著者:Jessie Burton
ハードカバー: 400ページ
出版社: Picador (2014/7/3)
ISBN-10: 1447250893
発売日: 2014/7/3
適正年齡:PG15(高校生以上、性シーンはあるが僅か)
難易度:上級(ネイティブの普通レベル)
ジャンル:歴史小説(17世紀オランダ)/文芸小説/スリラー
キーワード:キャビネット式ドールハウス、宗教抑圧、超常現象、フェミニズム、成長物語、ゴシック・ロマンス
賞:読者が選ぶ、Specsavers Book Of The Year(英国のNational Book Awards)
1686年、18歳のPetronella Oortman(Nella)は、アムステルダムの裕福な商人Johannes Brandtに嫁ぐ。母が取り決めた結婚相手のJohannesはNellより20歳ほど年上で、新婦を無視して留守ばかりしている。そのうえ、Johannesの独身の妹Marinにも冷たくあしらわれ、Nellaは孤独になる。
妻を無視している罪悪感にかられたのか、ある日JohannesはNellaにキャビネット式のドールハウスをプレゼントする。それはBrandt家とそっくりそのままに作られたミニチュアの家で、Johannesは内部の装飾をNellaが自分で手配するように言う。
この歴史小説に登場するミニチュアの家は実際にアムステルダムのRijksmuseum美術館に展示されている(右の写真は、美術館のサイトから公式にダウンロードしたもの)。
小説のようにJohannes Brandtと結婚したPetronella Oortmanが持ち主だった。
だが、小説はあくまで著者の創作であり、実存のJohannesとPetronellaのストーリーではない。
著者Burtonの文章は美しいし、Miniaturistの謎や、Nellaが知るようになるBrandt家の数々の秘密は興味深い。それに惹かれてあっという間に読み終えてしまった。イギリスの読者が選ぶSpecsavers Book Of The Year(英国のNational Book Awards)賞になったほどなので、確かに魅力的ではある。
だが、気になることもいくつかあった。特に、宗教的な圧迫があった17世紀アムステルダムにしては近代的すぎる状況設定、会話、行動に納得できなかった部分が多い。謎解きにも騙されたようなもどかしさが残る。何よりも、主要人物たちの人物像や、人間関係がしっかりと伝わる前に小説が終わってしまったことが残念だった。
そういう弱点があるものの、読んで損はしない小説である。
Sparkyさん、
家族のいろいろがありまして日本に戻っており、お返事が遅くなって申し訳ありません。
そうなんですよね。なんだか未完成な感じがあって、すごく後が気になります。
投稿情報: 渡辺由佳里 | 2015/02/10 05:15
昨日読み終えたところです。図書館で推理小説・スリラーのコーナーにあったので、もっとドキドキハラハラする話だと思い込んで読んだせいで、ちょっと拍子抜けした感があります。勝手にどんでん返しを期待して、肩透かしを食らったみたいな(笑)。
あの窮屈な社会で、残った登場人物たちがその後どんなふうに生きていくのか(生きていけるのか)が気になります。
投稿情報: Sparky | 2015/01/28 04:58