nights in Rodanthe」は、5年ほど前にバーンズ&ノーブルのバーゲンコーナーで10冊ほど買い漁ったときの1冊です。
バーゲンだとあまり深く考えずに買ってしまうのは悪い癖です
「Suzanne’s Diary for Nicholas」ほどはひどくない(と思う)のですが、登場人物にまったく興味を抱けないのと、先が読めてしまうただのメロドラマにすっかり飽きて、薄い本ですが最後まで読まずにやめました。
でも、Amazonの読者の評価はけっこう良いよいですし、最近は映画化もされました。
読者評価が示すように「好みはひとそれぞれ」ですから、男性作家による「必ず泣ける!」ロマンスを求める方にはおすすめ本かもしれません。
読みやすさでは★★★で、どちらも短時間に読み終えることができる薄い本です。特に「Suzanne’s Diary for Nicholas」はフォントが大きいのでもっと早く読み終えることができるでしょう。
コメント
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