ペーパーバック: 345ページ
出版社: Amazon Childrens Publishing
ISBN-10: 1477810250
ISBN-13: 978-1477810255
発売日: 2012/9/11
ラブストーリー、ロマンス、青春小説、YA
ボストンの大学での新生活を楽しみにしていたJulieが契約していたアパートに到着したところ、アパートがある筈の場所にはブリートスの店があるだけだった。オンライン詐欺でお金と住処を失い途方にくれているJulieに、母の大学時代のルームメイトが一時的な住処を提供してくれることになった。
母はハーバード大学で教鞭を取る弁護士で、父は海洋生物学の研究者、次男のMattはマサチューセッツ工科大学の学生、というインテリ一家は、Julieに対してとても優しいのだが、どこかが奇妙なのである。末っ子のCelesteは美少女で天才的なのだが、不在の長男のFinnの等身大切り抜きを持ち歩き、他人と心を通わせないのである。おまけに、誰も料理をしないので夕飯はいつもテイクアウトであり、夕飯が終わると、親たちは仕事のために職場に戻ってしまう。
人懐っこくて、少々おせっかいなところがあるJulieは、両親から忘れ去られているようなCelesteとMattを社会と繫げるような画策を練る。失敗をくり返しつつも、Julieは家族の一員のようなかけがえのない存在になってゆく。
Sethという素敵なボーイフレンドもできたJulieだが、世界を旅行中で不在のFinnとFacebookで繋がり、正直に心情を打ち明けて相談するうちに会った事もない彼に恋愛感情を抱くようになる。
最後まで引きずられる謎も含め、プロットが最初から予想できるシンプルな作品ではある。それでも最後まで飽きないし、登場人物全員を好きになれ、心を暖かくしてくれる。
すでにYA作家として5冊の本を出版し、まあまあ売れていた作家なのに、大手の出版社の数々から拒否されたこの本を、著者はアマゾンを利用した自費出版という方法で世に出した。そうしたところ、数ヶ月後にニューヨークタイムズベストセラーになってしまったのである。
出版社というプロを満足させるのではなく、読者を満足させる作品なのであろう。文章も、大手の出版社から刊行されているYAロマンスファンタジーなどよりも、ずっとこなれている。読者も、自費出版の作家を探すのが上手になってきていると言えるかもしれない。
米国に限って言えば、これからは大手出版社を飛び越えて自費出版に手を出す作家がどんどん増えてゆくことだろう。
●読みやすさ 読みやすい
シンプルでとても読みやすく、多読向けの児童書に飽きている人におすすめ。
●おすすめの年齢層 中学校高学年(13歳くらいから)以上
ラブストーリーですから性的なシーンもありますが、実際の場面はキスとmake out程度で、際どくなりそうな場面はありますが、そこ止まりです。心理面でのラブストーリーと言えるでしょう。
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