全体的にシリーズものが多いようです。単品としてはあまり出来が良くないのに、シリーズのファンが多いためにベストセラーになったという感じですね。だからみなシリーズを書きたがるのでしょう。
独断と偏見で申し上げると、このリストの中で読む価値、あるいは読むかどうかを考慮する価値がある作品は、THE STORY OF EDGAR SAWTELLE、THE GUERNSEY LITERARY AND POTATO PEEL PIE SOCIETY、THE HOUR I FIRST BELIEVED、THE PIANO TEACHER、BEAT THE REAPER、A MERCY、のみだと思います。
1. PLUM SPOOKY
女性バウンティ・ハンター(保釈中に逃亡した者を探し出して連れ戻す職業)のプラムが主人公のシリーズ最新作。軽くてユーモアがあり、読みやすいのがこのシリーズの魅了のよう。だが、この本に関しては、Amazonの読者レビューを読むと、このシリーズをずっと読み続けたファンでも「可笑しい(Funny)というよりも馬鹿げている(Silly)だ」と「これがPlumシリーズを読む最後」と怒っている。また、その数が多い。約4割はあまり良い感想を抱いていない。
2. THE HOST
ヤングアダルト向けロマンスTwilightの作者ステファニー・マイヤーが大人を対象に書いた初めてのSF。詳しくは洋書ファンクラブをどうぞ。
3. THE STORY OF EDGAR SAWTELLE
オプラ・ウィンフリーがOprah’s Book Clubの作品に選んで以来ずっとベストセラー。言葉をしゃべることはできないが犬と心を通わせることができる少年エドガーが主人公で、ハムレットのテーマが根底にあるとのこと。読者の感想を読むと、すばらしい部分とそうではない部分が混在する作品のようである。好き嫌いが分かれている。
4. AGAINCOURT
歴史冒険小説。英国とフランスの百年戦争が舞台で、メロドラマチックな展開とのこと。
特にすばらしい作品ゆえにベストセラーになっているという感じではない。読者の感想は「まあまあ」といったところ。著者のファンは多いので、新作を必ずチェックする人がいるのであろう。
5. BLACK OPS
大統領から直接命を受ける工作員の冒険シリーズ第五作。これも他のベストセラー同様にシリーズをずっと読み続けているファンが多い。読者の感想は良否半々といったところ。
6. SCARPETTA
これは1ヶ月前に説明したので省くが、読者の感想は良否ふたつに分かれている。「これ以上シリーズを読まない」という落胆と「ネガティブな評価に耳を傾けるな」という熱烈な応援が混在する。
7. MOUNTING FEARS
選挙を目前に控えて、大統領は難問の数々に直面する。
ジェームズ・パターソンのように作品数が多い作家。いつもベストセラーに入るだけあり、読者を喜ばせるフォーミュラを知っている。だが、深い娯楽は期待しないほうがよい。この本に関しての読者の感想は、ネガティブなもののほうが多い。
8. THE GUERNSEY LITERARY AND POTATO PEEL PIE SOCIETY
ジャーナリストのジュリエットは、Guernsey島に渡り、第二次大戦中ナチスドイツに抵抗した住民たちに会う。Feel Good Story(心温まるお話)というのが読者に一致する感想。批判する者は、物語がスムーズにまとまっていないことや、登場人物の描き方が典型的すぎて本物らしくないことを挙げている。まとまりについては、作者の死が影響しているかもしれない。
私がこの本を読むことを中断したのは、個人的に小説中の手紙が嫌いなこと(理由を書き出すと話が長くなるのでやめるが)。ひとつやふたつなら許せるが、この本を読んだ姑が「全部そうよ」というのでその時点でやめた。
9. CROSS COUNTRY
ジェームズ・パターソンは個人的に好きな作家ではない。ベストセラーになった本を何冊か読んだが、いずれも人物描写が典型的でリアリスティックではない。「売れる」フォーミュラにしたがって大量生産しているという印象がぬぐえない。力はある作家だと思うが、読後に何も残らない作品ばかりがベストセラーに入るのはどうかと思う。
この本に対するAmazon読者の感想もネガティブ(★)がポジティブ(★★★★★)の倍以上である。
10. THE HOUR I FIRST BELIEVED
すでに暗い生活を送っている高校教師が、さらに辛い試練を受けてゆく。物語が進行するにつれ、状況はさらにひどくなるらしい。嘘っぽい「心温まる物語」が嫌いで、本物の人生を求める人には良い本かもしれない。Amazon読者の感想は予想どおり良否混じっているが、このリストに載った他の(娯楽・シリーズ)作品よりもポジティブなものが多いのは特記すべきことだろう。
11. THE PIANO TEACHER
1950年代の香港でイギリス人女性が、日本の占領下時代の秘密を見つける。評価は分かれるが、文学作品としては良質のものという印象である。
12. FROM DEAD TO WORSE
これもシリーズもの。
吸血鬼、狼人間、魔女などが登場するパラノーマルで、少々過激なロマンスが加わった人気シリーズ。テレビ化もされている。人間のヒロインとパラノーマルな男性とのロマンスという点ではTwilightシリーズと似ているが、類似点はそこで終わる。登場人物にはTwilightの上品さ(?)はまったくなく、ほぼ全員がワーキングクラスで頭脳よりも肉体派。そういう軽さが好きな方向けの純粋に娯楽作品。
この本はシリーズの8作目。疲れが出ないのかと思うが、ファンの感想を読む限りはまだまだ続きそうだ。
13. BEAT THE REAPER
個人的にはこのリストの中でもっとも注目している作品。
元プロの殺し屋だった主人公は現在医師になっている。だが、勤め先で過去を知るマフィアに会ってしまう。ユーモアとスリルが混じったユニークなサスペンス・スリラー。読者の感想も良好。
14. FIRE AND ICE
人気ロマンス作家Julie Garwoodの最新作。ロマンス8割、ミステリー2割、といったところのよう。彼女のミステリー+ロマンス作品は無料Kindleサンプルで一度だけ読んだことがあるが、あまりにも登場人物が薄っぺらだったので中途で挫折した。だが、ロマンス本の読者には根強い人気がある。
15. A MERCY
17世紀のアメリカ。奴隷の母は、自分の娘によりよい将来を与えるために北部の農民に彼女を買ってくれるよう頼む。これについては以前に書いたので省略。
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