映画「ソーシャルネットワーク」の人気などに伴い、日本でもFacebookが注目されるようになっているようです。そこで、今日は、著者から献本をいただいた「Facebook 世界を征するソーシャルプラットフォーム」をご紹介することにします。
けれども、映画を観た人に誤解して欲しくないのは、あれが「事実を元にしたフィクション」だということです。脚本を書いたAaron Sorkinは優れた脚本家で、彼が書いたら素晴らしい作品になるであろうことは、2009年7月の時点で私は予測していました。けれども、Aaron Sorkinは、わざとZuckerbergを含めて誰も取材していません。台詞はほぼすべてSorkinの創作です。
私はTwitterよりずっと前からFacebookを始めたのですが、特に使う目的がなかったのと、時間の余裕がないことから「開店休業」状態でした。米国人の友人と何人かfriendsになったのですが、私があまりにも使わないので、すっかり無視されています。ところが最近になって日本人の方々からfriendsのリクエストが来るようになりました。それらは主にTwitterで知り合った方々です。
さて、その中の一人、山脇伸介さんの新刊「Facebook 世界を征するソーシャルプラットフォーム」は、「Facebookとは何なのか?」という素朴な疑問を抱いている日本の方にぴったりの入門編だと思いました。
Facebookについては多くの本が出ていますが、最初から多くのことを詰め込まれると、混乱してしまう方もいると思います。そういった方に、この本はFacebookの生い立ち、他のソーシャルネットワークサービスとの差などをわかりやすく説明してくれます。
特に著者の強みは、ニューヨーク大学の大学院留学中にFacebookの爆発的流行を実体験しておられるところです。Facebookが生き残った理由が'real' 'cool' 'move fast'だという分析は、日本からあれこれ難しいことを語る専門家にはできない、「どんぴしゃ」の指摘です。
「どんぴしゃ!」と思う部分は、この他にもいろいろあったのですが、何よりも本書が優れているのは、Facebookが広まるベースになったアメリカ社会の「繋がり」に対する楽観性を把握しているところです。
そして、多くの人が誤解しているFacebook創始者のザッカーバーグについても、私が感じているものに近く、共感を覚えました。
著者の楽観性は「ソーシャル化で変わる社会とテレビ」の部分によく表れています。168ページの次のメッセージは、「昔は良かった」、「日本は特別だから」という「やらないこと」「できないこと」の言い訳に勤しむ悲観的な人々にぜひ読んでいただきたいと思いました。「テレビ」の部分を他のメディアに置き換えれば、いくらでも応用できるものです。
「テレビはかつての圧倒的な強さを失いつつあるとはいえ、まだコンテンツを生み出す能力と技術において最強であることには変わりない。...最強のコンテンツを武器に、ソーシャルメディアの大海に漕ぎ出して行けばいいだけのことだ。」
最後になりましたが、参考文献に拙書と夫の著作を挙げていただいたことをお礼申し上げます。
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