著者:Buzz Aldrin, Leonard David
ハードカバー: 272ページ
出版社: National Geographic
ISBN-10: 1426210175
発売日: 2013/5/7
適正年齢:PG12(中学生以上)
難易度:中級程度(難しい単語があっても、文法は高校英語をマスターしたレベルで読める)
ジャンル:ノンフィクション/科学読み物
キーワード:宇宙物理/航空工学/サイエンス/火星/隕石/宇宙飛行
バズ・オルドリンは、アポロ11号でニール・アームストロング船長とともに人類で初めて月面に着陸した人物である。
多くのアポロ宇宙飛行士が人類が月に戻ることの重要性を語るいっぽうで、バズ・オルドリン氏だけは「月面着陸はすでにやってしまったことで、もうやる意味がない"Been there, done that"」と言う。では、何をするべきなのか?
彼が過去何十年も語り続けているのが、火星へのミッションである。
本書では、アーテイストを使ったそのイメージイラストだけでなく、火星ミッションを考えるに至った基本的な考え方なども語られている。彼の手書きのメモや説明の数々を読むと、やはり常人とは異なる頭脳なのだということがわかる。隕石のプロジェクトも非常に興味深い。
パサディナで開催されたSpaceFestで、とある企画のためにオルドリン氏と話し合う機会に恵まれた。彼は月のことではなく、隕石と火星について1時間熱く語ったが、そのうちの一言が特に印象に残った。
「銀河系宇宙で、宇宙旅行をできるまでの知性を持っているのが人類だけの可能性もある」というものだ。(注記:オルドリン氏は「Universe」ではなく、「the Galaxy」と表現した)。
私はニール・デグラッス・タイソン(Neil deGrasse Tyson)のように、「エイリアンがいるかいないかというのは問題ではない。いるにきまっている。ただエイリアンが人類を交流に値するほどの知性とみなすかどうかのほうが問題」と考えている。だから、「人類ほどの知性を持つ生命体が、銀河系に人類だけだという可能性は数学的に可能だ」というオルドリン氏の発言には、ちょっと驚いた。むろん何にでも可能性はあるし、数学分野で天才的な頭脳を誇るオルドリン氏が言うのだから注意を払う価値はある。
だが、それと火星へのミッションがどう繋がるのかは不明である。それを確認したかったのだが口を挟む隙がなかった。オルドリン氏の会話の流れから私が推察したのは、「地球が滅びた後にも銀河系宇宙に知性を残すためには、人類が地球を離れ、火星への植民だけでなく、銀河系宇宙の隅々まで広めて行かなければならない。それが知的生命体としての人類の使命なのだ」という主張である。
夜のカクテルパーティのときにも、オルドリン氏の元同僚であるアラン・ビーン氏を交えて午前中の話の続きになった。オルドリン氏のミッションは、私が子どもの頃から大好きなSFの世界だが、本当に実現するのを見てみたいものである。そのためにはあと1000年くらい生きる必要があるかもしれないが。
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