オバマ大統領へのフラストレーションについて以前に書きましたが、彼の立場を考えるとなんとか頑張って欲しいと応援せずにはいられません。
私が理解できないのは、現在の共和党の徹底的な「何でも反対党」ぶりです。ブッシュ大統領のもとで自分たちが作り上げた負債をオバマ大統領のせいにするだけでなく、ブッシュ大統領のもとで自分たちが賛成していた政策にまでオバマ大統領が取り入れたとたんに反対する理由を見つけるのですから。オバマ大統領の失敗は米国の恐慌を招く可能性が高く、米国の恐慌は世界恐慌を招きかねません。その危機を回避することよりも、小さな政治的勝利(オバマ大統領を失脚させることで、国民の人気を得て、党の当選者を増やす)しか考えていない政治家は政治家の資格がないと思います。
その典型的な共和党のスターは日本でも有名なサラ・ペイリンですが、それ以外にも似たようなスターがいます。共和党の下院議員Michele Bachmann(ミシェル・バックマン)がその一人です。でまかせの嘘で民衆を鼓舞することで有名なのですが、その証拠がオバマ大統領の医療制度改革に反対するこのビデオです(Think Progressより)。
医療改革案のモデルのひとつである日本のシステム(政府が管理するユニバーサルヘルスケアシステム)が恐ろしい理由について、彼女はこんな逸話を披露しています。(忙しいので丁寧な訳でないことを前もってお詫びします)
以下はワシントンDCである(名無しの)日本人男性が彼女に接近したというバックマンの逸話です。
彼(その日本人男性)が言うには「日本のヘルスケアでの受診待ちはもうどうしようもない状態だ。(治療を受けたければ、ウエイティングの)リストに乗って、待って、待って、待たなければならない」ということなのです。けれども、みなが知らないのは次の部分だと彼は言うのです。「日本では、国民はヘルスケアについて意見を述べることをやめてしまった。日本のヘルスケアには問題があるのだけれど、それについて発言することを国民は恐れている」私はそこで「それはなぜですか?」と尋ねました。彼は「なぜなら、(ブラック)リストに載って、ヘルスケアが受けられなくなるからだ。保険に加入できなくなり、受診もできなくなる。だから皆恐れている。政府に対して反論するのを恐れている。どんなことを言うのも恐れている」と。私たちはこういう将来を求めているのでしょうか?
He said that in Japan, to wait and get health care is almost impossible. You get on a list and you wait and you wait and you wait. But he said this is something people don’t know: in Japan, people have stopped voicing their opinion on health care. There are things that are wrong with Japanese health care, but people are afraid of voicing. ‘Well why is that,’ I asked. [He said], ‘Because they know that would get on a list and they wouldn’t get health care. They wouldn’t get in. They wouldn’t get seen. And so people are afraid. They’re afraid to speak back to government. They’re afraid to say anything.’ Is that what we want for our future?
もちろんバックマンはこの「日本人男性」に会った証拠はまったく提示していません。彼女はオバマ大統領の国籍への疑いを広めたことでも有名な嘘つきですが、日本をまるで旧ソ連みたいに言うのはさらに許せません(と言ったところで、@kana_chika さんから「ソ連は外国人で保険に入ってなくても手術も入院もタダでした。病院内に会計がないので」というTwitterでの体験談をいただきました。私が「旧ソ連」とたとえに出したのは、「政府に反論するとブラックリストに載る」という部分ですが、それもまあ証拠があるわけではありませんねえ) 。
つまりバックマン下院議員が植え付けようとしているのは、「ユニバーサルヘルスケアは社会主義である。社会主義になると政府に文句を言えなくなり、治療が受けられなくなる」という恐怖なのです。
ところで、米国での予約待ちなんて日本からは想像できませんよ。高いお金を払って保険に入っていても、予約しようとしたら何ヶ月も待たされます。だからわが家では風邪やインフルエンザくらいでは病院には行きません。行くのは定期検診だけで、それも6ヶ月くらい前から予約。最近はドクターではなく予約しやすいナース・プラクティショナー(投薬もできる専門家ナース)にしています。
オバマ大統領が相手にしているのは、同性愛結婚に反対で医療制度改革に反対という「反対」が売り物のバックマンやペイリンをスター扱いしている共和党なんです。どうりで近年多くの共和党員が離れて行ったわけです。こんな共和党に対して一生懸命「一緒に働こう」と親切に働きかけてきたくせに、自分の党である民主党(特にリベラル)のアジェンダを無視してきたからオバマ大統領の人気が最近落ちていたのです。彼のことを「これまで最も左寄りの大統領で、意見をちっとも聞いてもらえない」という共和党の言い分は馬鹿げているにもほどがあります。
けれども最近共和党への厳しい態度を示したオバマ大統領の人気が突然上昇しています。ぜひ、スピーチだけではなく議会を力づくで動かすリーダーシップを示して欲しいものです。
このブログは英語で書かれた良い本を紹介するブログだと思います。 そこで、紹介しますが、Sally PipesのThe Truth About Obamacareをぜひお読みください。 私はまだ半分まで読んだところですが、とにかくアメリカだけでなく、日本やヨーロッパを含めた先進諸国の医療の問題がすっきりと分かります。 アメリカがオバマ以前にも医療費が高すぎたり保険料が高すぎたりしたのはフランクリン・ルーズベルト、ジョンソン、カーター、クリントンといった左翼どもの面々が市場経済を攪乱しまくったためであるということが分かります。
単純に言えば、1970年代に超高価だったコンピューターは今ではたいていの人が買えるくらい安価になっているわけです。 携帯だってそうです。 テレビもそうです。 それが、医療がなんでこんなに高価なのか。 医者が足りないのか。 それは100%大きな政府の市場介入が原因であることが分かります。 よくわかります。
Obamacareというのは要するに今の医療の問題を作り出した原因に対して、それを何倍にも増幅させようとする政策です。 問題の原因が社会主義であるにも関わらず、それに拍車をかけていこうという、非常に恐ろしい政策です。 狂気の政策です。
日本人はこれを読まないと、日本がダメになります。 MSNBCやCNNやCBCやハリウッド映画といった左翼メディアなんかを英語の教材にしていると、頭が腐ります。 馬鹿になります。 それならば英語なんぞやらないほうが良い。 ただでさえ日本には左翼メディアしかないのだから。
英語をやるなら、保守のラジオを聴き(ラッシュ・リンボーやマーク・レビン)、保守のテレビを見て(ショーン・ハニティ)、保守の本を読みましょう(アン・コールター、Jonah Goldberg、Michelle Malkin等沢山)。 それらに触れれば触れるほど、賢くなります。 頭がよくなります。 強くなります。
投稿情報: herald | 2011年8 月15日 (月) 10:43
アン・コールターが旦那様の高校の同級生とは何ともうらやまし限りです。 コールターの最近の著書「Demonic」を読まれることを強くお勧めいたします。 保守というのは何故ここまで次から次へと優れた本を出すのか、と思いますが、恐らく歴史から学ぶという保守の生き方そのものから来ているのでしょう。 Independentだということですが、ということは完全に左翼に脳を侵されていないということで喜ばしく思います。
投稿情報: herald | 2011年7 月 8日 (金) 10:23
こういうご意見もご意見ではありますので、そのまま載せさせていただきます。
私のブログをちゃんとお読みであれば既にご承知の筈ですが、ご推薦の「アン・コールター、ラッシュ・リンボー、デニス・プレーガー、ショーン・ハニティ」全部聴いたことがあります。アン・コールターは、夫の高校の同級生ですから、heraldさんより前から知ってますよ。
そのうえで、まったく尊敬していません。
保守では、David BrooksやColin Powellの意見には賛同することが多いです。また、マサチューセッツ州の上院議員のScott Brownも、良いところが多くあります。私は、マーガレット・サッチャーの大ファンでもありました。
そもそも、私はリベラルでも左翼でも、民主党でもないですよ。
Independent.
そのほうが、視界を曇らせることがない。
そこのところ、お間違いなく。
投稿情報: 渡辺由佳里 | 2011年7 月 8日 (金) 10:02
保守の立場からこちらの考え方を十分理解していただこうと考えてブログをリンクしたのですが、趣旨が理解されず残念に思います。
リベラルというのはフランス革命という集団発狂行動の端を発する左翼暴力運動に起源を持ちます。 それはロシア革命(大粛清の嵐)、ナチス・ドイツ(ホロコースト)、ニューディールのアメリカ(大恐慌)、中国の文化大革命(大飢餓と大虐殺)、ポルポト(大虐殺)、ベトコン(大虐殺)、北朝鮮(強制収容所)という血、血、血の歴史を持つ恐ろしい思想です。
ソビエト連邦をつぶしたのは誰でしたか? アメリカ経済を復活させたのは誰でしたか?
ロナルド・レーガンです。 レーガンこそ保守の権化でした。 しかし今のミシェル・バックマンと同様リベラルからは「狂人」扱いされていました。 生ぬるい中道路線の共和党員からも徹底的に煙たがられていました。
アメリカの建国の礎は「Liberty, E Pluribus Unum, In God We Trust」自由、多数から一つへ、神への信仰の理念でした。 この理念を受けついているのが共和党であり、保守であり、Tea Partyであるわけです。 ハリウッドやMSNBCやCNNといったリベラル左翼が代表するのはアメリカの根幹ではないのです。
英語を学ぶのであれば、同時に保守主義を学ばなければ、それはかたわも同然です。 アメリカの保守はオバマ政権を叩き潰すでしょう。 11月の中間選挙(共和党が勝利)はその前哨戦です。 オバマに投票した人も彼がいかにまがいものの左翼であるかが分かってきています。 今まさに歴史が作られようとしているのです。 これを左翼の視点で斜めに見ていたのではもったいない。
保守のマーク・レビン、アン・コールター、ラッシュ・リンボー、デニス・プレーガー、ショーン・ハニティといった面々の声を聴いてごらんなさい。 Youtubeでもどこでも手に入ります。 素晴らし事です。 日本も保守に回帰すれば、そう大日本帝国に回帰すれば、そこから未来が開けるはずです。
投稿情報: herald | 2011年7 月 8日 (金) 09:54
ケロンパさん、こんにちは。
いろんなところを巡ってたどり着かれたのですね、ご苦労様です。
Rachel Maddowは面白いでしょう?私も毎日ではないですが録画して見ています。ご指摘のように日本から観るアメリカは、そのソースになっているものによって非常にリベラルなものであったり、非常に右寄り(たとえばFoxやウォールストリートジャーナル)だったりして、偏りがちです。ですから、いろいろなものを交えて読むことが非常に重要だと私は思います。また、それらは単に一つの視点であるともとらえるべきですね。
私はRachelが好きですが、それでも彼女と意見が異なるときはあります。
普段は嫌いなパット・ブキャナンでも「それは当たっている」という発言もたまにあります。
でも、それが当たり前だと思うのですよ。
だからこそ、日本に住む方にはもっと多くのものを見たり、読んだりしてほしいと思うのです。メディア・リテラシーを浸透させないと、プロパガンダに操られやすい国になってしまいますから。
というわけで、私のブログも限界があるひとつの視点でしかありません。「こういう見方もあるのか〜」程度に楽しんでいただければ嬉しいです。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
投稿情報: 渡辺 | 2010年2 月 4日 (木) 05:07
渡辺さん、はじめまして!ケロンパと申します。
アマゾンの書評?か何かを見ていて、こちらのサイトに辿り着きました。
最近、rachel maddow showやdemocracy now!を見て英語の勉強をしているのですが・・・
ハリウッド映画や、日本の報道メディアで言及される部分だけでは見えないアメリカの実際の姿に、かなり驚いています。自由の国という認識だけではカバーできない、むしろアメリカっぽくないアメリカの要素が約半数?含まれている実情にゲンナリするとともに、今までの勉強不足な状態で世界を捉えていた自分に愕然としました。
日本にいる私たちが手放しで「アメリカっぽい」と讃えている雰囲気は、そちらではリベラルと呼ばれる一部の人々のイメージからきているのかなぁ?
ミシェル・バックマンやサラ・ペイリンといった人々、目が狂気じみて見えるのはケロンパだけでしょうか・・・民主党にもジョー・リーバマンのような不思議な人も居たりして、フラストレーションに晒される今日このごろ・・・アメリカが成功できないのであれば日本もムリだと、悲しい気分で暮らしています。
投稿情報: ケロンパ | 2010年2 月 3日 (水) 00:55