Nelson DeMille
マスマーケット: 944ページ
出版社: Grand Central Publishing; Reprint版
ISBN-10: 0446608262
オリジナル発売日: 2000年
軍事、政治スリラー/テロリスト/FBI, CIA
DeMilleのJohn Corey(ジョン・コリー)シリーズの第二作。
前作のPlum Island で死にかけたNYPD殺人課刑事のCoreyは、上部からの命令でATTF (Anti-Terrorist Task Force、反テロリストタスクフォース)でcontract agent(一時的な派遣契約の立場)として働くことになる。Copとして長年FBIやCIAへの偏見を抱いているCoreyだが、曖昧な気分で赴いたJFK空港で、テロリストによる惨劇を目撃してしまう。
最初は腰掛けのつもりでいたCoreyだが、事件の現場に居合せ、意図せずにテロリストのAsadと接触する。ATTFの上部はAsadがすでにリビアに向けて去ったと信じるが、CoreyはAsadが米国内にとどまっていると直感する。規則をあまり尊重しない性格のCoreyは上部からの命令をことごとく無視してAsadを追う。
John Coreyシリーズが(特に男性に)人気があるのは、お上品なものにこだわる人をバカにし、常に下らない冗談をとばし、上司に逆らって皆を苛立たせるくせに、頭の回転が良くて、行動力があり、美女にモテるところではないだろうか。
妻に去られた彼だが、The Lion’s Gameでは14歳も年下のFBIの美人捜査官のKateから迫られて「女性の心を読むのは苦手だからわからない」みたいな悩みを抱くのも、男性にはぐっとくるのではないかと思う(女性読者は苦笑かも)。
Coreyの冗談や偏見から学ぶ、警察、FBI、CIA、アメリカ人、ムスリム教徒、東海岸と西海岸のステレオタイプは、日本人読者にとっては「アメリカ入門書」の役割も果たして、興味深いことだろう。軽く読め、展開が速いので、長編であることも気にならないだろう。
シリーズの最初ではないが、作品の充実度ではこの本がDeMilloのベストである。米国で同時テロが起こったのは2001年9月だが、この本はその前年の2000年に刊行されたもので、DeMilloの視点に今さらながらに感心する。
●読みやすさ ネイティブの普通レベルだが、やや読みやすい
全体的には非常に読みやすい。日本人が躓くのは、ジョークや英語のイディオムの部分であろう。
軽く読め、しかもスピーディーな展開なので、飽きない。ページ数は多いが、読み切りやすい作品である。
●おすすめの年齢層 高校生以上
性的なジョークやセックスシーンがあるが、ホットでもセクシーでもなく、どちらかというと笑える。
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