ペーパーバック: 160ページ
出版社: Riverhead Trade (2008/4/1)
ISBN-10: 1594482918
ISBN-13: 978-1594482915
ビジネス書/マンガ
ビル・クリントン政権で労働長官を勤めたロバート・ライシュの補佐官、副大統領アル・ゴアの主任スピーチライターなど政治の場では輝かしいキャリアコースを歩んでいたダニエル・ピンクだが、その後Fee Agent(フリーランスのようなものだが、日本で流行っている「ノマド」に近い感覚)宣言をして、独立した。
ピンクは、その後、ニューヨークタイムズ紙やワシントンポスト紙などに記事を書き、多くの画期的な自己啓発的なビジネス書をヒットさせ、2011年のThinkers50では、世界で最も影響力を持つビジネス思想家リストの29位にランキングされるようになっている。
彼は、2007年にジャパン・ソサエティ(全米最大の日米交流団体)のメディア・フェローとして日本に滞在し、漫画を研究したこともある。そのときに得たヒントで出来上がったのが、2008年刊行の漫画ビジネス指南書の『The Adventures of Johnny Bunko』なのである。
最近日本で流行っているコンセプトに「ノマド」というものがある。定義についてはkotobankを参考にしていただきたいが、「あなたがノマドをしてはいけない、これだけの理由(Neverまとめ)」といった「踊らされると失敗するぞ。やめろ、やめろ」という批判も出てきている。
「やりたいことをやる」というコンセプトにも、同様に批判が殺到する。
それらの批判にも一理はあるのだが、それにしても私は批判をする人たちに賛成することはできないし、はっきり言って、不快感を覚える。なぜかというと、そういう「あなたのことを思って言ってやっているのだ」という態度が、人々に「嫌な事ばかりをやるつまらない人生」を歩ませることになるからである。そちらのほうが無責任ではないか。
もし、本当に彼らのことを案じているのであれば、「良い失敗をしろ」と指導してやるべきだと思うのだ。
ピンクは、若者がノマドとかフリーエージェントという言葉に踊らされる可能性も承知したうえで、「だから、するな」ではなく、「やりたいことをやる、とは実際にはこういう意味なのだ」と説明している。「そんなことをしたら、山火事を起こして死ぬぞ」とやる気の炎に氷水をぶっかけて消してしまうアプローチではなく、炎の燃やし方や継続の方法を示唆するアプローチなのである。
これまでの私の人生や、私が会った素晴らしい活躍をしている人からも、Pinkが本書で指導していることは、非常に的を射ている。簡単だが、実は深い示唆である。ただし、人生で体験を積む前に本書だけを読んだ人は「浅い」と思うかもしれない。それゆえ、読みやすいこの漫画を入門書として使い、次にA Whole New Mindなど、ピンクの著作に手を伸ばしていただきたいと思う。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。