Maria V. Snyder
ペーパーバック: 400ページ
出版社: Mira
ISBN-10: 0778313077
ISBN-13: 978-0778313076
発売日: 2011/12/20
ファンタジー/ロマンス/魔法/冒険
魔法や不思議な植物が存在する15の国は、緊張関係にありつつも友好状態を保って来た。だが、疫病が蔓延し、統治が崩れ、現在ではいくつかの勢力が侵略を虎視眈々と狙っている。
この世界には、女性のhealer(治療者)たちがおり、けが人や病人の怪我や病を自分の身体に取り込むことで治療してきた。彼女たちの身体は普通の者の数倍自然治癒力があるので、取り込んだ後も回復できるのだが、そのシステムを知る者はあまりいない。人々を救い、敬われてきたのだが、彼女たちが疫病を広めたという噂が流れ、healerの殆どは処刑されてしまう。ひとりだけ逃げ延びていたAveryもついにつかまってしまった。
国王を疫病から救うためにhealerを必要とする集団よってAveryは牢獄から救助されるが、彼女には国王を救いたくない理由があった。
Maria V. SnyderのPoison Studyは、人物造形(キャラクター作り)、魔術の世界、ストーリー展開、とすべてが完璧に揃っている珍しいロマンス・ファンタジーだった。ファンタジーとして優れていたので、ロマンスの部分をつけてしまっては申し訳ないくらいだった。
主人公のYalenaもさることながら、女性読者が惹かれたのは最高にセクシーな暗殺者Valekである。Poison Studyは、その後の作品でこの二人を超えるキャラクターを生み出せずに苦労している様子がみられた。
新しい「Healer」シリーズ第一巻の「Touch of Power」は、いろんな意味でPoison Study以降の彼女の作品の中ではもっとも近いように感じた。だが、登場人物と展開があまりにもPoison Studyを思い起こさせてしまう。そして、それがPoison Studyを超えていないのが問題なのである。
スピーディな展開だし、情熱的でもあるし、人食い百合の設定も面白い。だから、Poison Studyを読んだことのない読者が「これまで読んだファンタジーの中で一番面白かった」と言っても不思議ではない。また、Poison Studyを読んだ読者も、「疲れているから難しい本を読みたくないとき」の娯楽作品としては十分だと思う。
だが、Poison Studyを期待したらがっかりすると思う。それだけは忠告しておきたい。
●読みやすさ 普通ーやや読みやすい
ファンタジー特有の造語に慣れていれば、十分読みやすいと思います。
ヤングアダルト本をよく読む人におすすめのレベル。
●おすすめの年齢層
露骨ではないけれど、性的なシーンがあるので、高校生以上。
コメント
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