娘の元チームメイトで16歳のエリザベス・バイセルがローマで開催中の世界水泳で、このレベルの国際大会では初めてのメダルを獲得しました。
北京オリンピックでは4位に終わった200メートル背泳で、堂々たる2:06.39のタイムで銅メダルでした。一昨年であれば世界記録だったはずのタイムですから、もちろん個人ベストです。とってもうれしそうでした。
今日はいよいよ注目の400メートル個人メドレー決勝です。シードは2番目です。
ビデオを観たいかたはこちら(1日分ですから長いですが)。日本の世界水泳のサイトはこちら。
エリザベスは、「天才は作れない。生まれつきのものだ」と私に確信させる存在です。
詳しくは過去の水泳や教育のエントリーをご覧になっていただきたいのですが、彼女を知れば、親が早期英才教育(数学、単語、水泳などすべてを含む)をさせる愚かさを感じるでしょう。
私は、通常若くして成功する人に対して不安を抱きます。後の人生が大変になると思うからです。多くの人がアルコール依存症になったり、鬱になったり、決して楽な人生を歩んではいません。エリザベスも早期から才能を発揮しているので心配ですが、生まれつきの楽観性と競争好きでなんとかなるのではないかと祈っています。
練習で悲壮感がまったくないことについて以前に書きましたが、コーチに対しても気に入らないことがあればはっきり反論する強さもあります。世界大会とかオリンピックでももちろん緊張するのですが、みんなと一緒に旅するのが楽しみで仕方ない、という感じです。誰とでも(それがライバルでも)すぐに友達になり、競争は競争と割り切ってそのスリルを楽しむという感じなのです。(以前、背泳の中村選手が好きだと言っていました)
いっぽう、才能がある悲壮な選手も沢山知っています。
小さいころからはじめて才能があったから泳ぎ続け、そのうちに親のために泳いでいるのかコーチのために泳いでいるのか、それともそれが自分の意思なのか見分けることができなくなってしまうというのはよくあることです。
こういう選手にとって早期から才能を認められたのは幸運なことではなく、不幸なことだと思います。
ですから、すばらしい選手をみて親が「わが子をオリンピック選手にしよう!」といったモチベーションを持つのはやめてほしいと心から願います。
エリザベスは親が作った選手ではありません。偶然の産物なのです。
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