著者:Roz Chast
ハードカバー: 228ページ
出版社: Bloomsbury Pub Plc USA
ISBN-10: 1608198065
発売日: 2014/5/6
適正年齡:PG10(特に問題な箇所はないが、理解できるのは中学生以上だろう)
難易度:中級レベル(上級レベルの表現は多いが、絵や写真があるので、やや状況を把握しやすい)
ジャンル:グラフィックノベル/回想記(メモワール)
キーワード:年老いた親の世話、親子関係
賞:2014年全米図書賞(National Book Awards)最終候補
The New Yorker誌でお馴染みの風刺漫画家Roz Chastが書いた回想記『Can't We Talk about Something More Pleasant?』は、グラフィックノベルでありながら、2014年全米図書賞ノンフィクション部門で最終候補になった。
見た目はコミカルで軽そうだが、中身はどっしりと思い作品である。
過剰な心配性の父親は認知症でよけいに扱いが難しくなり、暴君だった母は90歳を超えても変わらない。
そのうえ、施設入所と介護の費用で一ヶ月に1万ドル以上(百万円から二百万円)かかるようになる。そのための準備をしていなかった両親の貯金はすぐに枯渇するが、両親にはもうそういったことを考慮する力はない......。
母を恐れて不幸だった著者の子供時代の写真や、年老いた両親がためこんだゴミの写真なども含まれていて、著者の心の葛藤がビジュアルに伝わってくる。人ごとではないと感じる人は多いだろう。特に、私は著者と母親との関係に深い共感を覚えた。
ふだんコミックや漫画を読まない私の夫も「辛いところがあるけれど、読んで良かった」と言った作品である。話しにくいテーマを語り合うきっかけにもなるので、どの年齡の人にもお薦めである。
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