レベル:高校生以上が対象
by Moeさん
The Great Automatic Grammatizator
このお話は、私にも分かりました。Knipeという人が、本の内容だけをパソコンに打ち入れると、勝手に素晴らしいお話が出てくるマシーンを作り、有名な作家たちの名前を借りてお金儲けをするというショートストリーです。最後のオチが面白かったです。また、作家に対しての憧れや、時代がよく分かりました。
Mrs.Bixby and the Colnel's Coat
これは、説明してもらってからようやく理解できました。Mrs.Bixbyが、浮気をしますが、男の人が別れなければいけなく、プレゼントにMincのコートをあげます。けれど、夫に見せたらすぐに浮気をしていたことがばれてしまいます。なので、質屋へ行き、チケットと交換し、拾ったことに見せかけます。ところが旦那さんにはもうばれていて、結局Mr.Bixbyがコートを取りに行きます。その日、コートを取りに夫の仕事場へ行くと・・・なんと他の女性がコートを持っています!これでやっとMr.Bixbyも妻に仕返しができたというわけです。内容は少し難しかったけれど、私の一番好きなお話です。
The Butler
これも説明してもらいました。Butlerが、つかえている貴族をまんまとだますお話です。Butlerは、まずその貴族のDinner Partyには、安いワインしかないといって高いワインを何本も買わせます。けれど、結局貴族を逆らって、Cookと二人で質の良いワインを飲み、貴族たちには安いワインを飲ませる、という内容です。実際の意味が分かった後も、なぜか何か物足りないような気がしました。
Man from the South
風のない部屋で、ライターに10回火がつけられるか、というかけをします。勝ったら新車、負けたら指一本、という何とも残酷なかけ。さて、対戦相手は勝てるのでしょうか・・・。このお話は、私の持っている本(和書)の、風変わりなミステリーコーナーに載っていました。確かに、とても違った味の推理小説です。以外なエンディングに驚きました。また、自分の指をかけるとは、何ともDahlらしかったです。
The Landlady
これは、Billyが宿であった体験のお話です。この本の中では一番怖かったです。これは、一人だけでもエンディングが分かりました。Landladyの最後のセリフが、ミステリアスでも、ホラーっぽくでもあり、(この先どうなるの?)と思わせます。Dahlが少しずつさりげなくいれるヒントにより、だんだん続きが分かってきます。これも私の好きなお話の一つです。
Parson's Pleasure
このお話は説明してもらわなければ、分かりませんでした。これは、Parsonが高い値打ちの物を、安く買おうとするお話です。そこでせっかく見つけたテーブルなのですが、その足だけがほしいといい、せっかくいい値段で相手も売ろうとしているのに、足だけがほしいのだからもっと安く!と訴えます。結果的に、本当に足だけを持ち帰らなければいけなくなってしまいます。欲張るのはいけないと、Dahlは伝えたいのだと思います。お話のプロットが面白かったです。
The Umbrella Man
タイトルにもなっている、ショートショートです。ここでは、アルコール中毒の男の人が、何をしてでもお酒を飲みたいので、barに行って傘を盗み、その傘の代わりにタクシー代を取り、お酒を飲み、そしてまた傘を盗んで・・・の繰り返しです。今回は主役のお母さんがだまされるのですが、そこで傘を返さなかったお母さんも気が強いな、と思いました。またもやDahlらしいお話です。
Katina
他のお話とは違い、これは真剣なお話です。Going Soloのように、戦争について語っています。また、家族を亡くした悲しみや、人々の戦争に対しての気持ちがじわじわとあふれるあまりDahlらしくない作品ですが、思わず読むのに夢中になっていました。私はDahlがKatinaを平和に例えたのだと思います。何回読み直しても、本当の意味が分からない、謎めいたお話です。
The Way Up to Heaven
これも、Revengeの話です。心配性で気が済まない妻と、わざと妻を心配させようとしてる夫が主人公です。この妻は、飛行機に乗らなければいけないのに夫がプレゼントを忘れた、手を洗わなければならない、などといい、わざと遅れさせようとします。最後に夫が探し物をしに家に入った時、妻がそれを見つけたので伝えようとしますが家の中の音をじっくり聞いて夫なしで旅行します。さて、何が起こったのでしょうか・・・。これもかなり怖いお話でしたが、意外にも楽しめました。
Royal Jelly
このお話も、夫婦物語です。痩せすぎた赤ちゃんを心配に思う妻は、夫の頼みにより一晩だけ赤ちゃんの世話をさせます。すると赤ちゃんはみるみる元気に・・・ところで、この夫は、蜂マニアで、毎日蜂についてのmagazineを読んでいます。そして何気なく読んでいると、一週間蜂に飲ませるだけで3トンも重さが増える、Royal Jellyという物を知ります。始めは蜂なんて、全く関係がないと思っているのですが、読むうちに重要だと分かって来ました。やはり読者をこのように戸惑わせるDahlは天才だな、と思いました。
Vengeance is Mine Inc.
お金持ちを新聞記事などで悪く言うsocialistを懲らしめて、金儲けをしようとする二人組のお話です。いろいろな懲らしめ方をどんどん思いつくところが面白かったです。エンディングが、あまりにも中途半端で少し裏切られたような気もしました。
Taste
またもやかけの話です。今回はワインを飲んだだけで、種類と、どこのワイン畑で作られたか当てるなければいけません。もし当たれば自分の娘、はずれたら家を二つをあげなければいけません。さて、結果はどうなるのでしょう?これは分かりやすく、説明なしでも意味が分かりました。最後はこうなるかな、といった予想が当たったのでうれしかったです。また、自分の娘をかけに出すとはずいぶん大胆だと思いました。
Neck
最後のお話です。今回もリベンジのお話です。根性がとても強くていつも弱気な夫に意地悪をしている妻を夫が仕返ししたい、という内容です。妻が遊び心で彫刻の穴に首を入れた時、やっとチャンスがきます。召使がのこぎりと斧を持ってきて・・・。Umbrella Manの最終話にぴったりでした。やっと仕返しができたのでよかったね、と言いたいです。これも一人だけで分かりました。
全体を通して、内容は難しいですが、楽しめました。特に難しい言葉は使っていないと思います。
もえさんのご希望で、今回は短編集にトライしてみました。Amazonのデータには4歳から8歳向けとありますが、とんでもない間違いに笑ってしまいました。
図書館などではヤングアダルト向けとなっていますが、多くは浮気のリベンジやギャンブル中毒などがテーマなので、この面白さが分かるのは大人だと思います。
また、ずいぶん昔に書かれたものですから、時代の変化を感じさせるものもあります。
けれども、「優れた短編とはこういうものだ」というのを見事に表しているのがこの短編集です。だんだん盛り上がり、最後にあっという結末が待っています。長編よりも詳細に注意を払わねばならないので、かえって読み応えはあるかもしれません。ディスカッションを楽しむことができました。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。