著者:Camille Deangelis
ハードカバー: 304ページ
出版社: St Martins
ISBN-10: 1250046505
発売日: 2015/3/10
適正年齢:PG12(中学生以上)
難易度:中級レベル〜(一人称の語り。文章そのものは非常にシンプル)
ジャンル:YA(ヤングアダルト)フィクション/現代小説/ホラー
キーワード:人肉食い、家族愛、友情、愛、ラブストーリー
Marenは友だちを作りたいし、人から愛されたい。けれども、自分にはそれができないことを知っている。
なぜなら、ある「悪いこと」をするのを止められないから。
幼いときにベビーシッターを衝動的に食べて以来、Marenは自分に引き寄せられて近づいてきた者たちを何人も食べてしまった。衝動に駆られると自分の意思では止められないのだ。気づいたときには骨も含めて全部食べてしまった後だ。
母にも見捨てられて孤独になったMarenは、一度も会ったことのない実の父親を探すために旅に出る。その道中で、死体だけを選んで食べるという老人と、悪者だけを選んで食べるという青年に出会う。
「人に愛されたい」という要求と「自己嫌悪」に悩まされるティーンのMarenの心境を描いたこのYAフィクションは、"successfully blends metaphor with the macabre"(Publishers Weekly)、"A commentary on young women's sexuality, reliance on self, and being about who you are rather than where you came from...This novel is unique, edgy, and not to be missed! "(RT Book Reviews, 4.5 Stars, "Top Pick")と前評判が良かった。
興味を抱いていたところにARCをいただく機会があったので試してみた。
楽しみにしていたのだが、私の感想はこれまでのマジョリティの意見とは異なるものだった。
「人肉食い」というのは、(この小説内では実際に起こることだが)、著者がメタフォーとして使っているのは明らかだ。では、その理由と目的は何であり、それはうまく働いているのか?
そのヒントになるのが、著者が最後に書いている「Acknowledgements」の部分である。
著者自身はヴィーガン(魚、卵、乳製品なども一切食べない純粋菜食主義)であり、彼女は次の信念を伝えるために「人肉食い」の登場人物を使った青春小説を書いたというのだ。
" the world would be a far safer place if we, as individuals and as a society too a hard, honest look at our practice of flesh eating along with its environmental and spiritual consequences"
(我々の肉食の習慣とそれが環境、精神/魂に与える影響を、個人として社会として厳しく、率直に見直したら、世界ははるかに安全な場所になるだろう)
これを読んで、正直びっくりした。読んでいて、こういうメッセージは全然感じなかったからだ。私は「愛」の異なる形でも描きたいのかと思ったのだが......(全然賛成はできないけれど)。
でも、誤読したのは私だけではないと思う。著者がこのメッセージを与えるためにBones & Allを書いたとしたら、これまで絶賛している人も読み間違えていると思うから。
また、この部分がなくても、私はこの小説を絶賛している人の気持ちが理解できなかった。
主人公の哀しみは胸に全然響かなかったし、その他の登場人物の行動も理解に苦しんだ。フィクションであっても、やはりリアリスティックで説得力がないと、登場人物に感情移入できない。著者が描く「(食べられても仕方ない)悪い人」の例もお粗末だ。これくらいの罪なら私の周囲の人の90%は人生のどこかで犯しているだろう。Marenの「後悔」も薄っぺらすぎる。著者がわざとそうしたのなら、読者はそれを見逃していると思う。
というわけで私は好きではなかったが、これだけ沢山の人が褒めているので、好きになる人もあるだろう。すぐに読みきれるので、風変わりな作品が好きな人は試してみてはどうだろう?
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。