最近Twitterで食餌療法のひとつ「マクロバイオティック」や精製していない砂糖を摂取しないことの利などについて軽く語ったところ、どうやら「いかがわしい療法をすすめている」と感じた人がいるようです。そこで、ちょっと私の立場を説明しておこうと思いました。
「水晶玉をつければ病気が直る」とか「宇宙からの光線を受ければ直る」的な療法はもちろんのこと、一見説得力があるものの、かえって害を及ぼす「いかがわしい療法」は大嫌いな人間です。昔、高校時代の友達がそういう「化粧水」や「水晶玉」を(何度もやんわり断ったにも関わらず)奇形児の写真まで送って「こういうものを使わないとこんな結果になる」みたいな勧誘をするので、すっかり縁を切ってしまったこともあります(だいだい私は化粧をしないのです。「化粧をしない」ことについてまで批判されたのは?でしたが)。病気のために精神的に弱くなっている人の心理につけこんで高いものを売りつける人々には憎しみすら覚えます。
けれども、そのいっぽうで、一般の人々がはなから否定しているものの中に、治療を助けたり、健康を推進するものがあるのも事実です。それが、代替補完医療Alternative and Complementary Medicineなのです。この中で得に私が推奨するのは、Complementary MedicineとIntegrated/Integrative Medicineの考え方です。つまり、西洋医学を切り捨ててそれ一本にする療法ではなく、西洋医学の治療ではカバーできないことを補い、患者の健康そのものを推進する療法のことです。
そもそも、現代の薬は自然界の薬草から生まれたもので、その人工的なバージョンです。だから薬草や漢方を否定するのはおかしな話なのです。また、薬を経口するように、口から食べる食事の内容が健康に影響を及ぼすのは非常に論理的なことです。糖尿病や高血圧では食餌療法が非常に重要な役割を果たします。どうしようもない状況を除いて私はマクドナルドのハンバーガーは食べません。無理しているわけではなく、本物の味に慣れてしまっているので、ああいうものを受け付けられないだけなのです。インスタントラーメンはたまに食べますが、必ず後でむくんだりして調子が悪くなります。マクドナルドだけを食べ続けたらどうなるか、というのを身を以て検証したドキュメンタリー「Super Size Me」は極端な例ですが、身体は正直なものなのです。
ただし、痩せるためのダイエット(私はこの種のダイエットはしない主義です)もそうですが、「ほどほど」が大切なのは言うまでもありません。
玄米や近くで摂れる新鮮な野菜(できるかぎり有機)の食品を摂るマクロバイオティックの利は十分承知していますが、それをずっと続けるのは(ダイエットをしない主義の私には)まず無理です。
また、サプリメントの問題点は、薬品ではないために、製品ごとの質の管理ができず、効用を実証しにくいことです。今後この分野の研究がもっと進むことを願っています。
科学的な検証が進んでいるものの中には、私たちの先祖が「知恵」として使ってきた療法が多いのです。医学書院の看護学雑誌などで、科学的な立場から米国の文献を紹介したり、ルポをさせていただきました。もう古いものですが、ご参考までに2003年の看護学雑誌掲載のルポ「米国のがん治療先端医療の場での代替補完医療」第一部をご紹介します(新しいMacを買ったとたんスキャナーが使えなくなったので、pcを使うため時間がかかりすぎるので1部だけ)。
もっと綺麗なPDFを読みたい方、あるいはこれ以外の掲載に興味ある方は有料ですが医学書院からPDFを読むことができます。
精神神経免疫学パートI─マインド―ボディ(心と身体の連携)介入方法
精神神経免疫学パートII─生理学─なぜ看護介入は身体機能に影響するのか
終末期ケアについて
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